「夜勤が辛くて辞めたい…」と悩む看護師さんも多いのではないでしょうか。「夜勤」は看護師とは切っても切れない働き方のひとつです。実際に10年以上にわたり急性期病院などで夜勤を経験した私ですが、今は主任として現場をマネジメントする立場にあり、日勤のみで働いています。

夜勤をバリバリやっていた頃と今では体力面・精神面に劇的な違いがあります。
この記事では、私が夜勤をやめて本当に良かったと感じる5つの理由から、気になる収入面への影響、後悔しないためのタイミングや職場選びのコツまで、リアルな視点で徹底解説します。記事を読めば、自身のキャリアと生活を前向きに変えるための選択肢が見つかるでしょう。
私が夜勤をやめるまでの道のり


「夜勤、もう体力的にも精神的にも限界かもしれない…」そう思いながらも、看護師として働く上で夜勤は当たり前だと自分に言い聞かせ、無理を重ねていませんか?
実は私もそうでした。ここでは、私が夜勤中心の生活から日勤のみの生活へ移行するまでの、リアルな道のりをお話しします。私の経験が、これからの働き方を考える上での一つの道しるべになれば幸いです。
- 急性期病院・精神科・介護施設などで10年以上の夜勤経験
- 2交代制・3交代制の夜勤も経験
- 主任昇進により日勤のみへ移行した現在
急性期病院・精神科・介護施設などで10年以上の夜勤経験
私が看護師免許を取得してから歩んできたキャリアは、まさに「夜勤と共にあった」と言っても過言ではありません。新卒で配属された急性期病院を皮切りに、精神科病院、そして介護施設と、合計で10年以上にわたり夜勤業務に従事してきました。それぞれの現場で求められるスキルや夜勤の特性は大きく異なり、多くの経験を積むことができましたが、同時に心身への負担も蓄積されていきました。



私の具体的な経歴を以下にまとめます。
- 急性期病院(約5年間)
- スタッフナースとして勤務。術後の患者管理や急変対応が多く、常に緊張感が漂う夜勤でした。仮眠時間もほとんど取れず、肉体的にも精神的にも最も過酷な時期でした。
- 精神科病院(約4年間)
- 急性期とは異なる種類の緊張感を伴う夜勤を約4年間経験。不穏時の対応や患者との対話が中心で、精神的な消耗が激しかったです。夜間の静寂の中で孤独を感じることも多々ありました。
- 有料老人ホーム(約3年間)
- 看護師として入所者の健康管理を担当。医療行為は少ないものの、慢性的な人手不足から介護業務も兼務。夜間帯の身体介助が多く、腰痛など身体的な負担が大きい夜勤でした。
このように、異なる3つのフィールドで夜勤を経験したからこそ、それぞれの現場が抱える夜勤の「辛さ」を身をもって理解しています。この経験が、「夜勤をやめてよかった理由」や「後悔しない職場選び」のリアルな視点につながっています。
2交代制・3交代制の夜勤も経験
看護師の夜勤と一括りに言っても、その勤務形態は病院や施設によって様々です。私はキャリアの中で、代表的な「2交代制」と「3交代制」の両方を経験しました。



どちらの勤務形態にもメリット・デメリットがあり、私の体調やライフスタイルに与える影響も異なりました。
項目 | 2交代制 | 3交代制 |
勤務時間 | 16:30~翌9:30(約16時間勤務、休憩2時間) | 準夜勤 16:30~0:30 / 深夜勤 0:00~9:00 |
感じたメリット | 夜勤明けとその翌日が休みになるため、休日が多いように感じられる。1回の出勤でまとまった夜勤手当がもらえる。 | 1回の勤務時間が短いため、体力的には楽に感じやすい。日中の時間を有効活用できることがある。 |
感じたデメリット | 勤務時間が長く、特に明け方は疲労がピークに。生活リズムが完全に昼夜逆転し、休日は寝て過ごすことが多かった。 | 勤務と勤務の間隔が短く(日勤→深夜、準夜→日勤など)、常に寝不足感があった。休みが細切れでリフレッシュしにくい。 |
特に3交代制から2交代制の職場へ移った際は、休日の多さに魅力を感じましたが、1回の勤務の長さが想像以上に体にこたえ、生活リズムを整えるのに苦労しました。どちらの勤務形態も経験したことで、自分にとって「働きやすいリズム」とは何かを真剣に考えるきっかけになりました。
主任昇進により日勤のみへ移行した現在
長年夜勤を続けてきた私に転機が訪れたのは、介護施設で勤務してからのことです。これまでの経験とリーダー業務への取り組みが評価され、看護主任への昇進というお話をいただきました。主任の役職は、スタッフの労務管理や教育、他部署との連携が主な業務となるため、基本的に日勤のみの勤務となります。
正直なところ、夜勤手当がなくなることへの収入面の不安はありました。しかし、それ以上に「夜勤のない生活」への期待感が大きく、このチャンスを逃す手はないと決断しました。



この決断が、私の看護師人生における大きなターニングポイントとなったのです。
現在、日勤のみの生活になって約1年が経ちます。管理職としての責任は増えましたが、夜勤時代に感じていた心身の不調は嘘のように改善されました。規則正しい生活を取り戻し、家族と過ごす時間も増え、仕事へのモチベーションも新たな形で高まっています。この経験を通して、「看護師は夜勤をしなければキャリアを築けない」という考えは、決して真実ではないと確信しました。
看護師の私が夜勤をやめてよかった5つの理由


