「看護師として働いているけど、退職を検討している…」と悩む方は多いです。結婚や出産などのライフイベントや人間関係、給与・待遇の不満など、さまざまな退職理由があります。退職を決断する際、上司や転職先にどのように伝えるべきか迷うことも多いです。
上司に伝える時と転職先に伝える時では、伝え方にどんな違いがあるのか分からない人も多いのではないでしょうか。
本記事では、看護師が退職を考える主な理由と、上司や転職面接で退職理由を上手に伝えるポイントを解説します。記事を読めば、スムーズに退職手続きを進める方法や、円滑に転職活動を行うためのコツがわかります。
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看護師の退職理由
看護師が退職する主な理由は、以下のとおりです。
- 結婚・出産・育児
- 人間関係の問題
- 給与・待遇の不満
- 通勤の困難さ
- 体調不良
- スキルアップ・キャリアアップ
- 親の介護
結婚・出産・育児
結婚・出産・育児が理由で退職を考える看護師は多いです。家族との時間や柔軟な働き方を求める声が挙げられます。産後の体調不良や妊娠中の体調管理が難しくなることも要因の一つです。
保育園の送り迎えが困難であったり、育児休暇が取りにくかったりする職場環境が問題になる場合もあります。夜勤が育児に影響する場合も多く、パートタイムやフレックス勤務を希望するケースも増えています。職場のサポート不足を感じる方が多く、退職の決定打につながりやすいです。
結婚・出産・育児を理由に退職する場合、上司や面接官には理由を素直かつ簡潔に伝えましょう。
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人間関係の問題
人間関係の問題は看護師が退職する理由の一つです。職場内のコミュニケーション不足やチームワークの欠如が、人間関係の不満につながります。感謝や評価が感じられず、職場環境が悪化し、モチベーションが低下してしまいます。職場内でのいじめや孤立感も問題です。
パワーハラスメントやセクシャルハラスメントも看護師が辞める要因につながります。
給与・待遇の不満
給与や待遇に関する不満を抱えて退職を考える看護師は多いです。給与や待遇への不満の例は以下のとおりです。
- 基本給や昇給が少ない
- 賞与が少ないまたはない
- 夜勤手当や資格手当が少ないまたはない
- 福利厚生が充実していない
- 交通費が支給されない
退職金制度が不十分であったり、残業が多いにも関わらず給与に反映されなかったりするケースも挙げられます。給与や待遇の問題は、看護師としての働きがいを損なう要因につながります。給与や待遇が公正で充実している職場を求めるのは当然です。
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通勤の困難さ
通勤が困難な場合も、看護師が退職を考える理由の一つです。通勤時間が長いと、自由な時間が減少します。シフト勤務が多いため、長時間の通勤を強いられると疲労が蓄積しやすく、仕事のパフォーマンスに影響します。通勤費が高額になりやすいため、経済的な負担も大きいです。
交通機関の遅延や混雑が日常的に発生する地域では、時間通りに職場に到着できないリスクが高まります。雨や雪の影響で交通状況が悪化すると通勤がより困難です。自家用車での通勤も、渋滞や駐車場の問題がストレスになりやすいです。距離が遠いと家族との時間が減少し、生活の質が低下します。
夜勤後の運転時間が長いと、事故を起こすリスクも高まります。私も車で1時間半かかる職場で勤務していたこともあるので、身をもって感じました。
体調不良
体調不良による退職は、誰にでも起こり得る問題です。慢性的な疲労やストレスが原因で、体力の限界を感じる場合があります。看護師の仕事は身体的な負担が大きく、長時間勤務が続くことも多いため、健康を害するリスクが高いです。過労による体力の限界や睡眠不足、精神的なプレッシャーからの体調不良も考えられます。
持病の悪化や新たな病気の発症も体調不良の要因に挙げられます。仕事が続けられないほどの体調不良に悩まされる場合、定期的な医師の診断と治療が必要です。健康を最優先に考えて無理をせず、退職を検討しましょう。
スキルアップ・キャリアアップ
スキルアップやキャリアアップを理由に看護師が退職する場合もあります。高度な医療技術を学びたい、新しい専門分野に挑戦したいなどの理由が多いです。他にも、以下の理由が考えられます。
- 大学や専門学校でさらに勉強したい
- マネジメントスキルを身に付けたい
- 海外でのキャリアを積みたい
- 資格を取得したい
- キャリアの幅を広げたい
- 新しい環境で自分を試したい
看護師としての経験を活かし、チームを効果的に運営する方法を学ぶことで、キャリアの幅が広がります。自身の目標に合わせた適切な準備を行えば、新たなステージへと進むことが可能です。
親の介護
親の介護は、退職理由にできます。介護が必要な親の状態が悪化し、自宅でのケアが必要な状況に直面するためです。介護施設への入所が難しいため、自分が直接介護を行わなければならないことがあります。介護は時間的な制約が大きく、勤務と両立させるのは困難です。
介護による精神的・肉体的負担が増し、仕事への影響を避けられません。感情的な負担も大きいですが、介護を通じて得られる経験や知識は、今後の生活やキャリアにおいても役立ちます。自分と家族の健康を第一に考え、最適な選択を考えましょう。
親の介護休暇制度を設けている職場もあります。転職を考える際は必ずチェックしましょう!
