救急看護師の仕事は、なぜ「きつい」と言われるのでしょうか。
私は看護師の新人時代を、救急搬送がひっきりなしの急性期病院で過ごしました。心停止対応や多発外傷、家族対応に追われる中で、何度も心が折れそうになったことを覚えています。
この記事では、過酷な現場を実際に経験した筆者の視点から、「救急看護師がきつい」と言われる明確な7つの理由を解説します。現場でのリアルな体験談、ストレスとの向き合い方、そして「辞めたい」と感じたときに考えるべき転職のポイントまで、現場でしか語れない情報を余すことなくお伝えします。

救急という厳しい現場だからこそ得られるやりがいや、乗り越えた先にある看護師としての成長にも触れています。
救急看護師の仕事がきついと言われる現状


救急医療の最前線で、一刻を争う患者の命と向き合う救急看護師。その姿は多くの人にとって献身的で尊いものとして映りますが、同時に「仕事がきつい」「過酷だ」という声が後を絶ちません。
インターネットの検索窓に「救急看護師」と入力すると、関連キーワードとして「きつい」「辞めたい」「限界」といった言葉が並ぶことからも、その厳しい労働環境がうかがえます。実際に、高い使命感を持って救急看護の道を選んだにもかかわらず、心身の疲弊から離職を考える看護師は少なくありません。
ここでは、なぜ救急看護師の仕事が「きつい」と言われるのか、その背景にある現状を掘り下げていきます。
- 救急医療の最前線を取り巻く厳しい現実
- 「きつい」イメージはどこから?メディアやSNSの影響
- データで見る救急看護師の労働環境の厳しさ
- 深刻化する人手不足とそれに伴う負担増
- 社会全体で考えるべき救急看護師の労働環境
救急医療の最前線を取り巻く厳しい現実
日本の救急医療は、年間約700万件にのぼる救急搬送に対応しており、その最前線で活動する救急看護師には極めて大きな負荷がかかっています。特に近年では、以下のような要因が現場の厳しさを増幅させています。
- 高齢化に伴う救急搬送件数の増加
- 高齢者の人口増加に伴い、慢性疾患の急性増悪や転倒などによる救急搬送が増加傾向にあります。重症度が高く、複数の合併症を持つ患者さんも少なくありません。
- 医療ニーズの多様化と複雑化
- 単純な外傷や疾病だけでなく、精神科救急や虐待が疑われるケースなど、対応に高度な知識やコミュニケーション能力、多職種連携が求められる事例も増えています。
- 不適切な救急受診(コンビニ受診)
- 緊急性の低い症状での救急外来受診は、本当に緊急性の高い患者さんの対応を遅らせる可能性があり、医療資源の逼迫と現場の疲弊を招く一因となっています。



これらの要因が複合的に絡み合い、救急看護師一人ひとりにかかるプレッシャーと業務負担は増大し続けているのが現状です。
※参考:(総務省消防庁「令和5年中の救急出動件数等(速報値)」より令和5年の救急自動車による救急出動件数及び搬送人員)
「きつい」イメージはどこから?メディアやSNSの影響
救急看護師の「きつい」というイメージは、実際の労働環境の厳しさだけでなく、メディアやSNSを通じて増幅されている側面もあります。
テレビドラマやドキュメンタリー番組では、救急医療の現場が緊迫感あふれるドラマチックな場面として描かれることが多く、視聴者に強烈な印象を与えます。人の生死が交錯する極限状態、鳴り止まないコール、走り回る医療スタッフといった描写は、救急看護師の仕事の過酷さを強調し、「自分には務まらないかもしれない」という気持ちを抱かせることもあります。
X(旧Twitter)やInstagramなどのSNSでは、現役の救急看護師や元救急看護師によるリアルな体験談が数多く発信されています。だからこそ、経験者が語る「きつい」という生々しい声は共感を呼びやすく、拡散されやすい傾向にあります。



SNSの情報は、救急看護師を目指す人にとっては貴重な情報源である一方、「きつい」というイメージをより強固なものにしている側面もあります。
看護師専門の転職サイトや口コミサイトでも、救急部門の労働条件や人間関係に関するネガティブな情報が散見され、これが「きつい」という評判を裏付ける形となっています。
データで見る救急看護師の労働環境の厳しさ
救急看護師に特化した公式な全国統計データは限られていますが、看護師全体の労働環境に関する調査や、個別の病院・地域での報告からは、その厳しさの一端を垣間見ることができます。
日本看護協会の「2023年 病院看護実態調査」によると、正規雇用看護職員の月平均時間外労働時間は病院全体で14.9時間です。特に救命救急センターを持つ病院などでは、これを超えるケースも想定されます。また、夜勤の負担も大きく、心身の疲労が蓄積しやすい環境にあると言えるでしょう。
以下は、看護師の労働環境に関連する一般的なデータ例です。
項目 | 状況・傾向 | 考えられる影響(救急看護師の場合) |
正規雇用看護職員の離職率 | 11.6% (2022年度、日本看護協会調べ) | 救急部門は特に業務の過酷さから、これ以上の水準である可能性も指摘される。 |
夜勤形態 | 2交代制と3交代制が混在。長時間勤務になりやすい2交代制も依然として多い。 | 救急では夜間の緊急対応が多く、心身への負担が大きい。仮眠時間が十分に取れないことも。 |
有給休暇取得率 | 取得が進んでいる施設もあるが、人手不足から希望通りに取得できない場合も。 | 緊急対応が優先されるため、計画的な休暇が取りにくい傾向。リフレッシュが困難。 |
一般的な看護師の状況に加えて、救急看護師は予測不能な緊急事態への対応、重篤な患者のケア、精神的なストレスなど、特有の困難さを抱えています。



