夜勤の勤務形態が気になる看護師の方は多いでしょう。夜勤は体力的にも精神的にも負担の大きい仕事です。看護師の夜勤業務は日勤とは内容が異なるため、事前に理解しておくことが重要です。この記事では、夜勤がある看護師の勤務形態や仕事内容、メリットとデメリットについて解説します。
記事を読めば、夜勤がある看護師の働き方がわかります。夜勤の実態を知り、自分に合った働き方を見つけましょう。
夜勤がある看護師の勤務形態
夜勤がある看護師の勤務形態は、以下のとおりです。
- 2交代制勤務
- 3交代制勤務
それぞれの勤務形態に異なる特徴があり、生活に大きな影響を与えます。適切な勤務形態の選択は、健康管理や働きやすさにつながるでしょう。
2交代制勤務
2交代制勤務は、日勤と夜勤の2つのシフトに分ける勤務形態です。体力面では厳しいですが、勤務時間が長くなることで勤務回数が少なくなります。1週間に夜勤が3回ある場合、合計の勤務時間は48時間(16時間×3回)となり、他の日は休息に充てられます。
2023年病院看護実態調査報告書によると、2交代制勤務の夜勤手当の相場は11,368円です。
収入が高くなることも看護師にとっては魅力的です。ただし、日勤と夜勤が交互に来るため、生活リズムが乱れやすくなります。
2交代制勤務は高収入と休日の多さがメリットですが、体力的な負担や生活リズムの管理が課題です。
3交代制勤務
3交代制勤務は、日勤、準夜勤、深夜勤の3つのシフトで構成されます。3交代制勤務は、2交代制勤務に比べて労働時間が少ないため、体力的な負担が軽減されます。ただし、勤務回数が増えるため休日は少なめです。頻繁に勤務時間が変わるため、生活リズムが乱れやすいデメリットもあります。
2023年病院看護実態調査報告書によると、深夜勤の夜勤手当は5,199円、準夜勤は4,234円が相場です。
一般的な3交代制勤務のシフトは以下のとおりです。
- 日勤:8:00~16:00
- 準夜勤:16:00~0:00
- 深夜勤:0:00~8:00
3交代制勤務は、労働時間を8時間ごと均等に分担しています。夜勤の頻度が高くなる可能性があり、体力的な負担が大きいと感じる人もいます。
シフト調整が柔軟な病院では個々の状況に合わせて働きやすい環境が整えられるため、働きやすいと感じる人が多いです。
看護師の夜勤の仕事内容
看護師の夜勤の主な仕事内容は、以下のとおりです。
- ナースコール対応
- 夜間巡回
- 急変対応
夜勤の看護師は、患者さんが夜間も安全で快適に過ごせるように支えるのが役割です。
ナースコール対応
ナースコール対応は、看護師の大切な業務の一つです。患者さんの不安や痛みをサポートするため、迅速な対応が求められます。
訪室の際は患者さんの状態を確認し、必要に応じて医師に報告します。緊急時はこの初期対応が重要なので、常に緊張感を持たなければなりません。
基本的に夜勤スタッフは人数が少ないです。効率的に対応するために患者さんのナースコールの頻度や、優先順位を把握しておく必要があります。ナースコールで対応した内容は必要に応じて記録します。スタッフ間で情報を共有することで患者へのケアが途切れず、質の高い看護が提供できます。
夜間巡回
夜間巡回は、患者さんの状態を確認することが主な目的です。患者さんに異常があった場合、巡回をすることでいち早く発見できるため、迅速に対応できます。
夜間巡回の仕事内容は、以下のとおりです。
- 患者の安全確認
- ベッドの位置や環境の整備
- 点滴や投薬の確認
- 体位変換や排泄ケア
- 体温や血圧の定期チェック
- 異常の早期発見と対応
夜間巡回により、患者さんの安全と快適な環境が保たれます。
患者の睡眠を妨げないよう、大きな音を立てずに巡回するなどの配慮も大切です。
ただ、小さな物音でも起きてしまう人もいるので難しいですが…。
急変対応
患者さんが急変した際は、迅速な対応が求められます。急変した患者さんを発見したときは、現場を離れずにナースコールやスタッフコールで応援を呼びます。バイタルサインやその他の症状を確認し、心肺停止であれば、すぐに心肺蘇生を開始しましょう。
医師の指示を受けて、心電図モニタリングや酸素投与、薬剤の緊急投与を行います。家族への連絡と状況説明も必要です。緊急で検査が必要な場合や、他病院へ緊急搬送が必要な場合もあります。必要に応じて医師に確認し、手配や準備を進めます。急変した内容は、詳細に記録しましょう。
急変時の対応には、迅速な判断力とさまざまなスキルが必要です。急変対応の手順は病院や施設ごとの基準によりますが、基本的に看護師の判断で行える対応は、BLS(一次救命処置)です。