看護師の退職理由を上司に伝えるときのポイント
看護師の退職理由を上司に伝えるときのポイントは、以下のとおりです。
- 引き止めにくい理由にする
- 素直かつ簡潔に伝える
- 詳細に伝える必要はない
- ポジティブな表現を心がける
引き止めにくい理由にする
引き止めにくい退職理由は、以下のとおりです。
- 家庭の事情による退職
- 親の介護や家庭内の問題
- 健康上の理由
- 進学や専門資格取得のための勉強
個人的な問題や生活の変化に直結しているため、上司も理解しやすく、引き止めにくい状況を作れます。
素直かつ簡潔に伝える
退職理由を伝える際は、素直かつ簡潔に話すことが重要です。退職の理由を簡潔に述べることで、相手に対して誠実さを示せます。理由を具体的に説明しすぎると、不要な誤解を生む可能性があります。
なるべく無駄な情報は省きましょう。話の焦点がぼやけず、相手に伝わりやすくなります。
結婚を理由に退職する場合「結婚して新しい拠点で生活を始めるため退職します」と伝えるだけで十分です。感情を抑え、冷静に話すことで、相手に対する敬意も示せます。質問を想定して準備しておくと、スムーズに対応できます。簡潔に伝えれば、誠実さや敬意を示しつつ、スムーズなコミュニケーションを図ることが可能です。
詳細に伝える必要はない
退職理由を上司に伝える際、詳細に伝える必要はありません。個人的な事情は深く説明する必要がないからです。家庭の事情や健康状態など、あまり掘り下げるとプライバシーに関わることもあります。繁忙期や看護研究などのプロジェクト途中の退職であれば、業務への影響を最小限に抑えるために、要点を押さえた説明が望ましいです。
具体的な事例や名前を避けることで、職場の人間関係を悪化させるリスクも減ります。
ポジティブな表現を心がける
上司に退職理由を伝える際には、ポジティブな表現を心がけましょう。前向きな姿勢を示すことで、相手に良い印象を与えられます。以下のポイントを押さえましょう。
- 前向きな理由を強調する
- 新しい挑戦への意欲を示す
- 自分の成長や学びを強調する
- 感謝の気持ちを含める
- 未来志向の表現を使う
- ネガティブな理由を避ける
- プロフェッショナルな態度を示す
前向きな表現はトラブルを防ぐためにも重要です。実際はネガティブな退職理由であっても、可能な限りポジティブな伝え方をしましょう。
看護師の退職理由を転職面接で伝えるときのポイント
転職面接で退職理由を伝える際には、以下のポイントを押さえることが大切です。
- 志望動機と関連付ける
- 一貫性のある理由にする
- ネガティブな理由はポジティブに変換する
ポイントを把握することで、面接官に対して誠実で前向きな印象を与えられ、転職活動の成功につながります。
志望動機と関連付ける
志望動機と関連付けると、新しい環境で成長したい強い意志を表せます。志望動機との関連付けの具体例は以下のとおりです。
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- 新たな環境で看護師として成長したい
- 現在の職場で得た経験を活かして、専門性を高めたい
- 御社の理念や方針に共感し、貢献したいと考えている
- これまで培ったスキルを新しい職場で試したい
- より良いサービスを提供できる職場で働きたい
- 新しい挑戦を通じて自己成長を図りたい
- 職場環境や待遇が自分のキャリアプランに合致している
一貫性のある理由にする
転職の際は、一貫性のある理由を示すことが重要です。一貫性があることで信頼性が高まり、面接官に好印象を与えられます。前職での経験やスキルを活かしたい意図を明確にすれば、転職先でも同様の活躍が期待できると示せます。職務経歴書や履歴書の内容と一致させることも大切なポイントです。
矛盾のないストーリーを描くことで、面接官に対して信頼感を与えられます。「前職で培った患者さんとの信頼関係を築くスキルを、新しい職場でも活かしたい」と、具体的な言葉で伝えましょう。転職先での目標やビジョンも一貫性の中に含めると効果的です。短期間での転職を避けるための理由を示すことも重要です。
ただし、一貫性を演出するためのウソや作り話はトラブルの原因になるため、禁物です。
転職理由が業界や職種の変化による場合、背景をしっかり説明することが求められます。「医療技術の進化に伴い、最新のスキルを習得するために転職を決意しました」と説明することで、一貫性が確保されます。転職先が求めるスキルや経験と一致していることを証明するためにも効果的です。
ネガティブな理由はポジティブに変換する
退職理由を伝える際にネガティブな理由をポジティブに変換することも大切です。ネガティブな理由を伝えると、受け手に悪い印象を与えます。ポジティブな理由に変換することで、前向きな姿勢をアピールできます。以下の例を参考にしてください。
- 「人間関係が悪い」→「より良いチームワークの職場を求めている」
- 「給与に満足していない」→「自分の能力に見合った報酬を得たい」
