介護施設の看護師の給料は安い?病院との比較や年収アップの秘訣を現役主任が徹底解説

「施設看護師は病院勤務より給料が安いのでは?」そんなイメージから、介護施設への転職をためらう人は多いです。

結論から言うと、勤務する施設の種類や転職活動の進め方次第で、病院看護師より高い給料を得ることは十分に可能です。

この記事では、公的データと筆者の実体験に基づき、以下についてくわしく解説します。

  • データを用いて病院と施設の平均年収を徹底比較
  • 筆者のリアルな給料推移
  • 給料が高い施設ランキング
  • 年収アップを成功させるための3つの秘訣

最後まで読めば、施設看護師の給料に対する漠然とした不安が解消され、納得のいくキャリアプランを描けるようになるはずです。

目次

施設看護師の給料は病院より低い?平均年収を徹底比較

ここでは、厚生労働省などが公表している公的な統計データをもとに、施設看護師と病院看護師の給料を客観的に比較します。

  • 看護師全体の平均年収との差はいくら?
  • 病院規模別の年収データと比較

看護師全体の平均年収との差はいくら?

まず、看護師全体と介護施設で働く看護師の平均年収を比較してみましょう。

厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査」によると、看護師全体の平均年収は約508万円です。 一方、厚生労働省の「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」によれば、介護施設で働く看護職員(正看護師・准看護師含む)の平均年収は約461.5万円というデータがあります。

これらのデータを単純に比較すると、施設看護師の年収は看護師全体の平均よりも約47万円低いことになります。この差額は、主に夜勤手当の有無や金額の違い、そして基本給の設定などが影響していると考えられます。

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病院は夜勤が必須であり、夜勤手当が年収を押し上げる要因となっています。

病院規模別の年収データと比較

次に、視点を変えて病院の「規模」に注目してみましょう。「病院」と一括りにしても、その規模によって給与水準は大きく異なります。一般的に、病床数が多い大規模な病院ほど給料は高くなる傾向があります。

以下の表は、e-Statの令和4年賃金構造基本統計調査をもとに、病院の企業規模別に看護師の平均年収をまとめたものです。

病院規模
(従業員数)
月収賞与年収
10人〜
99人
329,700円647,900円4,604,300円
100人〜
999人
338,200円794,300円4,852,700円
1,000人以上377,400円103,1300円5,560,100円

この表を見ると、従業員数1,000人以上の大病院では平均年収が550万円を超える一方で、100人未満の比較的小規模な病院やクリニックでは約460万円となっています。

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先ほど示した介護施設看護師の平均年収(約461.5万円)とほぼ同水準です。

このことから、「施設看護師の給料は病院より低い」と一概には言えず、小規模な病院から転職する場合には、給料が同等か、施設の種類や条件によってはむしろ高くなる可能性も十分にあることがわかります。

【体験談】介護施設の主任看護師になった私のリアルな給料推移

公的なデータだけでなく、実際に施設看護師として働く私の給料がどのように変化したのか、具体的な体験談を紹介します。病院勤務時代との比較や、年収が150万円アップした経緯を詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください。

  • 筆者プロフィールとこれまでのキャリア
  • 病院勤務時代の給料・年収
  • 介護施設へ転職後の給料・年収の変化
  • 「ナース専科 転職」で年収150万円アップを実現した流れ

筆者プロフィールとこれまでのキャリア

まずは、簡単に私の経歴をご紹介します。

筆者のプロフィール

  • 年齢:30代後半
  • 資格:正看護師・介護福祉士
  • 経歴:介護士の経験あり。看護師免許を取得してからは地方の急性期病院で5年間勤務。主にオペ室や病棟勤務を経験。その後精神科病院勤務を経て、現在は民間企業が運営する有料老人ホームへ転職。主任看護師として現場のマネジメントに携わっています。

病院では最先端の医療に携わるやりがいを感じていましたが、不規則な勤務と多忙さから、患者さん一人ひとりと向き合う時間が十分に取れないことにジレンマを感じ、転職を決意しました。

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特に、夜勤が本当に身体に合いませんでした。不規則な生活で肝機能の数値も上がり、夜勤の疲れが日勤にも影響することもしばしば。