救急看護師の労働環境の厳しさは、より深刻であると考えられますね。
深刻化する人手不足とそれに伴う負担増
看護師全体の不足は長年の課題です。特に救急医療の現場では、その専門性と過酷さから人材確保が一層困難になっています。日本看護協会の調査でも、看護職員の不足感は依然として高い水準です。救急の分野では、経験豊富なベテラン看護師の離職や、新規採用者の定着率の低さが問題となることも少なくありません。
人手不足は、以下のような形で現場の負担をさらに増大させます。
- 一人当たりの業務量の増加
- スタッフが少ない中で多くの患者に対応しなければならず、残業や休日出勤が常態化しやすくなります。
- 教育・研修時間の不足
- 新人や若手看護師への十分な指導が行き届かず、スキルアップが遅れたり、早期にプレッシャーを感じてしまうことがあります。
- 精神的な余裕の喪失
- 常に時間に追われ、緊張状態が続くことで、スタッフ間のコミュニケーションが悪化したり、ケアの質への不安が生じたりする可能性があります。
- 安全管理のリスク増大
- 疲労や多忙から、医療過誤のリスクが高まることも懸念されます。
このような悪循環は、さらなる離職を招き、残されたスタッフの負担をますます重くするという負のスパイラルに陥りかねません。



「きつい」と感じながらも使命感で現場を支えている救急看護師たちの疲弊は、限界に近づいていると言えるでしょう。
社会全体で考えるべき救急看護師の労働環境
救急看護師が直面している「きつい」現状は、単に個人の努力や忍耐で解決できる問題ではありません。救急医療体制の維持は国民全体の安心・安全に直結するため、救急看護師の労働環境改善は社会全体で取り組むべき課題です。
看護師の処遇改善、タスク・シフティング(業務の移管・共同化)、ICT活用による業務効率化、メンタルヘルスサポートの充実など、多方面からのアプローチが求められています。
救急看護師が心身ともに健康で、誇りを持って働き続けられる環境を整備することが、質の高い救急医療を持続的に提供していくためには必要です。
救急看護師がきつい理由7選


救急看護師の仕事は、多くの人々の命を救うという大きなやりがいがある一方で、「きつい」と感じる場面が多いのも事実です。ここでは、救急看護師が「きつい」と言われる具体的な理由を7つに分けて、詳しく解説します。
- 24時間体制の不規則な勤務時間
- 生死に関わるプレッシャーとストレス
- 緊急対応による身体的・精神的負担
- 人手不足による激務
- 患者や家族からのクレーム対応
- 医師や他職種との人間関係
- 給料と労働量が見合わない待遇面
理由1:24時間体制の不規則な勤務時間
救急医療の現場は、昼夜を問わず患者を受け入れるため、24時間365日稼働しています。そのため、救急看護師は必然的に不規則な勤務形態で働かなければなりません。主な勤務形態には以下のようなものがあります。
交代制勤務の実態
多くの救急外来や救命救急センターでは、二交代制または三交代制のシフト勤務が一般的です。二交代制では日勤と夜勤の2つのシフト、三交代制では日勤・準夜勤・深夜勤の3つのシフトをローテーションでこなします。



夜勤は長時間勤務となりやすく、生活リズムが大きく乱れる原因です。
勤務形態 | 主な勤務時間帯(例) | 特徴 |
二交代制 | 日勤:8:30~17:30 夜勤:17:00~翌9:00 | 1回の夜勤拘束時間が長いが、休日のまとまりは取りやすい傾向。 |
三交代制 | 日勤:8:30~17:00 準夜勤:16:30~翌1:00 深夜勤:0:30~9:00 | 1回あたりの勤務時間は短めだが、勤務間隔が短くなりやすく、生活リズムの調整が難しい場合がある。 |
生活リズムの乱れと健康への影響
夜勤を含む不規則な勤務は、睡眠不足や睡眠の質の低下を招きやすいです。これにより、自律神経のバランスが崩れ、慢性的な疲労感、食欲不振、免疫力の低下といった身体的な不調が現れることがあります。
友人や家族との時間が合わず、社会的な孤立感を感じることも少なくありません。このような生活が長期化すると、心身ともに大きな負担となります。