これまで10年以上現場で夜勤を経験した私が、日勤のみの働き方に移行して「心からやめてよかった」と感じる理由を5つ、具体的なエピソードを交えてご紹介します。
- 健康面が劇的に改善された
- 精神的ストレスが大幅に軽減した
- 家族やプライベートの時間が確保できた
- 生活リズムが安定し生産性が上がった
- 長期的なキャリアの見通しが明るくなった
健康面が劇的に改善された
夜勤をやめて最も大きな変化を感じたのは、間違いなく「健康面」です。夜しっかり寝られることで、長年当たり前だと思っていた身体の不調が、まるで嘘のように改善されました。
夜勤時代に抱えていた不眠や頭痛の悩み
夜勤をしていた頃は常に身体が重く、心身の不調が絶えませんでした。特に深刻だったのが、睡眠障害と慢性的な頭痛です。
- 不眠
- 夜勤明けは疲れているはずなのに目が冴えてしまい、なかなか寝付けない。かと思えば、日中の仮眠では深く眠れず、すぐに目が覚めてしまう。常に睡眠不足の状態で、頭にモヤがかかったような感覚でした。
- 頭痛
- 特に勤務交代のタイミングで、締め付けられるような頭痛に頻繁に悩まされました。市販の鎮痛剤を常に白衣のポケットに忍ばせ、「お守り」のように持ち歩くのが習慣になっていました。
- その他の不調
- 他にも、食欲不振や胃もたれ、女性ホルモンのバランスの乱れによる肌荒れや生理不順など、数え上げればきりがないほどの不調を抱えていました。当時は「看護師の仕事はこういうものだ」と自分に言い聞かせていましたが、今思えば身体は限界のサインを出していたのです。



私の場合、頭痛は本当にひどかったです。夜勤明けは薬も効かないほどの頭痛に悩まされる人も多いのではないでしょうか。
日勤だけになったら身体の不調がどう変化したか
日勤のみの生活に切り替わってから、私の身体は驚くほど正直に反応してくれました。夜勤時代と現在の変化を比較すると、その差は一目瞭然です。
項目 | 夜勤をしていた頃 (Before) | 日勤のみの現在 (After) |
睡眠 | 寝付きが悪く、日中の仮眠も浅い。常に寝不足で疲労感が抜けない。 | 夜になると自然に眠くなり、朝までぐっすり眠れる。目覚めがスッキリ。 |
頭痛 | 週に2〜3回は鎮痛剤を服用。特に勤務前後に頻発。 | 鎮痛剤を飲む機会がほぼなくなった。たまの肩こり程度。 |
食事 | 不規則で、夜勤中は菓子パンやカップ麺で済ませがち。胃もたれも頻繁。 | 3食規則正しく、温かい手料理を食べられるように。食事が楽しみに。 |
このように、太陽の光を浴びて日中に活動し、夜に眠るという人間本来の生活リズムを取り戻しただけで、長年悩み続けた不調のほとんどが解消されました。



薬に頼ることもなくなり、心身ともに健康的な毎日を送れています。
精神的ストレスが大幅に軽減した
身体の健康と同じくらい、あるいはそれ以上に大きな変化があったのが精神面です。夜勤特有の重圧から解放され、心の安定を取り戻すことができました。
夜勤特有の孤独感やプレッシャーの重さ
夜勤は日中と比べてスタッフの数が圧倒的に少なく、広いフロアを看護師2名、あるいは1名で担当することも珍しくありません。この環境が、特有の精神的ストレスを生み出します。
- 孤独感
- 静まり返った病棟で、患者さんの寝息とナースコールの音だけが響く時間。世間が寝静まっている中でたった一人(あるいは少人数)で働き続けることに、言いようのない孤独を感じていました。
- プレッシャー
- 患者さんの急変や緊急入院が発生した際、その場で判断し、対応しなければならないのは基本的に夜勤の看護師です。医師に連絡すべきか、もう少し様子を見るべきか。限られた情報と経験の中で下す判断の一つひとつに、重い責任がのしかかっていました。「もし自分の判断が間違っていたら…」というプレッシャーは、常に心にありました。
日勤勤務で得られた精神的な安定と余裕
主任に昇進して日勤のみの勤務になったことで、管理職としての責任は以前より増しました。しかし、不思議なことに精神的な負担は大幅に軽減されたのです。それは「ストレスの質」が全く違うからです。
夜勤時代のストレスは、心身をすり減らす「消耗型のストレス」でした。一方で、現在感じている責任は、チームで課題を解決し、より良い看護を提供するための「建設的なストレス」です。
日勤では、周りに相談できる医師や先輩、同僚が常にいます。一人で抱え込む必要がなく、「チームで患者さんを見ている」という安心感が、精神的な安定につながっています。この心の余裕が生まれたことで、スタッフの育成や業務改善といった、より前向きな仕事にエネルギーを注げるようになりました。
家族やプライベートの時間が確保できた
夜勤をやめたことで、当たり前のようでいて、これまで叶わなかった「大切な人たちとの時間」を取り戻すことができました。
夜勤をしていた頃は、生活リズムが家族や友人と真逆でした。妻が仕事から帰ってくる頃に私は出勤し、私が帰宅する頃にはもう誰もいない。友人との集まりも、勤務と重なれば欠席せざるを得ませんでした。「夜勤だから仕方ない」と諦めていましたが、徐々に社会から孤立していくような寂しさを感じていたのも事実です。
日勤のみになってからは、平日の夜に家族と一緒に食卓を囲み、その日あった出来事を話す、というごく普通の日常が手に入りました。週末に休めることも増え、旅行の計画を立てたり、友人と気兼ねなく会ったりすることができます。



この「普通の生活」が、仕事へのモチベーションを維持する上で、いかに重要であるかを痛感しています。
生活リズムが安定し生産性が上がった
規則正しい生活は、プライベートだけでなく仕事の質にも良い影響を与えました。生活リズムが整ったことで、日中の生産性が格段に向上したのです。