病院勤務時代の給料・年収

急性期病院の看護師として勤務していた最終年(5年目)の給料と年収は以下の通りです。夜勤や残業もそれなりにあったため、同年代の看護師と大差はなかったと思います。

項目金額(月額)備考
基本給約240,000円経験年数5年時点
夜勤手当約72,000円1回12,000円
月6〜8回
残業手当約30,000円103,1300円
その他手当約20,000円月10〜20時間
月収(額面)約362,000円
賞与(年間)480,000円基本給の2ヶ月分
年収(額面)約4,800,000円

年収だけ見ると悪くない条件ですが、プライベートの時間を確保することが難しく、体力的な負担も大きいと感じていました。

介護施設へ転職後の給料・年収の変化

次に、有料老人ホームに転職して主任看護師になった現在の給料と年収です。夜勤がなくなり、残業もほとんどありませんが、役職手当や資格手当が加わったことで、年収は大幅にアップしました。

項目金額(月額)備考
基本給約310,000円転職時の条件交渉にて決定
役職手当約50,000円主任看護師
資格手当約30,000円正看護師
介護福祉士
オンコール手当約30,000円月10回程度
月収(額面)約420,000円
賞与(年間)1,302,000円基本給の4.2ヶ月分
年収(額面)約6,342,000円

結果として、病院勤務時代と比較して年収が150万円アップしました。主任になり夜勤がなくなったことで、体力的にも精神的にも余裕が生まれ、ワークライフバランスが大きく改善された点が何よりのメリットだと感じています。

「ナース専科 転職」で年収150万円アップを実現した流れ

私が年収アップを成功させられたのは、看護師専門の転職エージェントである「ナース専科転職」をうまく活用したからです。登録から内定までの具体的な流れは以下の通りです。

STEP
登録・キャリア相談

公式サイトから登録後、担当のキャリアアドバイザーとの面談がありました。これまでの経験や転職理由、希望条件(年収600万円以上、日勤のみなど)を具体的に伝えました。

STEP
非公開求人の紹介

私の希望条件に合う、一般には公開されていない主任・管理職候補の求人を複数紹介してもらいました。その中に、現在の職場である有料老人ホームがありました。

STEP
面接対策と条件交渉

キャリアアドバイザーから施設の内部情報や面接で聞かれやすい質問などを教えてもらい、万全の対策で臨めました。特に自分では言い出しにくい給与交渉は、アドバイザーが私の経歴やスキルを施設側に的確に伝えてくれたおかげで、想定以上の条件を引き出すことができました。

STEP
内定・入職

無事に内定を獲得し、入職日の調整などもスムーズに進みました。入職後も定期的に連絡をいただき、安心して新しいキャリアをスタートできています。

一人での転職活動では、これほど好条件の求人を見つけることも、年収交渉を成功させることも難しかったと思います。プロの力を借りることが、年収アップの大きな鍵となりました。

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なぜ私がナース専科で転職を有利に進められたのか、その秘密は以下の記事でくわしく解説しています。ぜひチェックしてみてください。

【施設別】看護師の給料ランキング|一番高いのはどこ?

介護施設と一言でいっても、その種類はさまざまです。施設形態によって看護師の役割や仕事内容が異なるため、給料にも差が生まれます。一般的に、医療依存度の高い利用者が多く、夜勤がある施設ほど給料が高い傾向にあります。

ここでは、厚生労働省の調査をもとに、施設別の看護師の平均年収をランキング形式でくわしく解説します。

ランク施設種別看護師准看護師合計平均
1位有料老人ホーム366,000円287,000円326,500円
2位介護老人保健施設(老健)313,000円246,000円279,500円
3位介護医療院288,000円254,000円271,000円
4位介護老人福祉施設(特養)283,000円251,000円267,000円
5位デイサービス251,000円201,000円226,000円

1位:有料老人ホーム

有料老人ホームは民間企業が運営しており、施設の方針やサービス内容によって給料に大きな幅があるのが特徴です。 富裕層向けの施設などでは、高い給与や充実した福利厚生が期待できる場合もあります。

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運営母体が企業なので、利益が出ているところは給料が良いです。その反面、医療法人や福祉法人と比べて消耗品などのコスト面に厳しい傾向があります。