看護師の夜勤が体に与える影響について、以下の記事でも詳しく解説しています。
理由2:生死に関わるプレッシャーとストレス
救急看護師は、文字通り人の生死に直結する場面に日常的に立ち会います。救急の現場に搬送される患者の多くは、生命の危機に瀕しており、一刻を争う状況下で迅速かつ的確な判断と処置が求められます。
判断の重圧と責任感
患者の状態を瞬時にアセスメントし、必要な看護ケアを判断・実施する責任はとても重いです。重症患者の場合、その判断が生死を分けることもあり、常に極度の緊張感とプレッシャーの中で業務を遂行しなければなりません。救命処置がうまくいかなかった場合や、予期せぬ急変が起きた際の無力感や自責の念は、精神的に大きなダメージとなることがあります。
トラウマ体験とメンタルヘルス
凄惨な事故現場から搬送された患者や若くして亡くなる患者、虐待が疑われるケースなど、精神的にショックを受ける場面に遭遇することも少なくありません。これらの経験がトラウマとなり、フラッシュバックや不眠、抑うつ症状などを引き起こす「心的外傷後ストレス障害(PTSD)」や「バーンアウト(燃え尽き症候群)」に繋がるリスクも指摘されています。



定期的なメンタルケアの重要性が叫ばれていますが、十分なサポート体制が整っていないのが現状です。
理由3:緊急対応による身体的・精神的負担
救急外来や救命救急センターでは、いつ何が起こるか予測不可能です。緊急搬送の連絡が入れば、即座に対応できる準備と心構えが常に求められます。
予測不能な緊急事態への対応
「救急車が来ます」「ドクターヘリが到着します」といった連絡が入ると、現場は一気に緊迫感に包まれます。患者の状態も様々で、心肺停止、多発外傷、脳卒中、急性心筋梗塞など、あらゆる疾患や外傷に対応できる知識と技術が必要です。複数の重症患者が同時に搬送されてくる「多重搬送」の際には、限られた人員と資源の中で、冷静にトリアージを行い、優先順位をつけて対応しなければなりません。



このような状況下では常にアドレナリンが出続け、極度の緊張状態が長時間続くため、精神的な疲弊も大きいです。
体力的な消耗
救急看護師の業務は、身体的にも非常にハードです。心肺蘇生(CPR)のような体力を要する処置、意識のない患者さんの体位変換や移乗、長時間立ちっぱなしでの処置介助など、体力勝負の場面が数多くあります。
夜勤では仮眠時間が十分に取れないことも多く、慢性的な疲労が蓄積しやすい環境です。忙しさのあまり、食事や水分補給もままならないこともあり、自己の健康管理が難しいと感じる看護師もいます。
理由4:人手不足による激務
多くの医療現場で看護師不足が問題となっていますが、特に専門性の高いスキルと過酷な労働条件が求められる救急看護の分野では、人手不足が深刻な問題となっています。
慢性的な人員不足と業務量の増加
救急医療の需要は年々高まっていますが、それに見合うだけの看護師が確保できていない施設も少なくありません。その結果、一人ひとりの看護師にかかる業務負担が増大し、残業が常態化したり、休憩時間が十分に取れなかったりする状況が生まれています。少ない人数で多くの患者さんを看なければならないため、常に時間に追われ、精神的な余裕も失われがちです。
教育体制への影響
人手不足は、新人看護師や経験の浅い看護師への教育体制にも影響を及ぼします。十分な指導やフォローアップができないまま、即戦力として現場に立たざるを得ないケースもあり、これが早期離職の一因となることもあります。ベテラン看護師にしわ寄せがいくことで、さらなる負担増となり、悪循環に陥ることも懸念されます。
理由5:患者や家族からのクレーム対応
救急外来は、患者やその家族が強い不安や興奮状態にあることが多く、時に厳しい言葉や理不尽な要求を受けることがあります。
緊急時の混乱と感情的な対応
突然の病気や怪我で動揺している患者や家族は、待ち時間が長いことや、説明が十分に理解できないことなどから、不満や怒りを看護師にぶつけてくることがあります。特に、アルコール酩酊状態の患者や、精神的に不安定な状態にある方からの暴言や暴力といった、いわゆる「院内暴力」に遭遇するリスクも他の部署に比べて高い傾向です。



理不尽なクレームへの対応は精神的に大きなストレスとなり、心を消耗させる原因となります。
コミュニケーションの難しさ
限られた時間の中で、患者やご家族に必要な情報を伝え、不安を少しでも和らげるコミュニケーション能力が求められます。しかし、相手がパニック状態であったり、医療知識がなかったりする場合、意図が正確に伝わらず、誤解が生じてしまうことも多いです。丁寧に対応しようとしても、次から次へと患者さんが運ばれてくるため、十分な時間を割けないジレンマも抱えています。
理由6:医師や他職種との人間関係
救急医療はチーム医療であり、医師、看護師、救急救命士、薬剤師、放射線技師、臨床検査技師など、多くの職種が連携して患者さんの治療にあたります。しかし、この連携がうまくいかないと、ストレスの原因となることがあります。
緊迫した状況下での連携の難しさ
一刻を争う状況下では、冷静なコミュニケーションが取りにくくなることがあります。指示の受け方や伝え方、治療方針に対する意見の相違などから、医師や他のコメディカルスタッフとの間で摩擦が生じることもあります。特に経験の浅い看護師は、医師に対して萎縮してしまい、必要な報告や提案ができないといった悩みを抱えることもあります。
職種間の役割理解と尊重
それぞれの専門職が持つ役割や責任範囲を互いに理解し、尊重し合うことが円滑なチーム医療には不可欠です。しかし、時には職種間の壁を感じたり、十分な情報共有がなされなかったりすることで、業務がスムーズに進まないことがあります。