これまで目が行き届かなかった職場環境の整備などにも取り組めるようになりました。
夜勤明けの休日は、睡眠不足を補うために寝て過ごすだけで終わってしまうことがほとんど。頭がぼーっとして、家事や自己学習など、何かをしようという気力が湧きませんでした。
現在は毎日決まった時間に起きて、決まった時間に寝る生活を送っています。その結果、以下のような好循環が生まれました。
- 日中の集中力が持続し、ケアの質や判断力が向上した
- 勤務時間内に効率よく業務を終えられるようになり、残業が減った
- 仕事終わりの時間や休日を、資格の勉強や趣味など自己投資に使えるようになった
体内時計が整うことの重要性は、厚生労働省の資料でも指摘されている通り、心身の健康とパフォーマンスに直結します。生活の質(QOL)と仕事の生産性の両方が向上したことは、夜勤をやめて得られた大きなメリットです。
長期的なキャリアの見通しが明るくなった
「夜勤ができないと、看護師として一人前ではないのでは?」「日勤だけだとキャリアアップできないのでは?」と不安に思う方もいるかもしれません。私もかつてはそうでした。しかし、現実は全く逆でした。
夜勤を続けていると、どうしても目の前の業務に追われ、長期的な視点で自分のキャリアを考える余裕がなくなってしまいがちです。



体力的な問題から「この働き方をいつまで続けられるだろう…」という漠然とした不安もつきまといます。
日勤のみの働き方に移行したことで、私は初めて腰を据えて自分のキャリアと向き合うことができました。日中の委員会活動や研修に積極的に参加できるようになったことで、看護の専門性だけでなく、マネジメントや教育といった新たな分野への関心も深まりました。主任へ昇進した今、認定看護管理者を目指して勉強する時間も確保できています。
夜勤をやめることは、キャリアの終わりではありません。むしろ、体力的・精神的な余裕が生まれることで、これまで見えていなかった新しいキャリアパスを切り拓くための「始まり」になるのです。
看護師が夜勤をやめずに続けるリスクとは?


夜勤は高い手当が魅力ですが、その一方で心身に大きな負担をかけることも事実です。私自身、10年以上の夜勤経験を通じてそのリスクを痛感しました。ここでは、夜勤を続けることで生じる可能性のある具体的なリスクについて、客観的な情報をもとに詳しく解説します。
- 身体的なリスク
- 精神的なリスク
- ライフスタイルへの影響
身体的なリスク
人間の身体は、太陽の光を浴びて目覚め、夜になると眠るという「サーカディアンリズム(体内時計)」に基づいて機能しています。夜勤はこのリズムを根本から乱すため、さまざまな身体的不調を引き起こす原因となります。
ホルモンバランスと自律神経の乱れ
夜勤による不規則な生活は、ホルモン分泌に深刻な影響を与えます。睡眠を促す「メラトニン」や、ストレスホルモンである「コルチゾール」の分泌リズムが乱れることで、自律神経のバランスも崩れやすくなります。これらの不調は一時的なものと軽視されがちですが、慢性化することでより深刻な健康問題へとつながる可能性があります。
重大な病気の発症リスク上昇
長期的な夜勤は、がんや生活習慣病など、命に関わる病気のリスクを高めることが国内外の研究で指摘されています。特に、世界保健機関(WHO)の専門組織である国際がん研究機関(IARC)は、2007年に「サーカディアンリズムを乱す交代勤務」を「ヒトに対しておそらく発がん性がある(グループ2A)」と分類しました。



これは、アスベストや紫外線と同等レベルのリスク評価です。
夜勤によって高まるとされる具体的な病気のリスクを以下の表にまとめました。
リスクの種類 | 具体的な病名 | 主な原因・背景 |
がん | 乳がん、前立腺がん、大腸がん など | 睡眠不足や夜間の光曝露による、がん抑制効果のあるメラトニンの分泌低下。免疫機能の低下。 |
心血管疾患 | 高血圧、心筋梗塞、脳卒中 など | 交感神経の過緊張、ストレスホルモンの増加、血圧や心拍数の変動。 |
生活習慣病 | 糖尿病、脂質異常症、肥満 など | インスリン抵抗性の上昇、夜間の食事による血糖値コントロールの乱れ、代謝機能の低下。 |
消化器疾患 | 胃潰瘍、逆流性食道炎、過敏性腸症候群 など | 不規則な食事時間、ストレスによる胃酸分泌の異常、消化管運動の乱れ。 |
これらのリスクは、夜勤の頻度や期間、個人の体質によって異なりますが、夜勤を続ける限り誰にでも起こりうる問題として認識しておくことが重要です。



夜勤が身体に与える影響について、以下の記事でも詳しく解説しています。ぜひチェックしてみましょう。
»「夜勤が体に悪い」は嘘だった?体験談と医学データで徹底検証!
精神的なリスク
身体だけでなく、心にも夜勤は大きな影響を及ぼします。日中のような活気がなく、限られたスタッフで対応しなければならない夜勤の環境は、特有の精神的ストレスを生み出します。
うつ病や不安障害のリスク
体内時計の乱れは、精神の安定に関わる神経伝達物質「セロトニン」の分泌にも影響します。セロトニンが不足すると、気分の落ち込みや意欲の低下、不安感の増大などを引き起こし、うつ病や不安障害の発症リスクを高めることが知られています。また、夜勤中の強い孤独感や、急変対応へのプレッシャー、患者さんからの暴言・暴力なども、精神的な負担を増大させる要因です。
燃え尽き症候群(バーンアウト)の危険性
燃え尽き症候群は、持続的な職務上のストレスにより引き起こされる心身の極度の疲弊状態です。特に看護師はバーンアウトしやすい職種と言われており、夜勤による疲労の蓄積は大きな引き金となります。主な症状は以下の3つです。
- 情緒的消耗感
- 仕事を通じて情緒的に力を出し尽くし、消耗してしまった状態。
- 脱人格化
- 患者に対して思いやりのない態度をとったり、非人間的な対応をしたりする状態。
- 個人的達成感の低下
- 仕事へのやりがいや達成感を感じられなくなる状態。