「介護付き」「住宅型」「健康型」の3つのタイプがあり、看護師の役割も異なります。「介護付き」では手厚い介護と医療的ケアが提供される一方、「健康型」では自立した高齢者の健康相談が中心となります。私が年収アップを実現したのもこの有料老人ホームです。条件の良い求人を見つけることができれば、大幅な収入増も夢ではありません。

2位:介護老人保健施設(老健)

介護老人保健施設の看護師の平均年収は、介護施設の中でもトップクラスの水準です。医療的ケアやリハビリテーションが中心となるため、看護師の専門性が高く評価される傾向にあります。

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夜勤がある施設がほとんどのため、給与水準が高くなっています。

介護老人保健施設(老健)は、病状が安定した高齢者が在宅復帰を目指すためのリハビリテーションや医療ケア、介護サービスを提供する施設です。医師が常駐し、理学療法士や作業療法士など多職種と連携してケアを行うのが特徴です。 喀痰吸引や経管栄養、褥瘡処置などの医療的ケアが多く、病院に近い環境で働きたい看護師に向いています。

3位:介護医療院

介護医療院は、長期的な医療と介護の両方を必要とする高齢者を受け入れる施設で、給与水準は老健と並んで非常に高いです。看取りまで対応することが多く、終末期ケアに関心がある看護師に適しています。

主な役割は、喀痰吸引や経管栄養などの日常的な医療的ケア、健康管理、そして看取りです。医師が常駐しているため、急変時も安心して対応できる環境が整っています。医療依存度が高い利用者が多いことから、24時間体制の看護が求められ、夜勤があるため給料も高くなる傾向があります。

4位:特別養護老人ホーム(特養)

特別養護老人ホーム(特養)は、原則として要介護3以上の高齢者が入居する「終の棲家」としての役割を持つ施設です。 看護師の給料は、看護師全体の平均年収と比較して同等かやや低めの水準にあります。

主な仕事内容は、入居者の健康管理、服薬管理、医師の指示に基づく医療処置などです。24時間の看護師配置義務はないため、多くの施設ではオンコール体制をとっており、夜勤がない場合も少なくありません。 そのため、ワークライフバランスを保ちながら、比較的高収入を目指せるのが魅力です。

5位:デイサービス

デイサービス(通所介護)は、在宅で生活する高齢者が日中に通い、食事や入浴、レクリエーションなどのサービスを受ける施設です。

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看護師の給料は、今回紹介する施設の中では最も低い傾向にあります。

その主な理由は、夜勤がなく、基本的に日勤のみの勤務であるためです。 仕事内容は利用者のバイタルチェック、服薬管理、簡単な医療処置が中心で、医療的ケアの頻度は高くありません。 給与は低めですが、カレンダー通りの休日が取りやすく、残業も少ないため、家庭やプライベートと両立させたい看護師に人気の職場です。

なぜ?施設看護師の給料が介護職員より低くなるケースも

一般的に、医療系の国家資格である看護師は、介護系の資格を持つ介護職員よりも給料が高いイメージがあるかもしれません。しかし、介護施設においては、特定の条件下でその給与が逆転するケースが見られます。特に、准看護師と経験豊富な介護福祉士を比較した場合に、この現象が起こりやすくなります。

»看護師と介護士の違いは?仕事内容や年収、資格やキャリアパスを徹底比較

  • 准看護師と介護福祉士の年収が逆転する理由
  • 処遇改善加算の影響とは

准看護師と介護福祉士の年収が逆転する理由

信じられないかもしれませんが、データ上で給与の逆転現象は起きています。例えば、厚生労働省の調査によると、特別養護老人ホームで働く常勤職員の平均給与額において、介護福祉士が准看護師を上回る年度がありました。

職種令和3年度決算(月額)令和4年度決算(月額)
准看護師394,154円419,447円
介護福祉士395,516円420,009円
差額1,364円562円
出典:令和5年度介護事業経営実態調査結果(案)

この給与逆転の背景には、いくつかの理由が考えられます。大きな理由は、夜勤手当の差です。介護施設では、看護師は日中のみの勤務で、夜間はオンコール対応という施設も少なくありません。

一方、介護福祉士は24時間体制で入居者のケアを行うため、夜勤に多く入ります。その結果、夜勤手当の分だけ介護福祉士の総支給額が准看護師を上回ることがあります。 また、深刻な介護人材不足を背景に、介護職員全体の給与水準が年々引き上げられていることも大きな要因です。

