看護師の仕事は、幅広い医療知識が求められるだけでなく、患者さんや他の医療スタッフと深く関わるため、適性が問われる職業です。
私も十数年看護師として働いていますが、ミスやトラブルが起きた時には「本当に看護師に向いているのだろうか…」と自信を失うことがあります。
本記事では、看護師に向いている人の特徴や必要なスキルについて詳しく解説します。さらに、自分に合った職場を選ぶコツも紹介します。記事を読むことで自分の適性を見直し、看護師としてのキャリアをより充実させるヒントが得られるでしょう。
看護師として働くことに不安を感じている方や、これから看護師を目指そうとしている方は、ぜひ最後までお読みください。
看護師に向いている人の特徴
看護師は人の命を左右することもあり、責任の重い職業です。看護師に向いている人には、以下の特徴があります。
- 責任感が強い
- コミュニケーション能力が高い
- 体力がある
- 学び続ける姿勢がある
- 臨機応変に対応できる
責任感が強い
看護師に向いている人は責任感があり、疑問を放置せず、報告・相談ができる人です。責任感が強い人の特徴は、以下のとおりです。
- ルールを遵守する
- 時間管理ができる
- 発言や言動に責任を持つ
- 仕事を途中で投げ出さない
- ミスを隠さずに報告できる
- 確認を怠らない
ルールを遵守し確認を徹底する姿勢は、患者さんの安全だけでなく、チーム全体の信頼関係にも繋がります。これらの特徴を意識することで、看護師としての適性を高め、充実したキャリアを築くことができるでしょう。
看護師を目指している方や現役で不安を感じている方も、この考え方を取り入れてみてください。
コミュニケーション能力が高い
看護師は、患者さんや医師、他の医療従事者など、多くの人と関わる職業です。そのため、コミュニケーション能力は看護師に欠かせないスキルです。必要なのは「話す力」だけではありません。相手の話を正確に聴き取り、状況を把握する聴く力や、必要な情報を収集・整理する情報収集能力も求められます。
患者さんが置かれている状況や理解力に応じた説明や指導を行うには、まず相手をよく観察し、深く理解することが大切です。「どんな言葉なら伝わるか」「どのように説明すれば安心してもらえるか」といった配慮が、患者さんとの信頼関係を築く鍵になります。
看護師の仕事は、医師や他の医療スタッフとの連携によって成り立ちます。例えば、入院生活や治療・検査をスムーズに進めるためには、正確で効率的な報告・連絡・相談が欠かせません。
新人看護師が最初に学ぶのも、この報連相(報告・連絡・相談)の徹底です。
チーム全体で情報を共有し、患者さんに最適なケアを提供するための基礎となるスキルです。
体力がある
看護師に向いているのは、体力と自己管理能力が優れている人です。特に夜勤では昼夜逆転による体力消耗が激しく、多くの看護師が「きつい」と感じています。日勤でも人手不足で一人当たりの業務が増える傾向があり、体力的な負担は大きいのが現状です。それでも患者さんを支えるやりがいのある仕事のため、疲労やストレスをうまく解消し、体調管理を徹底できる人が適しています。看護師を目指すなら、心身の健康を保つスキルが重要です。
私も色々な仕事を経験して看護師になりました。やりがいは大きいですが、体力的には1番きついと感じています。
学び続ける姿勢がある
日々経験したことを学習して実践に活かせる人は、看護師に向いています。治療方法や看護ケアのエビデンス、医療を取り巻く背景は常に変化し続けています。新しい情報を入手しておかなければ、患者さんにベストな医療、看護を提供することができません。学び続ける姿勢がある人は、他のスタッフや医師からも信頼され、看護師としてのキャリアアップにも繋がります。
看護協会でも主体的に学ぶことの重要性が掲げられており、「看護師の生涯学習ガイドライン」で提唱しています。
学び続けることは、看護師として自分が望む働き方の実現や、安全で適切な医療・看護の実践、知識をアップデートするのに有効です。
臨機応変に対応できる
臨機応変に対応できる人も、看護師に向いています。看護師の仕事はマニュアル通りに進まないことも多く、多重業務が重なる場面では柔軟な対応力が求められます。
特に、個別性を重視する看護の現場では、患者さんの状況に応じてケアの方法を即座に調整する力が重要です。業務が重なった際には、優先順位を判断しながら合理的に解決していくスキルが必要です。これにより業務が円滑に進み、他のスタッフからも信頼される存在になります。柔軟な対応力が、看護師としての活躍の鍵となるでしょう。
頭の回転が速く、どんな状況でも冷静に対応し、テキパキと仕事をこなせる人は、看護師にぴったりの適性を持っています。
看護師に向いている人が持つスキル
看護師に向いている人は、以下のスキルが高いです。
- 観察力
- 判断力
- 医療知識
人によって得意や不得意もあるため、それぞれスキルの磨き方や不得意部分を補う方法も合わせて解説します。
観察力
