「ドラマでも活躍するフライトナースってどんな仕事?」
「フライトナースって年収は高いの?」
フライトナースとはドクターヘリで傷病者のもとへ駆けつけ救急救命処置を行う看護師です。テレビでもたびたび取り上げられているため、フライトナースに憧れている人もい多いでしょう。
フライトナースは救急に関する高いスキルが必要であり、航空医療学会で明確な選定基準が決められています。特殊な業務内容であることからも、年収も比較的高水準です。
本記事ではフライトナースになるために必要な条件や、気になる年収について徹底解説しています。この記事を読めばフライトナースの年収やキャリアアップの方法がわかります。
フライトナースを目指す人は必見ですので、ぜひ参考にしてくださいね。
フライトナースとは?
フライトナースとはドクターヘリで医師とともに救急現場に出動し、医療機関へ搬送するまでの初期治療を行う看護師のことです。
迅速な処置を必要とする傷病者に対して、限られた情報と医療資材の中で一歩先を読みながら、診療の介助を行います。切迫した状況だからこそ傷病者や家族への声掛けや説明など、不安や恐怖を取り除くために寄り添う姿勢が求められます。
高い志しを持つ人だけがなれるフライトナースは、救急看護におけるエリートと言えるでしょう。
フライトナースの仕事内容
フライトナースの場合、普段は救命救急センター病棟や救急外来に勤務しています。
フライトナースの仕事内容は、大きく分けて以下の2パターンがあります。
- 出動要請があった場合
- 出動要請がない日
出動要請があった場合
フライトナース出動要請がある日の流れを見てみましょう。
フライトナース当番の1日の流れ | 留意点 |
---|---|
医療機器や物品、薬剤の準備点検 | 忘れ物は厳禁 |
医師や操縦士、CS(航空管制官)と朝のミーティング | すぐ出動できるようにフライトスーツ着用 |
出動要請 | 数分以内にドクターヘリに乗り込む |
ドクターヘリ内で情報収集と準備 | フライト時間は10分程度 |
ランデブーポイント到着 | 状況確認、緊急処置を行う |
搬送、申し送り | 勤務する病院や近隣病院へ搬送 |
記録、物品の補充 | 現場で行った医療処置や使用した物品、看護記録を行い、物品の補充後待機する |
災害や事故はいつ起こるか分かりません。1日の出動件数が0件の日もあれば出動中に次の指令が入ることもあり、激務になることもあります。
出動要請がない日
出動要請がない日は、自分の所属部署で看護業務を行います。フライトナースは救急外来や救命救急センター病棟、ICUに所属していることが多く、病院での業務も多忙なことが多いです。
フライトナース当番の日はすぐ出動できるよう、受け持ちは持たず他のスタッフのサポートやフリー業務がメインです。
いかなる時でも出動要請に対応できるよう、常に緊張感をもって日常業務をこなすのは大変ですね。
また医師や他のフライトナースと物品の見直しをしたり、症例検討を行うこともあります。
ドクターヘリの出動可能時間は日没までで、定刻を過ぎればフライトナースとしての業務は終了します。
フライトナースの年収
救急の最前線で働くフライトナースの年収や給料事情が気になる方も多いでしょう。
ドクターヘリ基地病院は市が運営する市立病院や独立行政法人、社会福祉法人など公益性の高い病院であるため年収が高い傾向にあります。
看護師年収比較 | 月給 | 賞与 | 年収 |
---|---|---|---|
看護師全体 | 348,433円 | 824,500円 | 5,005,696円 |
地方公務員看護師 | 321,778円 | 1,406,710円 | 5,268,046円 |
ドクターヘリ基地病院規模 | 359,400円 | 904,800円 | 5217,600円 |
フライトナースにはドクターヘリ搭乗手当や危険手当がつくため、看護師全体の平均年収よりも高い水準と言えるでしょう。
ただ、いくらフライトナースといえど給料は勤務先の病院の待遇に準じているので基本給などは一般的な看護師と大差はありません。
看護師がフライトナースとして年収を上げるために必要な条件
フライトナースは高いスキルを求められるので、日本航空医療学会により明確な選出基準が設けられています。
定められた基準は以下の5つです。
- ドクターヘリを所有する病院に勤務する
- 看護師経験5年以上、うち救急看護師の経験3年以上
- 「ACLSプロバイダー」と「JPTECプロバイダー」の取得
- ドクターヘリ講習会を受講する
- 第三級陸上特殊無線技士の取得
参考:厚生労働省「第3回救急・災害医療提供体制等の在り方に関する検討会」
長い道のりになるのでいち早くフライトナースになりたい人は、選定基準を参考にスキルアップを目指しましょう。
ドクターヘリを所有する病院に勤務する
フライトナースを目指す人は、ドクターヘリを所有する病院に勤務します。ドクターヘリの基地病院は全国に57機配備されていますが、京都府にはないので注意しましょう。
ドクターヘリを所有する病院が近くになければ、転居も視野に入れた転職が必要です。
