日々の業務に追われ、心身ともに疲弊している看護師が多く、仕事に対してやりがいを感じられない人もいます。この記事では、看護師の仕事がきついと感じる理由と状況の改善方法、転職を考える際のポイントを解説します。
記事を読めば、自分に合った働き方がわかり、看護師のキャリアを前向きに考えられます。看護師の仕事がきついと感じたら、自分の状況を客観的に見つめ直しましょう。自分に合った環境や働き方を見つけ、やりがいを取り戻せます。
看護師の仕事がきつい理由
看護師は心身的な負担が大きいため、きつい仕事です。きついと言われる以下の理由を解説します。
- 夜勤や不規則な生活リズム
- 命を預かるプレッシャー
- 人手不足による業務過多
- 働きづらい人間関係
- 体力的な負担の大きさ
- プライベートの少なさ
夜勤や不規則な生活リズム
多くの看護師が、夜勤や不規則な生活リズムに悩んでいます。夜勤や不規則な勤務は、睡眠リズムを乱し、心身に大きな疲労をもたらす原因です。夜勤手当はありますが、昼夜逆転の生活が続くと、体調を崩すリスクが高まります。
医労連の調査によると、2交替勤務を採用する職場の半数が、心身への有害性が非常に強い「16時間以上の長時間夜勤」です。
仕事のパフォーマンスにも悪影響を及ぼす恐れがあるため、夜勤や不規則な生活リズムへの対策は重要です。
» 看護師の夜勤の仕事内容と雇用形態、メリット、デメリットを解説
命を預かるプレッシャー
看護師は、患者の命を預かる仕事です。医療ミスが許されない緊張感の中で働き続けると、責任の重さがプレッシャーとなり、精神的な負担が大きくなります。看護師がプレッシャーに感じる状況は以下のとおりです。
- 急変時の判断と対応
- 患者・家族の期待
- 医療訴訟のリスク
- 重症・終末期患者のケア
- 知識や技術の不足
- 患者の状態悪化や死亡
常に緊張状態が続くと、ストレスが蓄積されやすくなります。医師や他のスタッフとの連携においても責任は重大です。チーム医療の中で、自身の役割を確実に果たす必要があります。
介護施設や訪問看護でも、利用者の急変時にすべての対処や判断を迫られるプレッシャーは計り知れません。
人手不足による業務過多
人手不足による業務過多は、看護師の仕事をきつくする要因の一つです。多くの医療機関で看護師不足が深刻で、1人当たりの業務量が増加しています。人員不足による問題点は以下のとおりです。
- 患者に対してケアが行き届かない
- 残業が増える
- 休憩時間が減少する
- 急な欠勤や休暇への対応ができない
- 新人看護師への指導ができない
- 書類作成や事務作業が増加する
患者や家族からの要望や苦情への対応、感染症対策などの業務も発生しているため、看護師の負担は増加しています。負担が大きくなると、看護師の心身の健康が損なわれる可能性が高まります。適切な人員配置や業務の効率化が急務な状況です。
働きづらい人間関係
職場の人間関係は、仕事のモチベーションやストレスに大きな影響を与えます。看護師がストレスに感じる点は以下のとおりです。
- 上下関係が厳しい職場環境
- 同僚との意思疎通
- パワーハラスメント
- モラルハラスメント
- 患者や家族とのコミュニケーション
- 世代間ギャップ
- 価値観の相違
- 個人の能力や経験の差による軋轢
人間関係が悪いと、チームワークの欠如や協力体制の不足につながります。情報共有の不足や連携の悪さは、業務の効率を下げるだけでなく、人間関係にも悪影響を及ぼします。競争的な職場環境や評価制度も、スタッフ間の軋轢を生み出す原因の一つです。
チームワークや密な情報共有が大切な看護師にとって、人間関係の悪化は致命的です。
ストレスや疲労が蓄積すると、人間関係が悪化する悪循環に陥ります。仕事の質や患者へのケアに影響を与えるため、職場環境の改善や個人のコミュニケーションスキルの向上が必要です。
体力的な負担の大きさ
看護師は、長時間の立ち仕事や患者の移動、重い医療機器の運搬など、体を酷使する作業が多く、体力的に負担が大きいです。感染症患者への対応や緊急時の対応も、身体的なストレスや疲労の原因となります。夜勤明けの疲労蓄積や不規則な食事、休憩時間の減少により、精神的なストレスがかかり、体に悪影響を及ぼします。
看護師は身体的負担に加えて、精神的ストレスが重なりやすい職業である点も見過ごせません。
防護服の着用による動きづらさや暑さ、繊細な作業の連続による目や手の疲労なども、体力的な負担を増大させる要因です。体力的な負担軽減のための対策や、適切な休息が必要です。
プライベートの少なさ