風通しの良い職場環境が築かれていない場合、人間関係のストレスはより大きなものとなります。
理由7:給料と労働量が見合わない待遇面
救急看護師の仕事は、高い専門性と強い責任感が求められ、身体的・精神的にも過酷であるにもかかわらず、その労働に見合った給料が得られていないと感じる看護師は少なくありません。
責任の重さと給与のアンバランス
人の命に直接関わるという重責を担い、高度な知識や技術、迅速な判断力が求められる救急看護師の業務内容は、非常に専門性が高いものです。しかし、夜勤手当や危険手当などが支給されるものの、その業務の過酷さや精神的な負担の大きさを考えると、給与水準が十分ではないと感じる声が多く聞かれます。他の診療科の看護師と比較して、必ずしも給与が高いわけではないという現実もあります。
サービス残業や業務負担の実態
緊急対応が長引いたり、記録業務が終わらなかったりして、サービス残業が発生することも珍しくありません。また、勉強会や研修への参加が時間外になることもあり、実質的な拘束時間は長くなりがちです。このような労働環境が続くと、「これだけ頑張っているのに、なぜ報われないのか」という不満が募り、仕事へのモチベーション低下に繋がることがあります。



待遇面の改善は、救急看護師が働きがいを感じながら仕事を続けるために重要な課題の一つです。
私が実際に感じた救急看護師のきつい現状


救急看護師の「きつい」という言葉の裏には、想像を絶するほどの過酷な現実が隠されています。わたし自身、急性期病院の病棟やオペ室で勤務し、救急搬送されてくる患者さんの対応に明け暮れる日々を送ってきた経験があります。
特にオペ室は救急外来と密接に連携しており、実質的に救急医療の最前線の一つです。ここでは、わたしが実際に体験した、救急看護の現場がいかに「きつい」かを物語る3つのエピソードをご紹介します。
- 緊急オペが重なり、休憩ゼロで12時間働き続けた日
- 呼吸が止まった患者の対応で、現場が凍りついた夜勤
- 救急外来で家族から怒鳴られ、心が折れそうになった瞬間
緊急オペが重なり、休憩ゼロで12時間働き続けた日
ある日の日勤帯、激しい転倒による多発外傷の患者さん、急性心筋梗塞で緊急カテーテル治療が必要な患者さん、そして脳出血を起こした患者さんが、立て続けに搬送されてきました。
通常であれば、一つの緊急手術が終われば次の準備、という流れですが、その日は同時進行で複数の緊急手術に対応しなければならない状況でした。
わたしは多発外傷の患者さんの手術の外回りを担当していましたが、他の手術室の状況も常に気にかけ、必要であれば応援に駆けつけられるよう神経を張り詰めていました。次から次へと医師から指示が飛び、器械出し、外回り看護師としての役割を瞬時に切り替えながら対応しました。気づけば、朝の業務開始から12時間以上が経過。その間、トイレに行く時間はおろか、水分補給すらままならない状態でした。昼食はもちろん摂れず、空腹と疲労で意識が朦朧としながらも、患者さんの命を預かっているという責任感だけでなんとか身体を動かしていました。手術が無事に終わった時には、足はパンパンにむくみ、腰は砕けそうになっていました。



このような極限状態が、救急の現場では決して珍しくないのです。
呼吸が止まった患者の対応で、現場が凍りついた夜勤
夜勤中、病棟から「患者さんの呼吸が止まった!」という緊急コールが鳴り響きました。わたしはすぐに他のスタッフと共に患者さんのもとへ駆けつけました。患者さんは高齢の男性で、数日前に入院されたばかりでした。心肺停止状態を確認し、直ちに心臓マッサージと人工呼吸を開始。同時に、救急カートや除細動器を準備し、当直医へ緊急連絡を行いました。
医師が到着するまでの数分間が、永遠のように長く感じられました。必死に蘇生処置を続けながらも、「助かってほしい」という強い願いと、「もしこのまま…」という不安が頭をよぎります。医師が到着し、気管挿管、薬剤投与、DCの準備と、次々に指示が出され、私たちはそれに正確かつ迅速に応えなければなりません。緊迫した空気の中、誰もが一言も発さず、ただ黙々と処置を続けます。心電図モニターのフラットラインを見つめながら、家族の顔が思い浮かび、胸が締め付けられるような思いでした。残念ながら、その患者さんは私たちの懸命な蘇生もむなしく、息を吹き返すことはありませんでした。