「以前のように患者さんに優しくできない」「仕事に行くのが心底つらい」と感じるようになったら、バーンアウトのサインかもしれません。
ライフスタイルへの影響
夜勤は、仕事以外のプライベートな時間、つまりライフスタイルそのものにも大きな制約をもたらします。
家族や友人とのすれ違い
世の中の多くの人が活動している時間に眠り、眠っている時間に働く。この生活リズムのズレは、家族や友人との間に溝を生むことがあります。パートナーと食事や会話の時間が合わない、子どもの学校行事に参加できない、友人からの誘いを断ることが多くなるなど、大切な人とのコミュニケーションが希薄になり、孤独感を深める原因となります。
結婚・妊娠・子育てへの障壁
将来的に結婚や出産を考えている女性にとって、夜勤はさらに大きな課題です。ホルモンバランスの乱れが妊活に影響を与える可能性も指摘されています。子育て中の場合、夜間に子どもを預かってくれる場所の確保はとても難しいです。



パートナーや親族の協力が得られない場合、夜勤を続けること自体が困難になるケースも少なくありません。
夜勤は収入面でのメリットがある一方で、心身の健康や大切なライフプランを脅かすさまざまなリスクをはらんでいます。自分自身のキャリアと人生を長期的な視点で考えたとき、これらのリスクを正しく理解し、働き方を見直すタイミングを考えることが非常に重要です。
看護師の私が夜勤で一番辛かったこと【やめたいと思ったきっかけ】


私が「夜勤をやめてよかった」と心から思う背景には、言葉では言い尽くせないほどの辛い経験がありました。ここでは、私が10年以上の夜勤で実際に体験した、特に過酷だった現場ごとのリアルな辛さを解説します。
- 急性期病院での夜勤の辛さ
- 精神科病院での夜勤の特殊性
- 介護施設の夜勤の現実
急性期病院での夜勤の辛さ
私が最初に経験した急性期病棟の夜勤は、まさに「戦場」でした。特に辛かったのは、肉体的にも精神的にも一瞬たりとも気が休まらないことです。
夜間でも緊急入院や救急外来からの受け入れは日常茶飯事。その対応に追われている最中に、病棟ではナースコールが鳴りやみません。心電図モニターのアラームが鳴れば、血の気が引く思いで駆けつけます。仮眠時間は設けられていましたが、実際にはコール対応や急変対応でほとんど眠れない日もあります。「仮眠」という名の短い休憩時間でさえ、常に緊張状態は続いていました。
»救急看護師がきついと言われる本当の理由7選|現場のリアル体験談も紹介



夜勤明けには、眠気と疲労でまっすぐ歩くことさえ辛いこともありました。
少ない人数で数十人の患者さんの命を預かるプレッシャーは想像を絶します。たった一つの判断ミスが、患者の状態を左右しかねない。そんな重圧の中で、睡魔と疲労と戦いながら朝まで業務をこなす日々。身体的な疲労はもちろん、常に神経を張り詰めていることによる精神的な消耗が、急性期病院の夜勤で最も辛かった点です。
精神科病院での夜勤の特殊性
急性期病院とはまた違う種類の辛さがあったのが、精神科病院での夜勤です。日中は比較的落ち着いている患者も、夜間になると不穏になったり、せん妄状態に陥ったりすることが少なくありません。
精神科の夜勤は、一見すると静かです。しかし、その静寂の中には常に予測不能なリスクが潜んでいます。突然大声を出される、暴言を吐かれることは日常的で、時には暴力に至るケースもゼロではありません。スタッフの人数も限られているため、一人で対応しなければならない場面も多く、常に身の危険と隣り合わせの緊張感がありました。
最も精神的に堪えたのが「孤独感」です。他のスタッフと離れた場所で一人、患者さんの見守りや巡視を行う時間が長く、相談できる相手が近くにいない状況は想像以上に心細いものです。



身体的な負担は急性期より少ないかもしれませんが、いつ何が起こるかわからない恐怖と孤独感は、じわじわと精神を削っていました。
精神科看護師の特殊性については、以下の記事で詳しく解説しています。
»精神科看護師に向いている人の特徴7選|筆者の体験談から学んだ必須の能力とは?
介護施設の夜勤の現実
介護施設での夜勤は、病院とは異なる「身体的な負担」と「人手不足」が深刻でした。特に私が経験した施設では、看護師1名と介護士1〜2名という、いわゆる「ワンオペ」に近い体制での夜勤でした。
夜間の主な業務は、利用者の定期的なおむつ交換や体位変換です。これが想像以上に重労働で、一晩で何十人もの利用者に対応するため、夜勤が終わる頃には腰が悲鳴を上げていました。慢性的な腰痛に悩まされるスタッフは私だけではありませんでした。認知症の利用者の対応も大きな負担です。夜間に徘徊されたり、不眠を訴えられたりする方への対応に多くの時間を割かれます。
»介護施設の看護師の役割と働き方を経験者が解説|施設別の具体例とリアルな本音



医療行為は少ないものの、その分、介護業務のウェイトが非常に重く、「これは看護師の仕事なのだろうか」と自問自答することも少なくありませんでした。
夜勤による健康への影響は、私個人の体験だけでなく、公的な調査でも指摘されています。日本看護協会は、交代制勤務が心身の健康に及ぼす影響について警鐘を鳴らしており、適切な休息や勤務間インターバルの確保の重要性を説いています。詳しくは、以下のガイドラインも参考にしてください。
参考:看護職員の夜間勤務・交代制勤務に関するガイドライン(日本看護協会)
看護師が夜勤をやめて後悔しないために考えるべきポイント