多くの看護師がプライベートの時間の少なさに悩んでいます。シフト制による不規則な勤務のため、予定は立てづらいです。夜勤や残業が多いうえに、休日出勤や急な出勤もあるため、自分の時間を確保できない場合も多くあります。プライベートの時間がないと、疲労やストレスがたまり、仕事へのやりがいがなくなります。
特に新人のうちは課題やレポートを課される職場もあるため、休日に取り組む必要があります。
勉強や資格取得の時間確保もできず、キャリアアップの計画も立てられません。家族や友人との時間、趣味、自己啓発の時間も確保できなくなります。長期休暇の取得もしにくいため、リフレッシュもできません。
看護師のきつさを軽減する方法
看護師の仕事のきつさを軽減する方法を紹介します。紹介する方法は以下のとおりです。
- 信頼できる人に相談する
- ストレス解消法を見つける
- 職場環境の改善策を提案する
- キャリアプランを再考する
信頼できる人に相談する
周囲のサポートを受けることで、新たな視点や解決策を見出す助けとなります。上司や先輩看護師にアドバイスを求めたり、同僚と悩みを共有し、互いにサポートし合ったりしましょう。メンター制度がある場合は積極的に活用してください。看護師仲間のコミュニティやSNSでの情報交換も有効です。
私は看護学校時代の同期と話をしています。職場は違うため、適度な距離感で悩みに共感できる存在として頼りになります。
同僚に相談できない場合は、家族や職場のカウンセラーを頼りましょう。看護協会や労働組合、看護師経験者のキャリアコンサルタントなど、外部の専門家への相談も効果的です。定期的に上司と面談の機会を設け、現状や課題を共有しましょう。自分1人で抱え込まず、周りの人々の力を借りると、悩みや不安を軽減できます。
ストレス解消法を見つける
ストレス解消に効果的な方法を見つけて実践すると、心身のバランスを整えられます。ストレス解消法は以下のとおりです。
- 運動やヨガで体を動かす
- 趣味や創作活動に没頭する
- 音楽を聴く
- 好きな映画を観る
- 自然の中でリラックスする
- マッサージや温泉でリラックスする
自分に合ったものを見つけると、仕事のストレスを効果的に発散できます。
職場環境の改善策を提案する
改善策を上司や人事部門に提案すると、働きやすい環境を作れます。効果的な改善策は、以下のとおりです。
- 業務効率化のシステム導入
- フレックスタイム制の導入
- 時短勤務の導入
- 休憩時間の確保
- 休憩スペースの改善
- チーム制の導入
- 業務分担の見直し
- 定期的な面談
- 意見交換会の実施
- 研修や勉強会の開催
- 有給休暇の取得促進
- 連続休暇制度の導入
- 福利厚生の充実
- 報酬制度の見直し
提案が通ると、仕事とプライベートのバランスが取れ、充実した生活を送れます。モチベーションが上がると、仕事の質が向上し、同僚や患者に良い影響を与える可能性があります。改善策を提案する際は、具体的な内容と効果を明確に説明しましょう。
上司や人事部門と建設的な対話を重ねると、より良い職場環境づくりに貢献できます。
キャリアプランを再考する
現在の仕事内容や環境に不満を感じている場合、新たな道を探ると、状況の改善が可能です。認定看護師や専門看護師の資格を取得すると、給与アップの可能性が高まります。管理職を目指すと、リーダーシップスキルを磨きながら収入を増やせます。
» 認定看護師になるには?メリットや取得の条件、具体的なステップを詳しく解説
資格の取得は転職にも有利です。まずは職場の資格取得支援制度を確認してみましょう。
病棟師長や看護部長などの役職に就くと、待遇が良くなる可能性が高いです。キャリアプランを再考する際は、自分の興味や適性、長期的な目標を考慮しましょう。ワークライフバランスも重要です。自己啓発や継続教育の機会を積極的に活用し、段階的に計画を立ててください。
看護師が転職を考えるときのポイント
転職を考える際は、自分の希望や優先順位を明確にしましょう。ポイントは以下のとおりです。
- 自分の希望条件を明確にする
- 転職エージェントを活用する
- 退職意思を早めに伝える
自分の希望条件を明確にする
理想の職場への転職のために、自分の希望条件を明確にしましょう。条件を整理すると、自分に合った職場を見つけやすいです。ポイントは以下のとおりです。
- 給与水準
- 勤務地
- 通勤時間の許容範囲
- 勤務形態
- 希望する診療科や部門
- 病院の規模
- ワークライフバランスに関する要望
- キャリアアップの機会の有無
- 福利厚生の希望
- 職場の雰囲気
条件を明確にすると、転職活動がスムーズに進みます。自分の希望を整理し、優先順位を付けましょう。
» 看護師の働き方を就業場所別、雇用形態別、勤務形態別に解説!