勤務先の急変対応マニュアルは必ず確認しておくきましょう。いざという時に落ち着いて対処できます。
夜勤看護師の雇用形態
夜勤看護師の雇用形態は、以下のとおりです。
- 夜勤専従看護師
- アルバイト・パート
夜勤看護師は、自分のニーズやライフスタイルに合わせて働き方を選べます。
夜勤専従看護師
夜勤専従看護師は、昼間の勤務をせずに夜間のみ働きます。夜勤手当が支給されるため給与が高く、シフトが一定で生活リズムを整えやすいことが魅力です。病院や施設では、夜間のスタッフ不足が深刻な問題となっており、夜勤専従看護師の需要が高くなっています。
実務経験やスキルを持つ夜勤専従看護師は重宝されます。勤務時間やシフトは病院や施設によって異なりますが、いずれも夜間の急変対応やナースコール対応が主要な業務です。夜勤専従看護師の仕事を探す際は、求人情報の内容をしっかり確認しましょう。
長く続けるためには、夜勤の回数や手当の詳細、施設の夜勤体制を事前に確認することが欠かせません。夜勤専従看護師は、収入アップやスキルの向上など多くのメリットがあります。しかし、体力的・精神的な負担が大きいことや、家族や友人と過ごす時間が制限される点には注意が必要です。
自身のライフスタイルやキャリアプランに合わせて、最適な働き方を選ぶことが大切です。何も考えずに夜勤専従で働くと、長く続かない原因になるので注意しましょう。
アルバイト・パート
アルバイトやパートとして、夜勤に従事する方法もあります。シフトの自由度が高く、自分のライフスタイルに合わせやすい働き方が可能です。正社員と比べて基本給与が低めですが、夜勤手当が上乗せされるため、一定の収入が得られます。
夜勤の回数を自分で選べることや、フルタイム勤務と比べて負担が少ないのもポイントです。研修やサポートが充実している施設もあり、スキルアップを図りながら働ける環境が整っています。
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看護師が夜勤をするメリット
看護師が夜勤をするメリットは、以下のとおりです。
- 夜勤手当で収入がアップする
- 日中に自由な時間が増える
- 緊急対応スキルが向上する
以上のメリットは、看護師としての成長や生活の質を向上させる要素となります。
夜勤手当で収入がアップする
夜勤手当をもらえることは、看護師が夜勤をする大きなメリットの一つです。基本給に加え夜勤手当が支給されるため、収入が増えます。夜勤手当の金額は、勤務先や地域によって異なりますが、1回あたりの支給額は数千~数万円程度です。夜勤回数が多いほど、総収入が大幅に増えます。
夜勤専従看護師として働くと、高額な手当が支給されます。家計を支えるために収入を増やしたい方には、大きなメリットです。
日中に自由な時間が増える
夜勤が終わると、平日にまとまった時間を確保できるため、家事や育児、趣味の時間に充てられます。銀行や役所など、平日しか行けない場所にも行きやすくなります。昼間の交通渋滞や混雑を避けて過ごせるため、より充実した毎日を送ることが可能です。
緊急対応スキルが向上する
夜勤は緊急事態が発生しやすいため、急変時の対応手順を熟知しておく必要があります。優先順位を見極める能力も不可欠です。夜勤看護師を経験すると緊急時の対応スキルが上がり、自然と判断力が鍛えられます。チームワークも重要です。
夜勤では、限られたスタッフで効率的に業務をこなす必要があるため、協力し合う必要があります。さまざまな経験を積めるため、夜勤はスキルアップにつながります。
看護師が夜勤をするデメリット
看護師が夜勤をするデメリットは以下のとおりです。
- 不規則な勤務で生活リズムが崩れやすい
- 家族や友人と予定が合わない
- 患者の普段の様子がわからない
看護師が夜勤をするデメリットは、多岐にわたります。健康リスクや社会的な孤立感、患者とのコミュニケーションの難しさが主な問題です。
不規則な勤務で生活リズムが崩れやすい
看護師が夜勤を行うデメリットとして、不規則な勤務による生活リズムの崩れが挙げられます。夜勤がある仕事では、昼夜逆転の生活を繰り返すため、体内時計が乱れて、睡眠の質が低下しがちです。食事のタイミングも不規則になり、胃腸に負担がかかります。
友人や家族と一緒に過ごす時間が減ることで社会的な孤独感を感じるなど、メンタルヘルスにも悪影響を及ぼします。夜勤を繰り返すことで慢性的な疲労や睡眠不足が続きやすくなるため、十分な対策が必要です。