「夜勤をやめたいけれど、後悔しないか不安…」そう考える人も多いでしょう。10年以上夜勤を続けてきた私も、日勤のみになる前は同じように悩みました。ここでは、私の経験も踏まえ、後悔しないために考えるべき3つの重要なポイントを詳しく解説します。
- 収入面の変化
- キャリアへの影響
- 自分のライフスタイルと合った働き方をどう見つけるか
収入面の変化
夜勤をやめる際に、最も気になるのが収入面の変化ではないでしょうか。夜勤手当は看護師の給与の大きな部分を占めるため、これがなくなるインパクトは決して小さくありません。



事前に現実を把握し、対策を立てておくことで、不安は大幅に軽減できます。
夜勤手当は月収のどれくらい?リアルな金額
まず、夜勤手当が具体的にどれくらいの金額なのかを知っておきましょう。日本看護協会が公表しているデータによると、2交代制の夜勤1回あたりの手当の平均額は11,367円、3交代制の準夜勤は4,188円、深夜勤は5,152円です。(2023年 病院看護・外来看護実態調査より)
2交代の夜勤を月に4回こなしていた場合、単純計算で約45,000円が給与からなくなることになります。年収に換算すると50万円以上の減少となり、生活への影響は避けられません。まずは自身の給与明細を確認し、夜勤手当がいくらなのかを正確に把握することから始めましょう。
参考:2023年 病院看護・外来看護実態調査 報告書(PDF) – 日本看護協会
キャリアへの影響
「日勤だけになると、スキルが落ちるのでは?」「キャリアアップが難しくなるのでは?」といった不安もよく聞かれます。しかし私の経験上、それは大きな誤解です。



むしろ、夜勤をやめたからこそ得られるキャリアのチャンスもたくさんあります。
「スキルが落ちる」は誤解!日勤でこそ磨かれる専門性
夜勤は急変対応など、限られた状況下での判断力が求められますが、日勤には日勤でしか得られないスキルや経験があります。例えば、以下のような職場では、より専門的な知識や技術を深めることができます。
- 外来・クリニック
- 特定の疾患を持つ患者と長期的に関わり、継続看護や生活指導のスキルが磨かれます。
- 訪問看護
- 在宅という環境で、利用者さんの生活全体を支えるアセスメント能力や多職種連携のスキルが身につきます。
- 手術室(オペ室)
- 高度な医療機器の知識や、外科医との緻密な連携、周術期看護の専門性が高まります。
- 健診センター・企業内医務室
- 予防医療や健康管理の視点を養うことができます。
夜勤で培ったアセスメント能力や緊急時の対応力は、これらの日勤の職場でも必ず活きます。夜勤がなくなることをキャリアの停滞と捉えず、新たな専門性を身につけるチャンスと捉えましょう。
日中の研修参加でキャリアアップの道が拓ける
夜勤をやめて最も大きなメリットの一つが、日中の時間を有効に使えることです。夜勤明けで眠い中、研修に参加する必要はもうありません。平日の日中に行われる学会や研修、勉強会に積極的に参加できるようになり、自己研鑽の機会が格段に増えます。
私自身、主任に昇進して日勤のみになってから、マネジメント研修やリーダーシップ研修に参加する機会が増えました。結果的にプレイヤーとしての視点だけでなく、組織全体を見る視点が養われ、キャリアの幅が大きく広がったと実感しています。
専門看護師や認定看護師を目指す場合も、日勤中心の働き方のほうが学習時間を確保しやすく、有利に働くことが多いでしょう。
自分のライフスタイルと合った働き方をどう見つけるか
後悔しないためには、「なぜ夜勤をやめたいのか」という根本的な理由と向き合い、自分にとって何が一番大切なのかを明確にすることが不可欠です。収入、キャリア、プライベート、健康…優先順位は人それぞれです。自分に合った働き方を見つけるためのステップをご紹介します。
働き方を見つけるための3ステップ
Step1:優先順位を書き出す
まずは、自分自身が仕事や生活に何を求めているのかを正直に書き出してみましょう。「絶対に譲れない条件」と「できれば叶えたい条件」に分けるのがおすすめです。例えば、「土日休みは絶対」「年収は400万円以上欲しい」「残業は月10時間以内」「専門性を高めたい」など、具体的にリストアップします。
Step2:働き方の選択肢を知る
看護師の働き方は多様です。自分の優先順位と照らし合わせながら、どのような働き方が合っているか検討しましょう。それぞれのメリット・デメリットを理解することが大切です。以下の表を参考にしてみましょう。
働き方 | メリット | デメリット |
病院・クリニック(常勤日勤) | 収入や福利厚生が安定している キャリアアップしやすい | 土日休みでない場合がある 残業が発生しやすい職場もある |
訪問看護ステーション(常勤日勤) | 土日休みの事業所が多い 患者と深く関われる | オンコール対応がある場合も一 人で判断する場面が多い |
パート・アルバイト | 勤務時間や日数の調整がしやすい 家庭と両立しやすい | 収入が不安定 ボーナスや退職金がないことが多い |
派遣看護師 | 高時給の案件が多い 様々な職場を経験できる | 雇用期間が限定される 即戦力が求められるプレッシャーがある |
Step3:情報収集と相談をする
自分の希望がある程度固まったら、積極的に情報収集を始めましょう。実際に日勤のみで働いている知人に話を聞いたり、看護師専門の転職サイトやエージェントに登録して相談したりするのが有効です。プロの視点から希望に合った求人を紹介してもらえたり、キャリア相談に乗ってもらえたりします。
看護師が夜勤をやめるタイミングの見極め方