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私の施設でも、介護職員には月2〜3万円の処遇改善手当が加算されます。逆転こそしないものの、かなり給与差は縮まっています。その点にやりがいを失って退職する看護師も多いです。

処遇改善加算の影響とは

給与逆転の最も大きな要因となっているのが「介護職員処遇改善加算」という制度です。 これは、介護職員の賃金改善を目的として、事業所に介護報酬が上乗せされる仕組みです。

重要なのは、この加算の対象が原則として「介護に直接従事する職員」に限定されている点です。 そのため、看護師は基本的に対象外となりますが、施設の方針によっては介護業務を兼務する場合に対象となることもあります。 結果として、介護福祉士は基本給に加えてこの処遇改善加算が上乗せされるため、准看護師の給料を上回る大きな要因となっているのです。

ただし、2024年6月から、従来の3つの処遇改善加算が「介護職員等処遇改善加算」として一本化されました。 この新しい制度では、事業所の裁量で他の職種へも柔軟に配分できるルールが盛り込まれており、今後は施設看護師の待遇改善につながる可能性も期待されています。

施設看護師の給料は今後上がる?将来性を解説

結論から言うと、施設看護師の給料は今後も上昇する可能性が高いと考えられます。高齢化社会の進展による需要の増加や、国による処遇改善の動きがその主な理由です。ここでは、公的なデータを基に施設看護師の給料の将来性についてくわしく解説します。

  • 年々増加傾向にある施設看護師の年収推移
  • 看護師の処遇改善は今後どうなる?

年々増加傾向にある施設看護師の年収推移

施設看護師の給料は、実際に年々増加傾向にあります。厚生労働省が定期的に実施している調査によると、介護施設で働く看護職員の平均給与額は上昇を続けています。これは、介護現場における医療ニーズの高まりを背景に、看護師の専門性がより高く評価されるようになってきたことの表れと言えるでしょう。

以下の表は、厚生労働省の「介護従事者処遇状況等調査結果」を基に、介護施設で働く看護職員(常勤)の平均給与額の推移を示したものです。

調査年度平均給与額(月額)
令和5年度375,260円
令和6年度384,620円
差額9,360円
出典:令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果  
※上記データは、厚生労働省の各年度「介護従事者処遇状況等調査結果」より看護職員(常勤・月給)の数値を抜粋。一時金の額を12ヶ月で割った額を平均給与額に加えて算出しています。
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データは施設看護師の給与水準が着実に向上していることを示しており、今後もこの傾向は続くと予測されます。

看護師の処遇改善は今後どうなる?

施設看護師の給料の将来性を考える上で、国の政策、特に「処遇改善」に関する動向は非常に重要です。

»【2025年最新】看護師の給料は上がる?昇給時期・金額を徹底解説!

①高齢化に伴う需要の高まりと専門性の評価

日本は今後さらに高齢化が進行し、介護施設における医療ケアの重要性はますます高まります。それに伴い、利用者の健康管理を担う施設看護師の需要は拡大し続けるでしょう。需要の増加は、労働市場において看護師の価値を高め、給与水準を押し上げ大きな要因となります。

②2024年度開始「介護職員等処遇改善加算」による変化

これまで、介護職員の給与アップを目的とした「処遇改善加算」は、基本的に介護福祉士や介護職員が主な対象で、看護師への配分は限定的でした。しかし、2024年(令和6年)6月から、従来の複数の加算が一本化された新しい「介護職員等処遇改善加算」がスタートしました。

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この新しい加算の大きなポイントは、事業所の裁量で賃金配分を柔軟に決定できるようになった点です。

労働省はQ&Aで、賃金改善の対象に介護職員だけでなく、看護師を含むすべての職種を含めてよいと明確に示しています。 これにより、各施設の方針次第ではありますが、看護師の給与がこれまで以上に改善される道が開かれました。 処遇改善加算を積極的に活用し、看護師の給与に還元している施設を選ぶことが、今後の年収アップの鍵となるでしょう。

※参考:厚生労働省「介護職員等処遇改善加算等に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について

【筆者の体験から学ぶ】施設看護師へ転職して給料を上げる3つのポイント

病院から介護施設への転職を考えたとき、多くの方が給料面での不安を抱えるのではないでしょうか。私自身もその一人でしたが、結果的に年収を150万円アップさせることに成功しました。ここでは、私の実体験に基づいた、施設看護師への転職で給料を上げるための3つの具体的なポイントを解説します。