家族や友人と予定が合わない
家族や友人と予定が合わないことも、大きなデメリットです。週末や祝日などのイベントに参加できないことが多くなります。同じ時間を共有することが難しくなるため、家庭内で協力が必要な場合には、時間の調整が重要です。孤立感を感じやすくなるため、家族や友人の理解とサポートも不可欠です。
夜勤看護師は、家族や友人との予定を合わせるのが難くなります。勤務先や勤務形態を選ぶ際は十分に考慮しましょう。
患者さんの普段の様子がわからない
夜勤の看護師は、患者さんの普段の様子がわかりません。日勤看護師との情報共有が不十分だと適切なケアができない場合があり、医療ミスのリスクが高まります。治療やケアの効果が見えにくい点も挙げられます。
患者と生活リズムが異なることや、家族と直接話す機会が少ないことも、患者の詳細な情報を得にくい理由の一つです。
夜勤がある看護師の求人を探すポイント
夜勤がある看護師の求人を探すポイントは、以下のとおりです。
- 担当患者数
- 夜勤手当の有無
- 夜勤の回数
- 勤務時間
上記のポイントを押さえることで、自分に合った求人を見つけやすくなります。
担当患者数
夜勤中の担当患者数が多いと、業務が忙しくなります。担当患者数は病院の規模や方針によって異なりますが、一般的病棟では1人の看護師が担当する患者は5〜10人程度です。ICUやHCUなどの集中治療室では、1〜3人の患者を担当します。規模の大きな病院では患者数が多いため、担当患者数も増える傾向があります。
反対に、小規模病院やクリニックでは、担当患者数が比較的少なめです。診療科によっても、担当患者数に差があります。求人情報をチェックする際には、具体的な担当患者数が明示されているか確認しましょう。
夜勤手当の有無
夜勤手当は収入に大きく影響するため、求人情報で夜勤手当が支給されるかを確認しましょう。
夜勤手当の有無について確認する点は、以下のとおりです。
- 夜勤手当の具体的な金額
- 基本給に含まれているか、別途支給されるか
- 支給条件(例:回数、時間帯)
- 支給日
- 昇給や賞与に反映されるか
- 他の手当と併用可能か
- 税引き前後の金額
夜勤手当が支給されない場合、代替手当や福利厚生についても確認しましょう。夜勤手当に関する規定やポリシーも、チェックしておくことが大切です。
夜勤の回数
夜勤の回数も重要なポイントです。夜勤の回数が多いと身体的な負担が増えます。自分の健康状態やライフスタイルに合った回数なのかを考慮する必要があります。求人情報には、夜勤の頻度やシフトパターンが記載されているので、参考にしましょう。
夜勤の回数は医療機関ごとに異なりますが、一般的に月に4~8回程度です。2交代制の場合、夜勤は月に4~5回程度ですが、3交代制の場合は月に8回以上になる場合もあります。夜勤専従看護師の場合、月に10回以上の夜勤をこなすこともあります。
夜勤は健康や生活リズムに影響を及ぼしやすいため、自分の希望する夜勤回数に応じた求人を選ぶことが重要です。面接時には、夜勤の回数をしっかり確認しましょう。自分の体力やライフスタイルに合った夜勤回数を選べば、無理なく働けます。
勤務時間
夜勤の勤務時間は、病院や施設によって異なります。一般的には午後4時~午後9時頃に始まり、終了時間は午前8時~午前9時頃です。12時間勤務が一般的ですが、16時間勤務の場合もあります。夜勤中には休憩時間が設けられていますが、状況によっては取れません。
長時間勤務が続くと疲労が溜まりやすくなるため、自分にとって無理のない勤務時間かどうかを確認することが大切です。労働基準法に基づいたシフト管理がされているかも確認ましょう。
まとめ
看護師の夜勤には、多くのメリットとデメリットがあります。夜勤手当で収入が増えることや、日中の自由な時間が増える点は大きな魅力です。緊急対応スキルの向上も、キャリアの発展に役立ちます。しかし、不規則な勤務は生活リズムが乱れやすく、家族や友人との予定を合わせにくくなります。患者さんの普段の様子を把握しづらい点もデメリットです。
求人を探す際は、担当患者数や夜勤手当の有無、夜勤回数、勤務時間をしっかり確認しましょう。自分のライフスタイルに合った働き方ができれば、夜勤は経済的に大きな助けになります。
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コメント
コメント一覧 (11件)
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