ご家族への辛い報告、そしてその後のエンゼルケア。人の死に直面するたびに、私たちは言葉にできないほどの精神的なダメージを受け、無力感に苛まれるのです。
救急外来で家族から怒鳴られ、心が折れそうになった瞬間
救急外来へ応援に入った時のことです。日曜日ということもあり、待合室は発熱や体調不良を訴える多くの患者さんとその家族でごった返していました。緊急度の高い患者さんから優先的に診察を進めていましたが、待ち時間が長くなっていることに苛立ったある患者さんのご家族から、突然大声で怒鳴られました。
「いつまで待たせるんだ!こっちは具合が悪いんだぞ!もっと早く診ろ!」
その方は、お子さんが高熱を出してぐったりしていることに強い不安を感じていたのでしょう。私たちは状況を説明し、丁寧に対応しようとしましたが、興奮状態のご家族にはなかなか伝わりません。他の患者さんもいる前で、まるで私たちが怠慢であるかのような言葉を浴びせられ、悔しさと悲しさで胸がいっぱいになりました。私たちは、患者さんの安全を第一に考え、限られた医療資源の中で最善を尽くそうと必死に働いています。しかし、その思いが伝わらず、心無い言葉をぶつけられると、心が折れそうになることがあります。



このような理不尽なクレームや暴言は、救急看護師が疲弊する大きな原因の一つです。感情を押し殺し、冷静に対応しなければならない「感情労働」の側面も、救急看護師のきつさを増幅させています。
救急看護師のきつい現状への対処法


過酷な労働環境に置かれやすい救急看護師ですが、その「きつさ」を少しでも軽減し、心身の健康を保ちながら働き続けるための対処法は存在します。ここでは、具体的な方法を3つご紹介します。
- ストレス管理とメンタルケアの方法
- 職場環境改善のためのアプローチ
- 転職を検討する際のポイント
ストレス管理とメンタルケアの方法
救急医療の最前線では、日常的に強いストレスに晒されます。そのため、意識的なストレス管理とメンタルケアが不可欠です。自分に合った方法を継続的に実践することが、バーンアウトを防ぎ、長く健康に働き続けるためには重要です。
自分自身でできるセルフケア
日々の生活の中で手軽に取り組めるセルフケアは、ストレスの蓄積を防ぐ第一歩です。心身のバランスを整えるために、以下のような方法を意識的に取り入れてみましょう。
- 質の高い睡眠の確保
- 不規則な勤務であっても、可能な限り睡眠時間を確保し、寝室の環境(温度、湿度、光、音など)を整える工夫をしましょう。入眠儀式を取り入れるのも効果的です。
- バランスの取れた食事
- 忙しい中でも、タンパク質、ビタミン、ミネラルを意識した栄養バランスの良い食事を心がけ、心身のエネルギーを補給しましょう。特に抗ストレス作用のある栄養素を積極的に摂ることも推奨されます。
- 適度な運動習慣
- ウォーキング、ジョギング、ヨガ、ストレッチなど、無理のない範囲で体を動かすことは、気分転換やストレスホルモンであるコルチゾールの低減に繋がります。週に数回でも継続することが大切です。
- 趣味やリフレッシュの時間を持つ
- 仕事から完全に離れて没頭できる趣味や、心からリラックスできる時間を持つことは、精神的な回復に非常に重要です。友人との会話、自然に触れる、音楽を聴くなど、自分なりの方法を見つけましょう。
- マインドフルネスや瞑想の実践
- 数分間の瞑想や呼吸法は、心を落ち着かせ、現在の瞬間に意識を集中させることで、ストレスや不安を軽減する効果が期待できます。アプリなどを活用して手軽に始められます。
専門家のサポートを活用する
セルフケアだけでは対処しきれないほどのストレスや精神的な不調を感じた場合は、ためらわずに専門家のサポートを求めましょう。早期の対応が、より深刻な状態への進行を防ぎ、回復への近道となります。
- カウンセリング・心理療法
- 臨床心理士や公認心理師などの専門家との対話を通じて、抱えている問題や感情を整理し、問題解決の糸口を見つけ出すサポートを受けられます。認知行動療法など、具体的な対処スキルを学ぶことも可能です。
- 産業医・産業保健スタッフ面談
- 職場の産業医や保健師に相談することで、業務上のストレスや健康問題について専門的なアドバイスを受けられます。必要に応じて、職場環境の調整や業務負荷の軽減について、職場へ働きかけてもらえることもあります。
- 精神科・心療内科受診
- 不眠、食欲不振、気分の落ち込み、不安感が続くなど、日常生活に支障をきたすような症状がある場合は、医師の診察を受けましょう。適切な診断と治療(薬物療法や精神療法など)により、症状の改善が期待できます。
厚生労働省が運営する働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト「こころの耳」では、電話相談やSNS相談など、様々な相談窓口の情報が提供されていますので、活用を検討してみてください。
同僚や上司とのコミュニケーション
同じ環境で働く同僚や信頼できる上司に、抱えている悩みやストレスを話すことも有効な手段です。共感を得られたり、具体的なアドバイスをもらえたりすることで、精神的な負担が軽減されることがあります。