転職エージェントを活用する
転職エージェントを活用すると、転職活動を効率的に進められます。専門的な知識を持つエージェントのサポートを受けると、自分に合った職場を見つけやすいです。転職エージェントを利用する際は、看護師専門のエージェントを活用しましょう。複数のエージェントに登録すると、優良な求人を見つけやすくなります。
エージェントによって取り扱う求人が異なる場合も多いです。選択肢を広げるためにも複数登録は有効です。
希望条件は詳細に伝えてください。エージェントを活用すると、非公開求人情報にアクセスできるメリットもあります。履歴書や職務経歴書の添削、面接対策、給与交渉のアドバイスなど、幅広いサポートを受けられます。多くの転職エージェントが無料で利用できるため、経済的な負担もかかりません。
自分で求人を探すよりも、効率的に転職活動を進められます。転職後のフォローアップサービスがあるエージェントを選ぶと、長期的なキャリアサポートを受けられる場合もあります。転職エージェントは看護師の転職活動を多角的にサポートしてくれる心強い味方です。
» 看護師が転職エージェントを利用するメリットとおすすめの選び方
退職意思を早めに伝える
転職活動を行う際は、退職の意思を早めに伝えましょう。早めに退職の意思を伝えるメリットは以下のとおりです。
- 引き継ぎ期間の確保
- 人員補充の準備時間
- 同僚への負担軽減
早めの意思表示は、良好な人間関係の維持に役立ちます。上司や人事部門との対話の機会を設けると、退職理由を丁寧に説明できます。適切な退職時期を相談できるため、双方にとって最適なタイミングを見つけやすいです。将来的な再就職の可能性を残すためにも、円滑な退職が重要です。
親身な上司なら、退職後のキャリアプランに関するアドバイスを受けられる可能性もあります。
看護師がきついと感じた人におすすめの転職先
働きやすい転職先を紹介します。おすすめの転職先は以下のとおりです。
- クリニックや日勤のみの職場
- 介護施設や訪問看護
- 美容クリニックや一般企業の産業看護師
» 看護師がのんびり働きたい職場の特徴や、おすすめの勤務先を紹介
クリニックや日勤のみの職場
クリニックや日勤のみの職場は、勤務時間が安定しており、通常9〜17時までが一般的です。夜勤や深夜勤務がないため、規則正しい生活リズムを保てます。患者の重症度が比較的低く、急変や緊急対応が少ないため、精神的なストレスも軽減されます。チーム医療の規模が小さいため、人間関係を構築しやすいです。
検診センターも日勤のみで働きやすい職場のひとつです。
キャリアアップの機会が限られる点と、給与水準が病院勤務と比べて低い点は理解しましょう。特徴を踏まえ、自分のライフスタイルや今後のキャリアに合わせて検討してみてください。クリニックや日勤のみの職場は、看護師の経験を活かしながら、安定した生活を送りたい方におすすめです。
» 看護師のクリニックの仕事内容とつらいと感じる理由を解説!