看護師が夜勤を辞めるタイミングは、今後のキャリアやライフプランに大きく影響する重要な決断です。ここでは、後悔しないためのタイミングの見極め方を3つの視点から具体的にお伝えします。
- 昇進・異動・転職など夜勤をやめやすい節目とは?
- 心や体のサインから判断する方法
- 夜勤を続けるか迷ったときに考えるべきこと
昇進・異動・転職など夜勤をやめやすい節目とは?
自ら「辞めます」と切り出すのが難しい場合でも、環境の変化は働き方を見直す絶好の機会になります。以下のような節目は、周囲の理解も得やすく、スムーズに日勤のみの働き方へ移行しやすいタイミングです。
- ライフイベント(結婚・妊娠・出産・育児・介護)
- 特に女性の場合、結婚や妊娠・出産は多くの看護師が夜勤のない働き方を検討する最大のきっかけです。パートナーとの生活リズムを合わせたい、体への負担を減らしたい、子育てに専念したいといった理由は、職場も配慮しやすいでしょう。また、親の介護が始まるタイミングも、働き方を見直す大きな節目となります。
- 職場内でのキャリアチェンジ(昇進・部署異動)
- 主任や師長などの管理職へ昇進すると、日勤中心の勤務形態になるケースが一般的です。また、外来、クリニック、健診センター、手術室(オンコール体制の場合もあり)など、もともと夜勤のない部署への異動希望を出すのも有効な手段です。定期的な人事異動のタイミングを狙って、上司に相談してみましょう。
- 転職
- 現在の職場で日勤への移行が難しい場合、転職は最も効果的で主体的な選択肢です。心機一転、自分の希望する働き方ができる職場を探すことで、キャリアの可能性も広がります。「夜勤なし」を前提に職場を探せるため、給与や業務内容など、他の条件もじっくり比較検討できます。



転職などで日勤のみの勤務を希望する際は、正社員として勤務できるかどうかを必ず確認しましょう。
心や体のサインから判断する方法
何よりも大切にすべきは、自身の心と体が発しているSOSサインです。給料やキャリアも重要ですが、健康を損なってしまっては元も子もありません。「これくらい大丈夫」と我慢し続けると、気づいたときには心身ともに限界を超えてしまう危険性があります。以下のようなサインが見られたら、それは働き方を見直すべき重要な警告です。
身体的なサイン
- 夜勤明けだけでなく、休日もずっと疲れている
- なかなか寝付けない、眠りが浅い、何度も目が覚める
- 慢性的な頭痛やめまい、耳鳴りがする
- 食欲不振や胃痛、便秘・下痢を繰り返す
- これまでなかった肌荒れやニキビが治らない
- 月経不順や無月経などホルモンバランスの乱れを感じる
- 風邪をひきやすく、治りにくい
精神的なサイン
- 仕事に行くのが心から憂鬱で、朝起き上がれない
- 理由もなく涙が出たり、感情の起伏が激しくなったりする
- これまで楽しめていた趣味や好きなことに興味がなくなった
- 仕事中の集中力や判断力が低下し、小さなミスが増えた
- 常にイライラしており、患者さんや同僚に優しくできない
- 夜勤中の強い孤独感や不安感に襲われる
- 「辞めたい」と「頑張らなきゃ」の間で気持ちが揺れ動き、疲弊している



これらのサインは、うつ病や燃え尽き症候群(バーンアウト)の初期症状である可能性も考えられます。
厚生労働省も「過重労働による健康障害を防ぐために」という資料の中で、長時間労働や不規則勤務のリスクについて警鐘を鳴らしています。少しでも当てはまる場合は決して自分を責めずに、まずは休養をとり、信頼できる上司や同僚、専門家へ相談することを検討してください。
夜勤を続けるか迷ったときに考えるべきこと
心身のサインを感じつつも、決断に迷うこともあるでしょう。そんな時は、一度立ち止まって自分自身の心と向き合う時間が必要です。以下の質問に自問自答することで、自分の本心や優先順位が明確になります。
自分と向き合うための5つの質問
- 【現状の整理】なぜ今、私は夜勤を続けているのか?
- 例:夜勤手当による収入のため、キャリアアップに必要だと思うから、断れないから
- 【メリット・デメリット】夜勤を続けることで「得ているもの」と「失っているもの」は何か?
- 例:得ているものはお金と経験、失っているものは健康とプライベートの時間
- 【長期的な視点】3年後、5年後、10年後も、この働き方を続けている自分を想像できるか?
- 例:今のままでは心身が持たないと思う、違うキャリアを歩んでいたい
- 【理想の姿】自分が本当に送りたい理想の生活(ライフスタイル)とはどんなものか?
- 例:朝起きて夜寝る規則正しい生活、家族と夕食を囲む時間、週末に趣味を楽しむ余裕
- 【不安の明確化】もし夜勤をやめたら、何が一番不安か?その不安は解決できるか?
- 例:収入減が不安→家計を見直す、副業を考える。スキルアップが不安→日勤でも学べる職場を探す
私自身が夜勤を続けるか迷った時の判断基準は、「休日に心から笑えているか」そして「看護という仕事に誇りを持てているか」の2点でした。夜勤明けの疲労で休日を寝て過ごすだけになり、患者への対応に余裕がなくなっている自分に気づいた時、「このままではいけない」と強く感じました。お金やキャリアも大切ですが、自分の心身の健康と、仕事への情熱を失ってしまっては、長く看護師を続けることはできません。



