「ツアーナースってどんな仕事?」
「ツアーナースになる方法は?」
このようにツアーナースに興味はあるけど、実態がよく分からないという方も多いでしょう。
ツアーナースとは修学旅行や企業の旅行に同行し、ツアー参加者が安全に安心して旅行できるようサポートする看護師のことです。
本記事ではツアーナースの仕事内容やメリット•デメリット、給料事情を解説しています。この記事を読めばツアーナースになるための具体的な方法と、必要なスキルがわかります。
ツアーナースとは?
ツアーナースとは修学旅行や林間学校、企業の団体旅行などに同行して救護を行う看護師です。ツアー参加者の健康管理と傷病者の応急処置や受診の手配をする役割を担っています。傷病者が発生しないよう予防していくのも重要な役割です。
専門的な知識を持つ看護師が同行することで、参加者は安心して旅行を楽しむことができるのですね。
ツアーナースの仕事は観光地を一緒に回れることもあり、人気の単発バイトです。派遣会社や転職サイトによっては、イベントナースのひとつとしてツアーナースが含まれている場合もあります。
イベントナース については以下の記事で詳しく解説しているので、こちらもぜひチェックしてみてください。
ツアーナースの主な同行先とは?
ツアーナースの主な同行先は修学旅行や林間学校、企業の旅行や研修などがあります。以下に同行先の一例を紹介します。
修学旅行(国内) | 沖縄、広島、長崎、大阪、京都など |
修学旅行(海外) | 台湾、韓国、オーストラリア、シンガポール、マレーシアなど |
林間学校 | 山間部や高原など |
国内と海外は8:2ほどの割合で、海外ツアーに同行できるケースもあるのですね。
日帰りの園児の遠足や、医療ケアが必要な方の旅行や長距離の移動なども、ツアーナースが同行するケースとして挙げられます。
ツアーナースの業務内容やスケジュール
修学旅行を例に以下のようなスケジュールで行動します。
7時:現地集合 駅や空港 | 自己紹介 ミーティング ツアー参加者リストの受け取り |
移動中 | リストの確認 ツアー参加者の観察や体調チェック 乗り物酔いの対策や対応 |
観光やアクティビティ | 生徒の健康チェック 傷病者発生時の対応 |
17時:ホテル到着 | ホテルの環境を確認 各部屋を訪室し体調不良時は相談するよう説明 |
18時:夕食 | 食事内容、アレルギー除去食などの確認 夕食を取りながらコミュニケーションを取る |
21時:就寝 | ミーティング 夜間はオンコールで対応 |
7時:朝食 | 食事内容、アレルギー除去食などの確認 変わった様子がないか観察をする 部屋へ戻る生徒へ挨拶と声かけを行う |
帰宅時 | 生徒達へ挨拶 最終の体調チェック ミーティング 必要に応じて報告書の提出 |
主な業務内容は以下の4つです。
- ツアー前の打ち合わせ
- ツアー参加者の体調管理
- 負傷者や体調不良の参加者への応急処置
- 医療機関への受診の手配
それぞれ詳しく解説します。
ツアー前の打ち合わせ
事前にツアーの打ち合わせが行われることがあります。事前打ち合わせの方法は、対面またはオンラインや電話などが一般的です。
ツアー中に行うアクティビティや体験内容によっては怪我のリスクを伴うため、ツアー中の予定の確認もしておきましょう。
それぞれの行き先で、起こりうる事故や怪我などのリスクを事前に予測しておくことが大切です。
応急処置に必要な救急セットは、派遣会社もしくは学校で準備されるので、中身を確認しておきます。
ツアー参加者の体調管理
ツアーナースの主な役割は、ツアー参加者の体調管理です。事前に持病やアレルギーの有無など、必要な情報をリストにして渡される場合もあるので確認します。熱中症や脱水、乗り物酔いなどツアー中に起こりうる事態を予測し、予防的観点で関わることも大切です。
ツアー参加者には、自己紹介とともに体調不良時にはすぐに声をかけてもらうよう説明をしておきましょう。
コミュニケーションを取りやすい距離を保ち、常に観察を心がけます。
食事会場には早めに行き、アレルギー対応食になっているか、食事の内容などを確認しておくのもツアーナースの重要な仕事です。
負傷者や体調不良の参加者への応急処置
ツアー中に傷病者が発生した場合は、バイタルサイン測定や怪我や体調不良者の状態把握に努めます。ツアーナースに医療行為は認められていません。一次救命処置とファーストエイドの範囲で応急処置を行います。
修学旅行を例に、発生する可能性がある怪我や体調不良は以下のとおりです。
修学旅行で発生しやすい怪我・病気 |
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乗り物酔い、発熱、熱傷、脱水、熱中症、擦過傷、骨折、アナフィラキシーショックなど |
年間を通して最も発生しやすいのは、乗り物酔いの対応です。アクティビティや体験学習の内容によっては怪我や熱傷の対応が必要なケースもあります。
ツアー参加者の中には重篤なアレルギーを持っている人もいます。エピペンの使い方などのアナフィラキシーショックに対する知識が必要です。
万が一のためにBLSのアルゴリズムとAEDの使い方や注意点は確認しておきましょう。
医療機関への受診の手配
応急処置では対応できないと判断した場合は、医療機関受診の手配を行います。
負傷者や傷病者の状態を適切に把握し、受診すべきかどうかを正確に判断しなければならない点は、大変なところですね。
近くの医療機関へタクシーで向かうか、緊急時には救急搬送を行うケースもあり、ツアーナースの付き添いが必要です。医療機関や、救急隊に必要な情報を申し送れるように整理しておきましょう。
ツアーナースが付き添わない場合、引率している先生に移動中の注意事項などを伝えておきます。
ツアーナースの給料相場とは?