ただし、接する相手を選ぶこと、話す内容やタイミングに配慮することも大切です。
職場環境改善のためのアプローチ
個人の努力だけでは限界がある場合、職場環境そのものの改善に向けたアプローチも重要です。声を上げ、働きやすい環境づくりに貢献することも、長期的に見て自身の負担軽減に繋がります。看護師一人ひとりが働きがいを感じられる職場を目指しましょう。
労働条件の見直しと交渉
まずは自身の労働契約書や就業規則を詳細に確認し、現状の労働時間、休憩時間、休日、時間外労働の取り扱いなどが適切に守られているか把握しましょう。もし労働基準法に抵触するような状況や、過度に負担の大きいシフトが組まれている場合は、人事担当者や労働組合(存在する場合)、あるいは直属の上司を通じて改善を申し出ることを検討します。
具体的なデータ(勤務記録、時間外労働の記録など)を元に、冷静かつ建設的に交渉することが重要です。



日本看護協会では、看護職の労働環境改善に関する様々な提言や情報提供を行っており、これらを参考にすることも有効です。
業務効率化とチームワークの強化
日々の業務の中で非効率な点や改善できる点があれば、積極的に提案してみましょう。例えば、物品の配置見直しによる動線の短縮、記録システムの改善、情報共有ツールの導入、カンファレンスの効率化などが考えられます。
チーム内での役割分担を明確にし、お互いのスキルや経験を尊重し、積極的にサポートし合える良好なチームワークを築くことは、個々の業務負担を軽減し、医療安全の向上にも繋がります。定期的なミーティングで業務改善について話し合う機会を設けるのも有効です。
院内相談窓口や制度の活用
多くの病院では、職員向けの相談窓口(ハラスメント相談窓口、メンタルヘルス相談窓口、コンプライアンス窓口など)や、キャリアアップ支援制度、育児・介護休業制度、短時間勤務制度などが設けられています。これらの制度を積極的に活用することで、働き続ける上での困難を乗り越える手助けとなる場合があります。



どのような制度があるか、院内の掲示物、人事部などに確認し、利用できるものは遠慮なく利用しましょう。
転職を検討する際のポイント
様々な対処法を試みても「きつい」状況が改善されず、心身の限界を感じる場合は、現在の職場を離れ、転職することも有効な選択肢の一つです。ただし、感情的に判断したり、焦って転職先を決めたりするのではなく、慎重に準備を進めることが、より良いキャリアを築くために不可欠です。
自己分析とキャリアプランの明確化
まず、「なぜ転職したいのか」「今の職場の何が一番きついのか」「次に何を求めるのか」を深く掘り下げて自己分析を行いましょう。そして、将来どのような看護師になりたいのか、5年後、10年後のキャリアプランを具体的に考えることが大切です。これにより、転職の軸が定まり、自分に本当に合った職場を見つけやすくなります。



救急看護の経験をどう活かしたいか、あるいは全く異なる分野に挑戦したいのかも明確にしましょう。
転職先の情報収集と比較検討
転職先の候補となる病院や施設について、徹底的に情報収集を行いましょう。求人情報に記載されている内容だけでなく、実際にその職場で働いている、あるいは過去に働いていた看護師の口コミ、病院の公式ウェブサイト、SNS、可能であれば病院見学やインターンシップなどを通じて、職場の雰囲気、人間関係、実際の労働環境、教育体制、福利厚生などを多角的に把握することが重要です。



口コミを探す場合、情報の信頼性が問われます。インターネット上の情報源は慎重に吟味が必要です。
複数の候補をリストアップした後は以下のようなポイントで比較検討し、自分の希望条件と照らし合わせながら慎重に選びましょう。
比較検討ポイント | 確認事項の例 |
給与・待遇 | 基本給 諸手当(夜勤手当、残業手当、住宅手当など) 賞与 昇給制度 退職金制度 |
勤務条件 | 勤務体制(2交代・3交代、日勤のみ可否) 夜勤回数/月 年間休日数 有給休暇取得率 残業時間の実態 |
業務内容・職場環境 | 救急の受け入れ体制(1次~3次) 者層 疾患の種類 看護方式 教育・研修制度の充実度 キャリアラダー 電子カルテの種類 |
職場の雰囲気 | 人間関係 チームワーク 上司のリーダーシップ ハラスメント対策の有無 離職率 |
その他 | 通勤時間・アクセス 託児所の有無 福利厚生(寮、食堂、保養施設など) |
転職エージェントの活用と比較
看護師専門の転職エージェントを活用するのも有効な手段です。一般には公開されていない非公開求人の紹介を受けられたり、履歴書・職務経歴書の添削、面接対策、給与や勤務条件の交渉代行など、転職活動をトータルでサポートしてくれます。
複数のエージェントに登録し、それぞれの特徴(保有求人数、得意とする分野や地域、サポート体制の手厚さなど)を比較しながら、自分に合ったエージェントを見つけると良いでしょう。担当となるキャリアアドバイザーとの相性も非常に重要です。実際に面談してみて、信頼できると感じるアドバイザーにサポートを依頼しましょう。