看護師に向いている人には、患者さんの異変を察知する優れた観察力が必要です。看護師の仕事は、バイタルサインを測定するだけでなく、患者さんの顔色や言動、身体全体の状態を細かく観察することが求められます。特に、小児や意識レベルが低下している患者さん、鎮静中の患者さんなど、言葉で異常を訴えられない場合には、看護師の観察力が大きな役割を果たします。
観察力を鍛えるには、変化を敏感に捉え、思い込みを排除する姿勢が重要です。起こりうる状況を常に想定しながら、体系的に観察を続けることが大切です。
多角的な視点で患者さんを見守る人は、看護師に向いていると言えるでしょう。
判断力
観察を活かした適切な判断力も、看護師に必要なスキルです。看護師は、観察した内容をもとに医師に報告するべきか、看護ケアで対応するべきかを常に判断しながら業務を進める必要があります。
新卒の場合は、些細なことでも先輩に報告することが重要です。先輩がどのように判断して医師に報告したり、適切な対応をしているのかを学ぶことで、自然と判断力が身につきます。リーダーや管理職になると、判断の責任がさらに重くなります。判断材料を多く集め、迷ったときには他のスタッフと相談しながら決めることで、より多角的な視点での問題解決が可能です。観察力と判断力を磨くことで、看護師としての適性がさらに高まります。
経験が浅い人や判断力に自信がない人も、周囲の助けを借りながら成長できるため、相談する姿勢を大切にすると良いでしょう。
医療知識
医療知識が豊富なことは、看護師に向いている特徴のひとつです。幅広い知識や経験を積むことで、多角的な視点で物事を捉えられるようになります。ひとつの部署で専門的に知識を深めることで、その分野での高い専門性を身につけることも可能です。
看護師として医療知識を増やすには、症例を振り返り、学習を継続することが欠かせません。日々の努力を積み重ねることで、医師への的確な報告や患者さんへの分かりやすい説明ができるようになります。結果的に、患者さんや同僚から信頼され、頼りにされる存在になれるでしょう。
医療知識を深める姿勢を持つ人は、看護師としてより充実したキャリアを築くことができます。
看護師に向いていないと感じる人の特徴
看護師に向いていないと感じてしまう人には、以下の特徴が見られます。
- 不規則な生活リズムが苦手な人
- 人とのコミュニケーションが苦手な人
- 責任感が弱い人
不規則な生活リズムが苦手な人
看護師は、夜勤がある職場では生活リズムが不規則になりやすい仕事です。夜勤で体調を崩しやすい人や、夜の勤務が苦手な人には向いていない場合もあります。ただし、クリニックや健診センターのように夜勤のない職場もあるため、規則的な生活を重視する場合は、日勤で働ける環境への転職を検討してください。
ただし、夜勤手当は看護師の収入の大きな柱です。夜勤がない職場は年収が下がる傾向があるため、収入面を含めて慎重に職場を選ぶことが大切です。
自分に合った働き方を見つけることで、看護師としてのキャリアをより快適に続けられるでしょう。
人とのコミュニケーションが苦手な人
看護師は、人との関わりが避けられない職業です。コミュニケーションが苦手な人にとっては、大きなストレスを感じることもあります。どの職場であっても、患者さんやその家族、医師、他の医療従事者とのやり取りが必要不可欠です。円滑なコミュニケーションが取れなければ、安全で質の高い医療を提供することは難しいでしょう。新卒看護師の多くは、患者さんとのコミュニケーションに不安を抱えています。知識を深め、思考を整理しながらスキルを磨くことで、確実に向上していきます。
私も新人の頃、コミュニケーションエラーで失敗した経験があります。その際には振り返りを行い、次の最善策を考えたり、先輩に相談してアドバイスをもらいながら改善してきました。
コミュニケーション能力はチーム医療においても重要ですが、努力しだいで伸ばせるスキルです。苦手な部分をどうリカバーしていくかを意識すると、看護師としての成長が加速するでしょう。
責任感が弱い人
責任感が弱い人は、ミスやインシデントを起こしやすく、看護師には向いていない傾向があります。確認不足や適当な対応によるミスが増えると、患者さんや同僚、医師からの信頼を失い、重要な業務を任されることも少なくなります。
ミスを隠したり他人のせいにする、やりたくない仕事を後回しにする、人に押し付けるといった行動は、職場全体の士気を下げるだけでなく、チーム医療の妨げになります。特に、当事者意識が弱く「誰かがやってくれるだろう」と他力本願な姿勢では、看護師として働き続けることは難しいでしょう。責任感を持って仕事に向き合うことが、信頼される看護師への第一歩です。
看護師は患者さんの命を預かる責任の重い仕事です。この責任や重圧から逃れることはできないということを、しっかりと認識する必要があります。
看護師に向いていないと感じたときの対処法
看護師として働いていると、「自分は看護師に向いていないのではないか」と悩む瞬間があるものです。特に新卒の頃はミスも多く、失敗が続くことでその気持ちがさらに強まることもあるでしょう。
看護師に向いていないと感じたときは、以下の対処法を実践してみましょう。
- 理由を明確にする