自分にとっての「譲れないもの」は何かを考えることが、後悔しない決断への第一歩になります。
看護師が夜勤をやめて後悔しない職場選びのコツ


勢いだけで転職先を決めてしまうと、「こんなはずではなかった…」と後悔するケースも少なくありません。夜勤をやめるという決断を最高の選択にするためには、次の職場選びが何よりも重要になります。
ここでは、多くの看護師のキャリアを見てきた私の経験から、後悔しない職場選びの具体的なコツを3つの視点でお伝えします。
- 日勤のみ勤務の職場の選び方
- 日勤でキャリアアップできる施設や病院の特徴
- 転職サイトやエージェント活用のポイント
日勤のみ勤務の職場の選び方
「日勤のみ」と一口に言っても、その働き方や業務内容は施設によって全く異なります。まずは代表的な日勤職場の特徴を理解し、ご自身の価値観やライフプランと照らし合わせてみましょう。



「給与」「休日」「やりがい」「スキル維持」など、何を最も優先したいのかを明確にすることが、ミスマッチを防ぐ第一歩です。
代表的な日勤職場のメリット・デメリット比較
職場種別 | メリット | デメリット | こんな人におすすめ |
クリニック(外来) | 日曜・祝日休みが多く、カレンダー通りに休める 基本的に定時で終業しやすい 専門分野の知識を深められる | 給与水準が病院に比べて下がる傾向 看護スキルが特定の分野に偏りやすい 急変対応など高度な臨床スキルを使う機会が減る | プライベートの時間を最優先したい人 特定の診療科目に興味がある人 |
訪問看護ステーション | 利用者一人ひとりとじっくり向き合える 自分の裁量でスケジュールを調整しやすい オンコール手当などで収入を補える場合がある | オンコール対応があり、精神的な負担を感じる人もいる 一人で判断・対応する場面が多く、責任が重い 運転免許が必須の場合が多い | 臨床経験が豊富で、自律的に働きたい人 在宅医療にやりがいを感じる人 |
介護施設(デイサービスなど) | 利用者の生活に寄り添ったケアができる 残業が少なく、体力的な負担が比較的軽い レクリエーションなどを通して利用者と楽しく関われる | 医療行為が少なく、臨床スキルが鈍る可能性がある 給与水準が他の職場より低めな傾向 介護業務が中心になる | 高齢者看護が好きで、医療行為よりも生活支援に重きを置きたい人 |
病院の外来・手術室 | 病院所属のため給与や福利厚生が安定している 院内研修などに参加でき、スキルを維持・向上しやすい 最先端の医療に触れる機会がある | 外来は多忙で、残業が発生することもある 手術室は待機や呼び出しがある場合も 病棟とは異なる専門知識やスキルが求められる | 臨床スキルを維持しつつ、規則正しい生活を送りたい人 |
健診センター・企業(産業看護師) | 土日祝休みで、年間休日が多い 規則正しい勤務時間で、残業はほぼない 予防医療という観点で人々の健康に貢献できる | 求人数が非常に少なく、競争率が高い 臨床現場から完全に離れることになる 業務がルーティン化しやすく、物足りなさを感じる可能性 | ワークライフバランスを徹底したい人 看護師資格を活かして新しい分野に挑戦したい人 |
日勤でキャリアアップできる施設や病院の特徴
実際に日勤常勤でありながら専門性を高め、管理職として活躍している看護師はたくさんいます。夜勤をやめてもキャリアを諦めないために、以下のような特徴を持つ職場を探しましょう。
- 教育・研修制度の充実度で選ぶ
- 日勤看護師も病棟看護師と同様に、院内外の研修へ参加する機会が確保されているかを確認しましょう。資格取得支援制度や学会参加費用の補助など、スキルアップを具体的に支援してくれる体制が整っている職場は、成長を後押ししてくれます。
- 専門性を追求できる環境があるか
- 例えば、糖尿病療養指導士やフットケア指導士、がん化学療法看護認定看護師などが活躍できる専門外来を持つ病院・クリニックは、日勤でも専門性を高められる絶好の環境です。面接の際に、日勤看護師のキャリアモデルや、どのような専門分野で活躍できる可能性があるかを確認してみましょう。
- マネジメント経験を積める風土があるか
- 外来のリーダー業務や、委員会活動、新人・後輩指導の役割などを日勤看護師にも積極的に任せてもらえる職場は、将来の管理職への道が開かれています。小規模な施設であっても、「管理者候補」として採用されるケースもあります。自分の経験を活かし、チームをまとめる役割に挑戦したいという意欲を伝えることが大切です。
- 明確なキャリアパスと評価制度があるか
- 日勤看護師にもクリニカルラダーが適用され、目標管理制度によって頑張りがきちんと評価される仕組みがあるかどうかも重要なポイントです。自分の努力が昇給や昇進にどう結びつくのかが明確であれば、モチベーションを維持しやすくなります。
転職サイトやエージェント活用のポイント
理想の職場を自力で見つけるのは労力がかかります。特に働きながらの転職活動では、情報収集の時間も限られます。そこで頼りになるのが、看護師専門の転職サイトや転職エージェントです。