ドクターヘリを所有するドクターヘリ基地病院に勤務していれば、フライトナースに必要な症例を多く経験できます。
いち早くフライトナースになりたい人は、ドクターヘリを所有する病院の救急外来を希望し、救急看護のスキルを磨きましょう。
看護師経験5年以上、うち救急看護師の経験3年以上
フライトナースは一定以上の看護経験が必要であり、看護師経験5年以上、救急看護師経験は3年以上という条件があります。
ドクターヘリで多い症例は交通事故や、登山やスキー場など山岳部での事故、工場での事故など外傷が一番多く、次いで大動脈解離などの心臓血管系、くも膜下出血などの脳神経障害などの重症例です。より多くの重症例における緊急処置および注意点、観察項目を理解していないとフライトナースにはなれません。
院内には多くのスタッフや医療機器、医療資材、薬品がありますが、院外ではスペースも限られており様々なことに対応できる柔軟性が必要です。
救急看護を3年以上経験すれば様々な症例を学べ、努力次第でリーダーシップを発揮できるようになります。
条件とされる経験年数はあくまでフライトナースになるための最低条件です。実際には経験10年以上の看護師がフライトナースになるケースが多いです。
「ACLSプロバイダー」と「JPTECプロバイダー」の取得
フライトナースで取得すべきとされているのは、「ACLSプロバイダー」と「JPTECプロバイダー」です。
フライトナースに限らず救命救急の現場で働く人が同じガイドラインやアルゴリズム、活動方針を理解しておくことは重要です。これによりチームが一丸となって体系的に救命処置を行うことができます。
ACLSプロバイダー | 二次救命処置を行うために必要な知識と技術を学ぶコース。急性感症候群、急性脳卒中、心停止、重症不整脈、心拍再開後などケースごとに必要な知識と治療を学ぶ。 | NPO法人日本ACLS協会ガイド |
JPTECプロバイダー | 外傷病院前救護ガイドラインに沿って、プレホスピタルでの外傷初期治療を学べるプログラム | 一般社団法人JPTEC協議会 |
その他にもPALS(小児ニ次救命処置)や、JNTECプロバイダー(外傷初期看護セミナー)などもフライトナースに必要な知識や技術を習得できます。
ドクターヘリ講習会を受講する
日本航空医療学会が主催するドクターヘリ講習会の受講も必要です。
ドクターヘリ講習会ではドクターヘリの基礎知識や実際の症例、安全対策などが学べます。フライトナースだけではなく、ドクターヘリの運用に関わる人は絶対に受けるべき講習会です。
ドクターヘリ講習会を受講すべき人は以下のとおりです。
- 医師
- 看護師
- 救急隊員
- ヘリコプターの操縦士
- 整備士
- 運用管理者
ドクターヘリ講習会は年に2回の開催で、開催地も人数も限られているので計画的に受講できるようにしましょう。
第三級陸上特殊無線技士の取得
フライトナースに必須とされているのが第三級陸上特殊無線技士の取得です。
第三級陸上特殊無線技士は国家試験を受けるか、国が認定する養成課程を受講し終了試験を受験する2つの取得方法があります。
資格 | 要件 | 実施元 |
---|---|---|
第三級陸上無線技師 | 防災行政無線、警察無線、消防無線など陸上の無線設備を操作するために必要 | 公益社団法人日本無線協会 |
消防やドクターヘリ基地病院のCSと無線を使用して連絡を取り合うために必要な資格で、フライトナースには必須です。
第三級陸上特殊無線技士の試験合格率は7〜8割程度です。ほとんどの人がゼロからの勉強なのでそこまでハードルは高くありません。
フライトナースに向いている人
フライトナースは生命の危機が切迫している傷病者に対して、医療処置を行うため向き不向きがあります。フライトナースに向いている人はどんな人なのかチェックしてみましょう。
主にフライトナースに向いている人は以下のとおりです。
- 冷静かつ素早い判断ができる人
- コミュニケーション能力が高い人
- 向上心がある人
- 強い信念がある人
冷静かつ素早い判断ができる人
フライトナースは生命の危機が切迫している傷病者に対して、迅速に処置を行う必要があります。
医師は処置に集中していることも多く、看護師はモニター管理をしながら傷病者の全身観察を素早く行い一歩先を読んで次の処置の準備を行う能力が必要です。
またドクターヘリで現場に行くことは、危険を伴うケースもあります。自分やスタッフの安全を守りつつ、傷病者の処置を行うために冷静かつ素早い判断力が必要です。
判断力や精神力を鍛えるには、やはり臨床経験を積むことが大切です。
ミュニケーション能力が高い人
フライトナースは救命救急士や医師、搬送先のスタッフなど多くの人とコミュニケーションを取りながら迅速に処置、搬送の手続きを行います。積極的に関係職種と情報共有を行うために、簡潔に正しく情報を伝える能力が必要です。
また傷病者本人、家族への配慮も必要でコミニュケーションスキルは欠かせません。普段の勤務から意識して、他職種と連携するようにしましょう。
向上心がある人
フライトナースは常に新しい知識を身につけておく必要があり、向上心がなければ継続は難しいと言えます。