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救急看護の経験を活かせる仕事を徹底的に探してくれる
ナース専科のキャリアアドバイザーは、看護師の転職市場と医療現場の実情に精通したプロフェッショナルです。特に、救急看護というプレッシャーの高い環境で培われた高度なスキル、迅速な判断力、幅広い知識、そして精神的な強靭さといった経験の価値を深く理解しています。
転職相談では、救急看護の現場で「きつい」と感じた具体的な理由やこれまでのキャリア、そして今後の希望(業務内容、勤務体制、給与、人間関係、キャリアアップなど)を丁寧にヒアリングします。その上で、あなたの強みや経験を最大限に活かせる職場を、豊富な求人情報の中から探し出して提案してくれます。
救急看護の経験を活かせる転職先の例としては、以下のようなものが挙げられます。
- 急性期医療の継続
- 同じ急性期でも、より人員体制が整っているICU(集中治療室)、HCU(高度治療室)、手術室(オペ室)など。救急外来より計画的な業務が多い傾向があります。
- クリニック
- 専門性の高いクリニックや、一部救急対応を行うクリニックでは、アセスメント能力や緊急時対応スキルが重宝されます。夜勤がない場合も多く、身体的負担を軽減できます。
- 訪問看護ステーション
- 在宅療養中の患者さんの急変対応など、救急での経験が直接活かせる場面が多くあります。患者さんやご家族とじっくり向き合えるやりがいもあります。
- 企業看護師・産業保健師
- 企業や工場で従業員の健康管理、メンタルヘルスケア、救急処置などを担当します。日勤が基本で、福利厚生が充実している場合が多いです。
- その他
- 美容クリニック、健診センター、保育園、介護施設など、看護師の知識やスキルが求められる職場は多岐にわたります。これまでの経験を活かしつつ、新しい分野に挑戦することも可能です。
さらに、応募書類(履歴書・職務経歴書)の添削や面接対策といったサポートも充実しています。救急看護師としての強みを効果的に伝え、採用担当者に響くアピールができるよう、具体的なアドバイスを受けることができます。給与や勤務条件といったデリケートな交渉も、キャリアアドバイザーが代行してくれるため、安心して任せられます。



私が年収150万円アップを実現したのも、この「ナース専科(当時はナース人材バンクという名称でした)」で給与交渉をしてくれたからです。
「救急の仕事はもう限界だけど、これまでの頑張りを無駄にしたくない」という救急看護師の複雑な思いに寄り添い、納得のいく転職が実現できるよう、親身になってサポートしてくれるのが「ナース専科」の転職支援サービスです。
一人で抱え込まず、まずは気軽に相談してみることを強くおすすめします。
救急看護師のやりがいと魅力


きついと言われることの多い救急看護師の仕事ですが、その過酷さの先には、他では得られない大きなやりがいと魅力があります。ここでは、多くの救急看護師が感じる仕事の喜びや、専門職としての誇りについて詳しくご紹介します。
- 命を救う最前線に立つ使命感と達成感
- 高度な専門スキルと判断力が磨かれる
- チーム医療の中核を担う連携の重要性
- 患者や家族からの感謝が原動力に
- 常に新しい知識や技術を学び続ける刺激と自己成長
命を救う最前線に立つ使命感と達成感
救急看護師の最大のやりがいは、何といっても人の命を救うという使命感と、それを成し遂げたときの達成感でしょう。一刻を争う状況で、自らの知識と技術を駆使して患者さんの生命維持に貢献できたとき、言葉では言い表せないほどの充実感を覚えます。
一刻を争う状況での貢献
救急外来や救命救急センターでは、いつ、どのような状態の患者さんが搬送されてくるか予測できません。心肺停止、重篤な外傷、急性中毒など、生命の危機に瀕した患者さんに対し、迅速かつ的確な判断と処置が求められます。