  • 給料の高い施設形態を選ぶ
  • 処遇改善加算の取得状況を確認する
  • 転職エージェントを活用して条件交渉する

給料の高い施設形態を選ぶ

まず最も重要なのが、どの種類の介護施設で働くかを選ぶことです。介護施設と一括りにいっても、施設形態によって看護師の役割や医療依存度、そして給与水準は大きく異なります。給料が高い傾向にあるのは、医療ニーズの高い利用者が多く、夜勤がある施設です。

以下の表は、施設形態ごとの給与水準と特徴をまとめたものです。

施設形態給与水準特徴
有料老人ホーム高い(施設によってピンキリ)民間企業が運営。施設の方針や価格帯によってサービスや給与が大きく異なる。富裕層向け施設は給与も高い傾向。
介護老人保健施設(老健)高い在宅復帰を目指すリハビリ中心の施設。医療ケアが多く、夜勤がある場合が多い。
介護医療院普通〜高い長期的な医療と介護を一体的に提供。看取りまで対応するため、医療依存度が高い。
特別養護老人ホーム(特養)普通看取りまで対応する生活の場。オンコール対応が主で夜勤は少ないが、その分給与は老健などより低めになることも。
デイサービス低い日中のみの通所サービス。夜勤がなく、医療ケアも少ないため給与は低い傾向。

私自身は、民間企業が運営する「介護付き有料老人ホーム」を選びました。手厚い人員配置とサービスを売りにしている施設だったため、基本給が高く設定されており、夜勤手当や役職手当も充実していたことが年収アップに繋がりました。

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それなりに大きい企業が運営していたので、安定性もあると感じました。まずは自分がどんな働き方をしたいかを基準に選ぶと良いです。

処遇改善加算の取得状況を確認する

次に注目すべきは「処遇改善加算」です。これは本来、介護職員の給与を改善するための制度ですが、施設の方針によっては看護師にも一部が手当として支給されることがあります。

特に、2024年度の介護報酬改定で新設された「介護職員等処遇改善加算」では、事業所内での職種間の配分ルールが柔軟になりました。

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私が勤務する施設でもこの改定を機に、たった数千円ですが、看護師への手当が増額されました。

求人票に「処遇改善手当あり」と記載されているかを確認し、面接の際には「看護師への配分はどのようになっていますか?」と具体的に質問することをおすすめします。この加算を取得している施設は、職員の待遇改善に積極的である一つの指標とも言えるでしょう。

転職エージェントを活用して条件交渉する

私が年収150万円アップという大きな成果を出せた最大の要因が、看護師専門の転職エージェントを活用したことです。特に「ナース専科転職」のキャリアアドバイザーには大変お世話になりました。

自分一人での転職活動では、給与交渉は心理的なハードルが高いものです。転職エージェントは、私たちの経験やスキルを客観的に評価し、それをもとに施設側と対等に交渉してくれます。私の場合は、これまでの急性期病院での経験やリーダー経験を高く評価してもらいました。結果的に役職者候補での採用となり、想定以上の給与額を提示してもらうことができました。

転職エージェントは一般には公開されていない「非公開求人」を多数保有しています。好条件の求人は応募が殺到するため、非公開になっているケースが少なくありません。質の高い求人情報へのアクセスと、プロによる条件交渉の代行。この2つが、給料アップを成功させるための強力な武器になります。

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登録は無料なので、情報収集だけでも始めてみる価値は十分にあります。

給料だけじゃない!施設看護師の仕事内容と病院との違い

介護施設への転職を考えるとき、給料はもちろん重要な要素ですが、それと同じくらい大切なのが「仕事内容」や「働き方」です。病院とは役割や環境が大きく異なるため、転職後に「思っていたのと違った」というミスマッチを防ぐためにも、具体的な違いを理解しておきましょう。

»介護施設の看護師の役割と働き方を経験者が解説|施設別の具体例とリアルな本音

  • 施設看護師の主な役割と医療ケア
  • 病院看護師との違いと求められるスキル
  • ワークライフバランスは取りやすい?