ツアーナースの給料は日当で決められていることが多く、相場は1日あたり約1.5万円です。
拘束期間が長いので時給換算すると高額とは言えません。ただ、給料以上にやりがいが大きい仕事なので人気は高いです。
ただしツアーナースの仕事は傷病者が発生しない限りは、ゆとりがある働き方です。海外旅行に同行する場合は、別途手当がつくこともあります。食事は自己負担ですが、移動費や旅費は負担してもらえるので安心です。
ツアーナースに必要な条件やスキルとは?
ツアーナースに必要なスキルは以下の4つです。
- 看護師・准看護師の資格を持っている
- 実務経験が3年以上ある
- コミュニケーション能力
- 適切かつ迅速な判断力
ツアーナースは基本的に一人で業務にあたるため、高い観察力と判断力が必要です。誰でも簡単にこなせるわけではないので注意ましょう。
看護師または准看護師の資格を持っている
そもそもツアーナースには、看護師または准看護師の資格が必要です。派遣会社や転職サイトに看護師免許の提出が必要なので準備しておきましょう。
高齢者や医療ケアが必要な人の旅行や長距離移動に同行する場合は、正看護師のみに限定する求人もあります。
修学旅行に同行する場合は、対象が子供となるため小児の知識があると良いでしょう。
実務経験が3年以上ある
明確な決まりはありませんな、一般的にツアーナースは3年以上の実務経験が求められます。基本的な観察力とアセスメント力、怪我の応急処置などが必要で実務経験がないと臨機応変な対応はできません。
ツアーナースの仕事は起こりうる事態を予測して予防的視点で関わることも大切です。
整形外科や救急外来、小児科領域の経験や知識があるとなお良いでしょう。
コミュニケーション能力
ツアーナースになるためには、コミュニケーション能力は欠かせません。ツアー参加者と信頼関係を築くのも大切な仕事のひとつです。
修学旅行の場合は、引率の先生に分かりやすくアドバイスすることもツアーナースの重要な役割です。
コミュニケーション能力に自信がある人は、ツアーナースにチャレンジしてみると良いでしょう。
適切かつ迅速な判断力
ツアーナースは傷病者が発生した際に、適切かつ迅速に判断する必要があります。もし重症であれば、容態が急変する可能性も高いです。応急処置とともに医療機関の受診を早急に進めなければなりません。
適切に状況を把握し、迅速に判断する能力が必要なので看護師としての経験が浅いと、対応しきれない可能性もあるので注意しましょう。
ツアーナースのメリットとは
ツアーナースの主なメリットは以下の4つです。
- 仕事として旅行に同行できる
- 普段は得られない経験ができる
- 人間関係に悩まされない
- 新たに仕事を覚える必要がない
仕事として旅行に同行できる
ツアーナースは仕事として旅行に同行できる点が魅力的です。
あくまで仕事なので楽しんでばかりはいられませんが、旅行や観光の雰囲気を味わえるのは魅力ですね。
ツアーナースとして同行すれば旅行費用を負担してもらえます。ツアー参加者とコミュニケーションを取りながら観光地を巡ることができるのは、ツアーナースの最大のメリットと言えるでしょう。
普段は得られない経験ができる
普段は病院や施設などで働いていると、ツアーナースをすることで様々な経験ができます。
コミュニケーションの対象も全く異なるうえに、アプローチの仕方も違います。例えば医療処置が必要な人の旅行や、長距離移動の付き添いなどもツアーナースとして派遣されるケースがあります。
病院のような医療設備が整った環境とは違う場所での対応や処置は、貴重な経験です。
退院後の生活について学ぶ機会になるため、看護師のスキルアップにも繋がると言えるでしょう。
人間関係に悩まされない
ツアーナースは基本的に単独で同行するため、人間関係に悩まされることはほぼありません。たとえ苦手な人がいたとしても短期間であるため、割り切った関係を保てます。
ツアーナースには上司や部下など人間関係のしがらみがないので、人間関係に悩む人には働きやすい環境です。
新たに仕事を覚える必要がない
ツアーナースの仕事をするにあたって、新たに仕事を覚える必要がなく、今まで培った看護スキルを活かすことができます。