介護施設や訪問看護
介護施設や訪問看護は、高齢者や慢性期患者が中心なので、病院勤務と比べて落ち着いた環境です。介護施設や訪問看護では、多職種連携が活発に行われています。看護技術だけでなく、生活支援や家族支援のスキルも活かせるため、キャリアの幅を広げられます。
地域密着型のサービスが多いため、地域貢献を実感しやすい点も魅力的です。病院と比べて小規模な組織が多いため、人間関係の構築にも時間がかかりません。介護保険制度の知識が身に付く点もメリットです。医療系で、仕事の質や環境を変えたい方は検討してください。
» 訪問看護師の仕事内容とやりがい、大変なことを解説!
高齢化社会において、医療と介護福祉の両方の側面からケアできる看護師は貴重です。
美容クリニックや一般企業の産業看護師
美容クリニックや一般企業の産業看護師は、病院勤務と比べてワークライフバランスの取りやすい職場環境です。メリットは以下のとおりです。
- 夜勤や休日出勤はほとんどない
- 身体的な負担が少ない
- ストレスや緊急対応が少ない
- 患者や従業員との長期的な関係を構築しやすい
- 給与が病院勤務より高い場合が多い
美容クリニックでは、カウンセリングや施術補助、アフターケアなどの業務を担当します。一般企業の産業看護師は、従業員の健康診断やメンタルヘルスケア、衛生管理などが基本業務です。いずれの職場でも、看護師の専門知識やスキルを活かせます。一般企業では、福利厚生が充実している場合が多い点も魅力的です。
専門クリニックや企業特有の文化、価値観への適応が必要な場合もあるため、事前に職場環境を確認しましょう。
» 産業看護師の仕事内容や必要なスキル、向いている人の特徴を解説!
看護師の仕事に関するよくある質問
看護師の仕事に関するよくある質問をまとめました。質問は以下のとおりです。
- 看護師にはどんな性格の人が向いている?
- 看護師として働く際に重視すべきポイントは?
- 看護師がプライベートと仕事を両立するコツは?
看護師にはどんな性格の人が向いている?
以下の特徴を持つ人が看護師に向いています。
- 共感力
- 忍耐力
- 寄り添える能力
- コミュニケーション能力
- 冷静沈着
- 責任感
- 観察力
- 柔軟性
- 協調性
- 清潔感
- 学習意欲
- ストレス耐性
医療現場では予期せぬ事態が起こるため、他の医療スタッフとの連携が欠かせません。長時間の勤務となる場合も多く、体力も必要です。医療技術は日々進歩しているため、常に新しい知識を吸収する姿勢も求められます。
看護師として働く際に重視すべきポイントは?
看護師として働く際のポイントを明確にすると、自分に合った環境で充実したキャリアを築けます。職場環境は重視すべきポイントです。病院やクリニックによって、勤務時間や業務内容、患者層は大きく異なります。自分が望む働き方を明確にし、希望に合った職場を選びましょう。人間関係やチームワークも大切です。
看護師はチームで動く場面が多いため、ストレス軽減や働きやすさを高めるには、同僚や上司との良好な関係構築が必要です。職場見学やインタビューを通じて、職場の雰囲気を確認しましょう。自分自身のキャリアプランも重要です。看護師は多岐にわたる分野で活躍できる職業です。
スキルを高める目的を明確にすると、達成に向けたステップを計画的に進められます。
看護師がプライベートと仕事を両立するコツは?
看護師がプライベートと仕事を両立するコツは、効率的な時間管理と自己ケアです。仕事とプライベートのバランスを取ると、充実した生活を送れます。タイムマネジメントスキルを磨き、業務の優先順位を付けましょう。効率的に仕事を進めると、余裕を生み出せます。休日や休暇を有効活用しましょう。
家族や友人との時間を大切にし、リフレッシュの時間を確保すると、仕事への意欲が高まり、心の安定につながります。運動や趣味、自己啓発など、ストレス解消法を見つけるのもおすすめです。新しいスキルを身に付けたり、好きなことに打ち込んだりすると、生活が充実します。
まとめ
看護師の仕事は、夜勤や命を預かるプレッシャー、人手不足などからきついと感じる場面が多い職業です。信頼できる人への相談やストレス解消法の実践、キャリアプランの再考など、きつさを軽減する方法はあります。自分に合った職場を選ぶと、働きやすさを向上させられます。
きついと感じたら一度立ち止まり、転職や職場環境の改善を検討してください。働き方を見直し、心身ともに健康で充実したキャリアを築きましょう。
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