自己研鑽を常々行い、一つ一つの症例の振り返りやより最良な方法はなかったか検討をし、次に活かせるようにしなくてはなりません。
医師とも積極的に症例検討を行うなど、向上心がある人はフライトナースに向いていると言えるでしょう。
フライトナースに限らず、看護師には日頃から知識やスキルのアップデートする向上心が大切ですよね。
強い信念がある人
フライトナースの仕事は体力的にも精神的にもきついものです。人を救いたいという強い信念を持っている人でないと、過酷な状況で勤務することはできません。
緊迫した状態が続くとプレッシャーや重圧に押しつぶされてしまいそうになることもあるでしょう。
プレッシャーや重圧に打ち勝てる、強い信念がある人だけがフライトナースになれると言えるでしょう。
フライトナースに向いていない人
フライトナースは特殊な勤務であるため、性格や目的によってはフライトナースに向かない人もいます。
フライトナースに向かない人は以下が挙げられます。
- 優柔不断な人
- お金が目的の人
- ゆったりとした環境で働きたい人
優柔不断な人
フライトナースは少ない情報から、患者の病態を予測して必要な機材や物品などの準備を行い迅速に対応することが求められます。その場で素早く1番最良な方法を決断していかなくてはならないので、優柔不断な人には向きません。
迷っている間に患者の状態が悪くなり、救える命も救えなくなってしまう可能性があります。
リスクとベネフィットを常に考え、決断力がある人はフライトナースに向いています。
性格によるものもありますが、知識や経験が少ないと現場で迷うことが多いです。まずは臨床経験を積んで対応力を身につけることが大切です。
お金が目的の人
フライトナースの年収は危険手当など手当がつきますが、一般の看護師と年収に大きな差があるわけではありません。フライトナースは自分のスキルを磨くために研修への参加や自己学習が必要です。年収アップ目的で続けられるほど、甘い世界ではありません。
お金目当てでフライトナースになりたい人は、別の手段を考えるのが賢明です。
年収アップが目的の場合、仕事の過酷さを考えたら割に合わないと感じてしまうかもしれません。
ゆったりとした環境で働きたい人
フライトナースは1秒でも早く傷病者の元へ駆けつけ、必要最小限の救命処置を施して迅速に医療機関へ搬送する役割があります。ゆったりとした環境で働きたいと言う人には不向きな環境です。
ドクターヘリ要請がない日でも、いつ呼ばれるかわからない状況で待機しているためフライトナースの当番の日は気持ちが落ち着きません。
出動がある日もない日も緊張感の中で過ごさなければなりません。プレッシャーに耐えられないという人には厳しい世界ですね。
自分のペースで患者とゆっくり向き合いたいと言う場合は別のスペシャリストを目指しましょう。
フライトナースとして高年収で働ける病院
フライトナースとして働ける病院は、ドクターヘリを所有するドクターヘリ基地病院です。
京都府にはドクターヘリ基地病院がなく、その他の都道府県に全部で57機のドクターヘリが配備されています。
ドクターヘリ基地病院でも、共同運行の場合は曜日によって配備されている病院が異なります。
フライトナースで年収アップを目指すなら看護師転職エージェントがおすすめ
フライトナースを目指す人は、看護師転職エージェントに相談することをおすすめします。
ドクターヘリ基地病院はフライトナースに関わらず人気の高い病院で、数も限られています。
人気が高く好条件の病院が多いので、転職エージェントの「非公開求人」として登録者限定で求人を紹介しているケースが多いです。
看護師転職エージェントは面接対策や履歴書の添削もおこなってくれるので、ドクターヘリ基地病院での就職も有利になるでしょう。無料で就職活動の支援をしてくれるので、登録をして相談してみるのがおすすめです。
フライトナースを目指す人は、看護師転職エージェントを活用しましょう。
MCナースネットでは、大学病院や先進医療を手掛ける急性期病院などを数多く紹介しています。専任のキャリアコンサルタントが悩みや要望を把握したうえで仕事を紹介してくれます。転職しようか悩んでいる段階の人や、求人だけでも見てみたいという方も気軽に利用できるので、ぜひ下記よりチェックしてみましょう。
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フライトナースの年収まとめ
フライトナースは命の危機に瀕する傷病者の元へドクターヘリで駆けつけ、緊急処置を行い医療機関へ搬送する救急看護師のスペシャリストです。
大変やりがいのあるフライトナースですが、厳しい選出基準があり看護師であれば誰でもなれるわけではありません。フライトナースになるためには研修や資格の取得が必要なので、計画的にキャリアアップを目指しましょう。
ドクターヘリ基地病院の求人は人気なので、面接対策や履歴書添削を行ってくれる看護師転職エージェントを利用するのがおすすめです。フライトナースを目指している方は転職エージェントへ登録して、求人を扱っているかを調べてみると良いでしょう。
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