ただし、ただ登録するだけでは不十分です。「良きパートナー」として最大限に活用するためのコツをお伝えします。
自分に合った転職エージェントの見極め方
転職エージェントは、いわば求職者の代理人です。相性の良い担当者を見つけることが、転職成功には欠かせません。
- 必ず2〜3社に複数登録する
- 1社だけに絞ると、担当者との相性が悪かった場合や、紹介される求人が偏っていた場合に、選択肢が狭まってしまいます。複数のエージェントと面談し、対応の丁寧さや求人の質を比較検討しましょう。
»【2025年最新】看護師が複数の転職エージェントを利用すべき5つの理由 - 看護師専門のエージェントを選ぶ
- 医療業界の知識が豊富で、病院や施設の内部事情(職場の雰囲気、人間関係、実際の残業時間など)に精通しているため、求人票だけでは分からないリアルな情報を提供してくれます。以下の記事で詳しく解説しています。
»【おすすめの看護師転職エージェント7選】選び方や注意点を解説! - 「良い担当者」を見極める
- こちらの話を急かさず丁寧に聞いてくれるか、希望条件だけでなくキャリアプランまで一緒に考えてくれるか、職場のメリットだけでなくデメリットも正直に伝えてくれるか、といった点に注目してください。強引に転職を勧めてくる担当者には注意が必要です。
転職エージェントに伝えるべきこと・確認すべきこと
エージェントとの初回面談は、あなたの希望を正確に伝える最も重要な機会です。以下の点を整理して、具体的に伝えましょう。
伝えるべきこと
- 夜勤をやめたい明確な理由
- 譲れない条件と妥協できる条件
- これまでの経験と今後のキャリアプラン
- 日勤常勤看護師の構成
- サポート体制
- リアルな残業時間
- 離職率とその理由
転職エージェントは、求職者に代わって聞きにくいことを確認してくれる強力な味方です。遠慮せずに活用し、後悔のない職場選びを実現してください。



厚生労働省が運営する職業情報提供サイト「job tag」などで客観的な職業情報を調べることも、視野を広げる上で役立ちます。
看護師が夜勤をやめてよかったことに関するよくある質問


ここでは、看護師が夜勤をやめる際によく抱く疑問について、10年以上夜勤を経験した私の視点から具体的にお答えします。
- 看護師が夜勤をやめたら給料はどれくらい下がる?
- 日勤のみだとスキルが落ちることはない?
- 夜勤なしの職場でも昇進やキャリアアップはできる?
看護師が夜勤をやめたら給料はどれくらい下がる?
はい、夜勤手当がなくなるため、手取りの月収は下がります。下がる金額は、勤務先の規定や夜勤の回数によって大きく異なりますが、一般的には月3万円~8万円程度減少するケースが多いです。
日本看護協会の調査によると、夜勤1回あたりの手当の平均額は以下のようになっています。
- 2交代制の夜勤1回あたり:11,395円
- 3交代制の準夜勤1回あたり:4,188円
- 3交代制の深夜勤1回あたり:5,153円
※出典:日本看護協会「2023年 病院看護実態調査」報告書より
例えば、2交代制で月に4回夜勤をしていた場合、単純計算で約45,000円の収入減となります。この金額だけを見ると不安になるかもしれませんが、大切なのは年収全体で考えることです。以下の表で、夜勤ありと夜勤なしの年収モデルを比較してみましょう。
項目 | 夜勤あり(急性期病棟) | 夜勤なし(美容クリニック) |
月収(基本給+諸手当) | 約33万円 | 約35万円 |
うち夜勤手当 | 約5万円 | 0円 |
賞与 | 約80万円(基本給4ヶ月分) | 約70万円(基本給2ヶ月分) |
年収 | 約476万円 | 約490万円 |
このように、夜勤がなくても基本給が高い職場(美容クリニックや企業など)や、賞与・インセンティブ制度が充実している職場を選ぶことで、年収が維持、あるいはアップする可能性も十分にあります。



私自身も主任への昇進で役職手当がついたため、夜勤手当がなくなった分の落ち込みは想定より少なくて済みました。
日勤のみだとスキルが落ちることはない?
スキルが落ちるというよりも、「求められるスキルの種類が変化する」と捉えるのが適切です。夜勤でしか得られないスキルがある一方で、日勤だからこそ磨かれる専門性も数多く存在します。
夜勤では、限られた人数と情報の中で急変に対応する判断力やアセスメント能力が鍛えられます。これは非常に貴重なスキルですが、日勤ではより計画的で多角的な視点が求められるようになります。外来やクリニックでは、採血・ルート確保といった手技の正確性とスピードが向上します。訪問看護では、在宅という環境で利用者様の生活全体を支えるためのマネジメント能力や、家族とのコミュニケーション能力が不可欠です。
私自身、日勤中心になってからは、医師やリハビリスタッフ、ソーシャルワーカーなど多職種と密に連携する機会が格段に増えました。患者の退院後の生活まで見据えたカンファレンスを主導する中で、夜勤時代とは異なる視点や調整能力が身についたと実感しています。
夜勤なしの職場でも昇進やキャリアアップはできる?
はい、全く問題ないです。むしろ、日勤のみの働き方だからこそ実現しやすいキャリアパスも豊富にあります。
管理職(主任や看護師長)の業務は、スタッフの労務管理や部署運営、会議への出席、研修の企画など、その多くが日中に行われます。そのため、日勤常勤であることは管理職を目指す上で有利に働くことさえあります。
私の場合、主任への昇進がきっかけで日勤勤務へ移行しました。日中の会議や委員会活動に安定して参加できるようになったことで、部署全体の課題解決に深く関与できるようになり、上司からの評価にもつながりました。



夜勤をやめることはキャリアの選択肢を狭めるのではなく、むしろ新たな可能性を広げる一歩になると考えています。
まとめ


10年以上の夜勤を経験した私が断言できるのは、看護師が夜勤をやめる選択は、心身の健康と未来のキャリアにとって大きなプラスになるということです。夜勤をやめてよかった最大の理由は、不眠や頭痛といった身体の不調が劇的に改善され、精神的な余裕が生まれたことです。



収入面の不安はありますが、日勤のみでもキャリアアップは可能です。
もし自分が夜勤に限界を感じているなら、それは働き方を見直す大切なサインかもしれません。この記事が、後悔のない選択をするための参考になれば幸いです。
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