例えば派遣で単発バイトをする場合、勤務先でのルールや業務を覚える必要があるでしょう。ツアーナースの仕事は体調管理と応急処置がメインなので、それ以外の業務がありません。
病院のようにオペ出しや検査などの業務に追われることがないため、のびのび働けるのは嬉しいですね。
体調管理と応急救護に専念できるので、看護師としてもやりがいがある仕事です。
ツアーナースのデメリットとは
ツアーナースのデメリットは以下の4つです。
- 安定して稼げない
- 拘束時間が長い
- 1人というプレッシャーがある
- 判断や対応が難しい症例もある
安定して稼げない
ツアーナースの仕事は春と秋がシーズンであり、梅雨の時期や冬は閑散期です。年間を通してツアーナース一本では安定して稼ぐのは難しいと言えるでしょう。
そもそも求人があまり多くないので、継続的に大きく稼ぐ目的よりも体験を得ることにフォーカスした方が良いです。
ツアーナースの仕事は、副業もしくは派遣の一つとして検討するのが賢明です。
拘束時間が長い
ツアーナースは日帰りツアーを除き、宿泊期間全てが拘束時間となります。国内旅行でも1泊または2泊、海外旅行の場合は6泊8日の勤務となるため、かなりの期間拘束されます。
副業で働く場合は、まとまった休暇を取る必要がありますね。
宿泊期間中はタイミング問わず傷病者の救護にあたるため、就寝中に呼び出されることもあります。特に企業の旅行や高齢者が対象の場合は、飲酒によるトラブルや、温泉でのぼせてしまったなどの多種多様な対応が必要になることもあります。
1人というプレッシャーがある
ツアーの規模にもよりますが、ツアーナースは1人で同行することが多く1人で対応しなければなりません。ツアーナース1人で多くの参加者の観察から応急処置を行います。必要に応じて医療機関へ付き添いも行うため、責任が重いと感じる人もいます。
人間関係の悩みがない反面、1人で抱えるプレッシャーがあることは念頭に置いておきましょう。ツアー前から自分の体調管理にも配慮し、仕事に穴を空けないようにすることも大切です。
判断や対応が難しい症例もある
ツアー中に発生する傷病者の中には、判断や対応が難しい症例に当たることもあります。特に子供や高齢者の場合、症状が定型でないことも多く判断に迷うケースも少なくありません。
「熱はあるけど元気」
「頭を強くぶつけたけど目立った外傷はない」
といったように、放っておくのは怖いけど救急車を呼ぶほどなのか判断に悩む経験をした看護師も多いです。
判断に迷う場合は引率の先生やツアーの添乗員と相談したり、受診の手配をすると良いでしょう。
ツアーナースになるためには
ツアーナースになるために必要な資格や研修などは特にありません。希望する求人とマッチングすれば、ツアーナースとしてすぐに働けることがほとんどです。
ツアーナースは派遣会社や転職サイトを通じて紹介されます。ツアーナースは直接募集されることはあまりないので、転職サイトまたは派遣会社に登録しておきましょう。特にエージェント型の転職サイトは、以下のサポートを無料で受けられるのでおすすめです。
- 希望条件のヒアリングや相談
- 求人の紹介
- 面接等の日程調整
- 履歴書の添削、面接対策
- 給与などの条件交渉
- 採用後のアフターフォロー
ツアーナースに強い転職エージェントはMCナースネット
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まとめ
ツアーナースはツアー参加者の健康管理と応急救護を行う看護師です。主な仕事内容は以下のとおりです。
- ツアー参加者の持病やアレルギーの把握
- ツアー中の健康管理
- 起こりうる怪我や体調不良の予防
- 傷病者発生時の応急処置
- 医療機関への受診の手配
ツアーナースは基本的に1人で同行するため、高いコミュニケーション能力と適切かつ迅速な判断力が必要です。
旅行に同行しながら貴重な経験が積めるのはツアーナースだけですね。
ツアーナースの給料は1日あたり1.5万円が相場なので、期間が2〜3日になると3〜5万円稼ぐことも可能です。
直接雇用ではなく、転職サイトや派遣会社から派遣されるのが一般的なので、ツアーナースになりたい場合はエージェント型転職サイトの利用がおすすめです。
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