- 院内での移動を検討する
- 転職を検討する
理由を明確にする
「看護師に向いていない」と感じたときは、まずその理由を明確にすることが大切です。原因をはっきりさせることで、具体的な対策を見つけやすくなります。
例えば、ミスが多い場合はメモを活用したり先輩に確認を取るなど、ミスを防ぐ工夫ができます。他の看護師と比べて自分が劣っていると感じる場合は、周りの良い点を学び、成功体験を積み重ねて自信をつけていくことが重要です。学習が苦手な人は、分からない点を医師や先輩に相談してみましょう。自分の課題を理解し、それを補う行動を起こすことで、看護師として成長できます。
看護師に向いている人は、「短所を克服する努力ができる人」です。自分の弱点を見直し、改善に向けて一歩を踏み出してみてください。
院内での異動を検討する
看護師に向いていないと感じた場合、院内での異動を検討することも有効な対処法です。同じ病院でも、部署ごとに業務内容や人間関係など、働く環境は大きく異なります。例えば、救急外来やICUなどの特殊病棟は高度なスキルや集中力を要するため、負担が大きいです。一方で、一般病棟よりも自分の能力を発揮できると感じる人もいます。逆に一般病棟の方が自分に合っている場合もあります。
異動は、新たな環境で自分の得意分野を活かし、苦手を避けるきっかけとなります。自分の適性や希望を上司や人事担当に相談し、働きやすい部署を見つけることで、自信を持って仕事に取り組めるようになるでしょう。
実際に、異動することで生き生きと仕事に取り組む姿を見せる人も多いです。
転職を検討する
異動を試みるのも良い選択ですが、転職することで新たなやりがいを見つけられる場合もあります。病院の業務が合わないと感じる人は、病院以外の職場を検討してみましょう。看護師の資格を活かせる職場は多岐にわたります。例えば以下のような選択肢があります。
- 介護施設
- 美容クリニック
- 治験コーディネーター
- 研究機関
- 教育機関
- 検診センターや献血センター
- 医療ライター
これらの職場は、それぞれ求められるスキルや働き方が異なるため、自分に合った環境を選ぶことが大切です。看護師としての強みを活かし、やりがいを感じられる新たな職場を探してみましょう。
看護師が自分に合った職場を選ぶコツ
転職する際は、自分に合った職場を選択することが重要です。以下のポイントをおさえておくと、理想の職場を見つけやすくなります。
- 自分の理想の働き方を明確にする
- 職場の環境や雰囲気を確認する
自分の理想の働き方を明確にする
自分に合った職場を見つけるためには、まず理想の働き方を明確にすることが大切です。「ワークライフバランスを重視したい」「ゆっくり学べる環境で働きたい」など、看護師としてどのように働きたいかを具体的に書き出してみましょう。さらに、自分の得意分野や苦手なことも踏まえて条件を整理すると、より理想に近い職場像が浮かびます。
すべての条件を満たす職場を見つけるのは難しいため、優先順位をつけることも重要です。「年収」「勤務時間」「人間関係」など、自分にとって譲れないポイントを明確にしましょう。
また、自分では考えつかなかった選択肢を提案してくれる看護師専門の転職エージェントを活用するのもおすすめです。相談することで選択肢が広がり、効率的に理想の職場を見つけられる可能性が高まります。
詳しくは、こちらの記事「おすすめの看護師転職エージェント」をご覧ください。理想の職場探しを全力でサポートしてくれるエージェントを厳選して紹介しています。
職場の環境や雰囲気を確認する
職場の環境や雰囲気を事前に確認することは、自分に合った職場を見つけるために重要です。求人情報だけではわからない人間関係や労働環境は、実際に見学することで把握できることも多いでしょう。
私自身、転職の際に病院を見学し、職場の雰囲気を確認した経験があります。院内の空気感や現場で働く看護師の表情、言動を見るだけでも、その職場の特徴をつかむことができました。
求人情報に記載されている条件だけで決めるのではなく、見学を通じて実際の職場を確認することで、働き始めてからのギャップを減らせます。「自分に合った職場を見つけたい」と考えている人は、見学に行くなどして求人情報だけではわからない部分をしっかり確認しておきましょう。
看護師専門の転職エージェントを利用するのもおすすめです。以下の記事で紹介する転職エージェントは、数多くの転職支援実績があり、職場の雰囲気や内情に精通しています。求人票には掲載されないリアルな情報を得られるメリットは大きいため、積極的に活用しましょう。
まとめ
看護師に向いている人は、コミュニケーション能力や医療知識、責任感がある人です。それぞれ得意・不得意があっても、報告や相談を密に行い、日々の経験を振り返ることで看護師として成長できます。自信を失ったり、やりがいを感じられなくなったりした場合は、部署異動や転職を検討するのもひとつの方法です。
自分の強みや傾向を見つめ直し、どんな看護師になりたいかを考えてみましょう。本記事を参考に、生き生きと働けるマインドを意識してください。
コメント