プレッシャーは大きいですが、自分の行動が直接的に患者さんの救命につながったと実感できたときの喜びは、何物にも代えがたいです。
回復への喜びを分かち合える瞬間
危機的状況を脱し、患者が回復していく過程を見守ることができるのも、救急看護師の大きなやりがいです。意識が戻り、会話ができるようになったり、笑顔が見られたりしたときは大きな喜びです。退院していく患者やその家族から感謝の言葉をいただいたときには、これまでの苦労が報われ、看護師としての誇りを感じることができます。
高度な専門スキルと判断力が磨かれる
救急医療の現場では、日々さまざまな症例に対応するため、幅広い知識と高度な看護技術が求められます。これにより、看護師としての専門性が飛躍的に向上し、自身の成長を実感できます。
習得・向上する主なスキル
救急看護師として働く中で、以下のようなスキルが自然と身につき、磨かれていきます。
スキルカテゴリ | 具体的な内容 |
アセスメント能力 | 重症度・緊急度を迅速かつ的確に判断する力 フィジカルアセスメント技術 トリアージ技術 |
救命救急処置技術 | BLS(一次救命処置) ACLS(二次救命処置) 気道確保 人工呼吸器管理 循環動態モニタリング 除細動 緊急薬剤の投与 外傷初期診療に関する知識・技術 |
危機的状況への対応力 | パニックにならず冷静沈着に対応する力 多重課題への優先順位付け 急変時対応 災害時対応 |
コミュニケーション能力 | 患者・家族への精神的サポート インフォームド・コンセントの補助 医師や他職種(救急救命士、放射線技師、検査技師など)との円滑な情報共有・連携 |
判断力・決断力 | 限られた情報の中で最善の判断を下す力 倫理的ジレンマに直面した際の意思決定支援 |
これらのスキルは、救急看護師としてのキャリアだけでなく、将来的に集中治療室(ICU)、手術室、災害看護、ドクターヘリのフライトナースなど、他の専門分野へ進む際にも大きな強みとなります。
認定看護師などキャリアアップの道も
救急看護分野には、専門性をさらに高めるためのキャリアパスも用意されています。代表的なものとして、日本看護協会が認定する救急看護認定看護師の資格があります。この資格を取得することで、より高度な知識と技術を習得し、救急医療の質の向上に貢献できます。
臨床での実践能力向上に加え、他の看護師への指導や相談対応といった役割も期待されます。リーダーシップを発揮し、後進の育成に携わる機会も増えるでしょう。
チーム医療の中核を担う連携の重要性
救急医療は、医師、看護師、救急救命士、薬剤師、放射線技師、臨床検査技師、医療ソーシャルワーカーなど、多くの専門職が連携して行われます。その中で救急看護師は、患者さんの状態を最も近くで把握し、チーム全体が円滑に機能するための重要な調整役を担います。
多職種とのスムーズな連携による安心感
それぞれの専門性を尊重し、情報を密に共有しながら同じ目標に向かって協力し合うチーム医療は、救急看護師にとって大きな支えとなります。



困難な状況でも信頼できる仲間と力を合わせることで、より質の高い医療を提供できるという安心感と達成感が得られます。
患者や家族からの感謝が原動力に
救急の現場では患者だけでなく、その家族も不安や混乱の中にいます。心身の極限にある状況において、看護師からの適切な情報提供や精神的なサポートは大きな心の支えです。
「ありがとう」の一言が支えとなる経験
懸命な看護の結果、患者が回復し、本人やご家族から「ありがとう」「助かりました」といった感謝の言葉を直接受け取る機会は少なくありません。その一言が、日々の業務で感じる厳しさや疲労を忘れさせ、明日への活力となります。



患者や家族から感謝されることは、多くの救急看護師が一度は経験があるのではないでしょうか。
困難を乗り越えた先の信頼と絆
時には、厳しい状況に直面し、つらい思いをすることもあります。しかし、そのような困難な状況を患者や家族と共に乗り越えることで、深い信頼関係が築かれることもあります。その絆は、看護師としてのキャリアの中でかけがえのない財産となるでしょう。
常に新しい知識や技術を学び続ける刺激と自己成長
救急医療は日進月歩であり、常に新しい知識や技術、治療法が登場します。そのため、救急看護師は継続的な学習意欲が求められ、それが自己成長への大きな刺激となります。
日進月歩の医療に対応する向上心
学会や研修会への参加、資格取得などを通じて最新の医療知識をアップデートし続けることは、専門職としてのプロ意識を高めます。知的好奇心を満たし、常に新しいことを学べる環境は、マンネリ化を防ぎ、仕事へのモチベーション維持にも繋がります。
多様な症例から得られる学びと経験
救急の現場では、年齢や性別、基礎疾患の有無に関わらず、実に多様な症例に遭遇します。一つひとつの経験が貴重な学びとなり、看護師としての対応力や応用力を高めてくれます。



私も困難な症例を乗り越えるたびに、自身の成長を実感できました。
救急看護師の仕事は確かに「きつい」側面もありますが、それを補って余りあるほどのやりがいと魅力に満ちています。
人の命を直接救うという崇高な使命、高度な専門性の追求、チームで困難に立ち向かう一体感、そして患者や家族からの感謝は、救急看護師だからこそ得られる貴重な経験と言えるでしょう。
まとめ


救急看護師の仕事は、24時間体制の不規則な勤務や生死に関わるプレッシャーなど、多くの厳しい側面があります。しかし、適切なストレス管理や職場環境の改善、そして何よりも命を救うという大きなやりがいも存在します。
もし現状のつらさが限界であれば、「ナース専科」のような転職サービスを利用し、新たなキャリアを模索することも有効な手段です。この記事が、あなたがより良い道を見つけるための参考になれば幸いです。
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