- 「体調が優れない」→「健康管理を重視し、自己管理がしやすい環境を求めている」
- 「親の介護が必要」→「家族との時間を大切にしながら働ける職場を探している」
ポジティブに変換することで、建設的で前向きなメッセージを伝えられ、面接官や上司に良い印象を与えられます。
看護師の退職理由の例文
看護師の退職理由の例文として、以下のケースに分けて解説します。
- 結婚・出産・育児
- 人間関係
- 給与・待遇の不満
- スキルアップ・キャリアアップ
- 体調不良
結婚・出産・育児
結婚や出産、育児などのライフステージの変化を理由に退職する場合、以下の具体的な表現を意識しましょう。
- 結婚を機に家族との時間を大切にしたい
- 新しい環境での生活に専念したい
- 出産を控えており、育児に専念したい
- 子どもがある程度成長するまで家庭に集中したい
個人的な事情が強調され、理解を得やすくなります。結婚・出産・育児が理由の場合の退職理由の例文は以下のとおりです。
結婚後の生活や家族のサポートを優先するため、家庭との両立が難しい状況が続いております。これ以上職場にご迷惑をおかけしないため、このたび退職を決意いたしました。現職での経験を糧に、将来的に再び看護師として復帰したいと考えております。
感謝の気持ちを明確に伝え、退職がやむを得ないことを強調してください。ライフステージの変化をポジティブに表現しましょう。再就職を考えている場合は、意欲を簡潔に示すことで良い印象につながります。
人間関係
職場での人間関係が退職理由である場合、具体的な例を提示すると説得力が増します。以下の例文を参考にしてください。
職場での人間関係において課題を感じることがあり、より良い環境で自身のスキルを活かしながら成長していきたいと思いました。現職では多くの経験をさせていただき感謝しておりますが、次のステージに進むために退職を決意いたしました。
詳細なトラブルやネガティブな内容は避け、相手の印象を悪くしないように注意してください。「成長」「環境の変化」などポジティブな方向性を加えることで、前向きな印象を与えられます。
給与・待遇の不満
給与や待遇を理由に退職する際は、ストレートに伝えすぎるとネガティブな印象を与えます。前向きな表現やキャリアアップの意欲を強調することが大切です。以下の例文を参考にしましょう。
現職では、給与や待遇についてさまざまなご配慮をいただいておりますが、将来のライフプランを考えた際に、より収入面やキャリアアップが期待できる環境で働きたいと考えるようになりました。そのため、このたび退職を決意いたしました。
直接的に「不満」と言わず「自身のキャリアや将来のため」というニュアンスに変えてください。現職への感謝をしっかり伝えることで、円満退職につながります。
スキルアップ・キャリアアップ
自分のスキルやキャリアをさらに高めたい場合、具体的な目標や計画を述べると説得力が増します。以下の例を参考に考えてみましょう。
- 特定分野での経験を積みたい
- 看護師長や管理職を目指したい
- 海外での看護師資格取得や勤務を視野に入れたい
- 訪問看護や在宅医療への転身したい
- 救急看護や集中治療の専門性を高めたい
目標や計画を具体的にすることで「自己成長のため」という前向きな印象を与えます。現職で得た経験を感謝しつつ、次のステップへの明確な道筋を示しましょう。スキルアップ・キャリアアップが理由の場合、以下の例文を参考にしてください。
これまで病棟看護師として多くの経験を積ませていただきましたが、次のステップとして管理職にチャレンジしたいと考えるようになりました。看護チームを統率し、患者さんだけでなくスタッフを支える立場を目指して、よりリーダーシップを発揮できる環境で経験を積みたいと考えています。
体調不良
康上の理由で退職する場合、医療的な事情を説明することで理解を得やすくなります。ただし、詳細な病状や健康問題については触れず、簡潔にまとめましょう。職場への感謝を伝えつつ、前向きな姿勢を示すことが大切です。以下の例文を参考にしてください。
現在の勤務体制では体調の維持が難しい状況が続いており、今後は自身の健康を第一に考え、体調に合わせた働き方を見つけたいと考えています。そのため、一度職場を離れ、療養に専念することを決断いたしました。
再就職を考えている場合は、回復後の意欲を簡潔に述べましょう。
まとめ
退職理由を上司や転職面接で伝える際には、引き止めにくい理由を選び、素直かつ簡潔な表現を意識しましょう。詳細に伝える必要はなく、ポジティブな表現を心がけることが大切です。面接では、退職理由を志望動機と関連付け、一貫性を持たせることで、スムーズな転職活動が期待できます。
ネガティブな理由をポジティブに変換することで、次の職場での意欲や前向きな姿勢をアピールできます。退職理由を伝えるポイントを押さえて、円満な退職を目指しましょう。
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