施設看護師の主な役割と医療ケア

施設看護師の最も大きな役割は、治療が中心の病院とは異なり、利用者がその人らしい生活を穏やかに送れるように、健康面からサポートすることです。日常的な健康管理や、体調変化の早期発見が主な業務となります。看取りのケアに携わる機会も多く、利用者一人ひとりの人生に深く寄り添うことができるのが特徴です。

施設で提供する主な医療ケアは以下の通りです。

介護施設での主な医療ケア

バイタルサイン測定
内服薬の管理
褥瘡(じょくそう)などの創傷処置
血糖測定・インスリン注射
ストーマ管理
膀胱留置カテーテルの管理
胃ろう・経管栄養の管理
在宅酸素療法(HOT)の管理
転倒・外傷時の応急手当
喀痰吸引
協力医との連携・往診時の診療補助
看取りのケア(エンゼルケア)

これらのケアを、医師が常駐していない、限られた医療資源の中で行う必要があります。そのため、病院勤務とは違った難しさややりがいがあります。

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私の施設では、その他に末梢点滴やCVの管理も日常的に行っています。

病院看護師との違いと求められるスキル

病院看護師と施設看護師では、働く目的や環境、求められるスキルに明確な違いがあります。その違いを以下の表にまとめました。

項目病院看護師施設看護師
目的病気の治療・回復の支援利用者の生活支援・健康管理・看取り
対象急性期から慢性期の患者生活の場として利用する高齢者
働く環境医師が常駐し、医療設備が充実医師は非常勤が多く、医療設備は限定的
求められるスキル専門的な医療知識・技術、迅速な判断力、チーム医療の実践総合的なアセスメント能力、介護職員との連携、コミュニケーション能力、利用者の意思決定支援

特に施設看護師には、医師がいない場面で緊急性を判断し、適切な初期対応を行う応用力と判断力が強く求められます。利用者の訴えが曖昧なことも多いため、日頃の様子から些細な変化を察知する観察眼も欠かせません。介護職員やケアマネジャー、ご家族など、多職種と円滑に連携するための高いコミュニケーション能力も必須のスキルと言えるでしょう。

ワークライフバランスは取りやすい?

結論から言うと、施設看護師は病院に比べてワークライフバランスを保ちやすい傾向にあります。

デイサービスのように日中のみのサービスを提供する施設では、基本的に夜勤がありません。特別養護老人ホームや有料老人ホームなどの入所施設でも、看護師は日中のみの勤務で、夜間はオンコール対応という体制をとっている場所が多いです。病院のように緊急入院や急変対応で長時間残業が発生することは比較的少なく、定時で帰りやすいのも大きなメリットです。

ただし、オンコール対応の頻度や手当の額は施設によって大きく異なります。また、配置されている看護師の人数が少ないため、急な欠員が出た際に休みを調整しにくいといった側面もあります。転職を検討する際は、給料だけでなく、オンコールの有無や実際の残業時間、有給休暇の取得率など、働き方に関する条件もしっかりと確認することが大切です。

まとめ

「施設看護師は給料が安い」というイメージがありますが、必ずしもそうとは限りません。公的データ上は病院看護師より平均年収が低い傾向にありますが、老健や有料老人ホームなど、施設形態を選べば病院勤務以上の高年収を目指すことは十分に可能です。

一部で介護職員より給料が低くなるケースは、夜勤の有無や介護職員処遇改善加算の影響によるものが大きいです。しかし、看護師全体の給与水準は年々上昇しており、今後の処遇改善にも期待が持てます。

筆者の体験からも、施設看護師へ転職して給料を上げるためには、以下の3つのポイントが重要です。

  1. 給与水準の高い施設形態(介護医療院、有料老人ホームなど)を選ぶ
  2. 処遇改善加算を適切に分配している施設か確認する
  3. 転職エージェントで非公開求人を探し、条件交渉をしてもらう
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実際に私が年収150万円アップを実現したように、正しい知識を持って転職活動を行えば、大幅な収入増も簡単です。

給料だけでなく、ワークライフバランスを重視したい方にとっても、施設看護師は魅力的な選択肢です。現在の働き方に疑問を感じている方は、ぜひ「ナース専科転職」のような転職エージェントに登録し、情報収集から始めてみてはいかがでしょうか。

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