看護師の転職先を自分で探す方法5選!筆者の経験から学ぶ直接応募のやり方と注意点

多くの看護師が、転職エージェント経由の転職活動に窮屈さを感じ、自分で求人を探す「直接応募」の方法に関心を持っています。しかし、いざ一人で動こうとすると、何から始めればよいのか、条件交渉はどうすればよいのか不安になることも多いでしょう。

この記事では、看護師が自分で求人を探す5つの具体的な方法と、応募から面接、内定後の条件交渉に至るまでの直接応募のやり方をステップ形式で徹底解説します。また、実際に急性期病院から精神科病院へ自力で転職した筆者の体験談をもとに、求人票と実態のギャップを見抜くコツや、エージェントを使わないメリット・デメリットについても包み隠さずお伝えします。

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実際に転職エージェント使った転職・使わない転職の両方を経験しています。

この記事を読めば、エージェントに頼らず自身の力で理想の職場を見つけ出し、後悔のない転職を実現するための知識がすべて手に入ります。

目次

看護師が転職エージェントを使わずに自分で探すメリットとデメリット

自分で探す方法は、自分の意思で自由に動ける反面、すべての責任を自分で負う必要があります。ここでは直接応募における主なメリットとデメリットを解説します。

  • 自分のペースでゆっくりと転職活動ができる
  • 紹介手数料がかからないため採用されやすい可能性がある
  • 面接日程の調整や条件交渉をすべて自分で行う必要がある

自分のペースでゆっくりと転職活動ができる

自分で求人を探す最大のメリットは、他人に急かされることなく、自分の生活リズムに合わせて転職活動ができる点です。転職エージェントに登録すると、登録直後からヒアリングの電話がかかってきたり、頻繁に求人紹介のLINEやメールが届いたりすることが一般的です。

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熱心なサポートはありがたい反面、プレッシャーに感じることもあります。

直接応募であれば、求人検索をする時間も、応募書類を書くタイミングもすべて自由です。「とりあえず情報収集だけしたい」「良い求人があれば考えたい」という段階でも、誰にも気兼ねすることなくマイペースに検討できます。また、自分の意図しない病院を強く勧められるといったミスマッチも防げるため、納得感を持って応募先を選ぶことができます。

紹介手数料がかからないため採用されやすい可能性がある

病院や施設側から見たとき、直接応募してくる看護師は「採用コストがかからない」という大きな魅力があります。通常、転職エージェント経由で看護師を採用した場合、病院側は紹介会社に対して成功報酬として想定年収の20〜30%程度(約80万〜150万円ほど)の手数料を支払うのが一般的です。

一方、自分で探して公式サイトやハローワーク経由で応募してくれた場合は、この紹介手数料が発生しません。そのため、採用予算が限られている個人病院やクリニック、訪問看護ステーションなどでは、直接応募者が優遇されるケースがあります。

もし、あなたと他の候補者のスキルや経験が同程度だった場合、病院経営の視点では、コストのかからない直接応募者を採用したいと考えるのが自然です。特に人気のある求人や採用枠が少ない求人では、この「コストゼロ」という要素が採用の合否を分ける一つの要因になり得ます。

面接日程の調整や条件交渉をすべて自分で行う必要がある

自分で探す場合のデメリットとして覚悟しなければならないのが、事務的な手続きや交渉の負担です。エージェントを利用すれば担当者が行ってくれる以下の業務を、すべて自分一人でこなす必要があります。

  • 病院の人事担当者への電話連絡
  • 施設見学や面接の日程調整
  • 履歴書や職務経歴書の送付状作成
  • 面接辞退の連絡
  • 内定後の給与条件や入職日の交渉

特に働きながら転職活動をする場合、日勤中の休憩時間などに電話連絡をする必要があり、スケジュールの管理が難しくなります。

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給与や夜勤回数、休みの希望などの条件交渉は、これからお世話になる相手に対して直接言い出しにくいものです。

ビジネスマナーに不安がある方や、言いにくいことを交渉するのが苦手な方にとっては、これらの一連の作業が大きなストレスです。直接応募を選択する場合は、こうした事務手続きの手間がかかることを前提に準備を進める必要があります。

看護師の転職で直接応募すべき人

ここでは、エージェントに頼らず自分で転職活動を進める「直接応募」が向いている人の特徴を解説します。

  • マイペースに探したい人
  • 希望条件が明確な人
  • すでに応募先が決まっている人

マイペースに探したい人

転職エージェントを利用した場合、担当者から頻繁に電話やメールで連絡が来ることがあります。これはエージェントのビジネスモデル上、求職者を早く入職させることで成果報酬を得る仕組みになっているため、どうしても「早めの応募」「早めの面接」を促される傾向があるからです。

そのため、以下のような方は自分で探す方法が適しています。

  • 在職中で仕事が忙しく、頻繁な電話対応が難しい人
  • 「良い求人があれば考えたい」程度で、今すぐの転職を考えていない人
  • 他人の意見に流されず、じっくりと比較検討したい人

直接応募であれば、求人サイトを見るタイミングも、応募書類を作成するペースもすべて自分次第です。誰かに急かされることなく、納得いくまで情報収集を行えるのは大きなメリットと言えます。

希望条件が明確な人

「次は美容クリニックで働きたい」「透析看護のスキルを極めたい」「自宅から徒歩圏内のクリニックが良い」など、転職先に求める条件やキャリアビジョンが明確な人は、自分で探す方が効率的な場合があります。

エージェントを利用すると、希望条件とは少し異なる求人を提案されることが少なくありません。これは選択肢を広げるという意味では有効ですが、意志が固い人にとってはノイズになり得ます。

自分の目でハローワークやeナースセンター、病院の公式サイトを確認することで、エージェントが保有していない「掘り出し物」の求人を見つけられる可能性もあります。求人票の条件欄を読み解き、自分にとってのメリット・デメリットを判断できる人は、直接応募で理想の職場を見つけやすいでしょう。

すでに応募先が決まっている人

具体的な志望先がすでに決まっている場合は、迷わずその病院や施設の公式ホームページから直接応募すべきです。

そもそも応募先が明確な場合、エージェントを利用するメリットは半減します。なぜなら、エージェントの最大の価値は「自分に合う求人の提案」にあり、行き先が決まっている時点でその役割は不要だからです。
むしろ、間に人を挟むことで細かいニュアンスが伝わりづらくなったり、高額な紹介料が採用判断のノイズになったりと、不要なリスクを負うことになりかねません。

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自ら動ける状態であれば、最短ルートで熱意を伝えられる直接応募だけで十分完結します。

自ら情報を探しに行き、手間をかけてエントリーするという行動そのものが、高い志望度と主体性の裏付けとなり、面接官に本気度が伝わりやすくなります。

看護師の転職で直接応募すべきではない人

性格や状況によっては直接応募が大きな負担となり、結果として転職活動が長期化したり、条件面で損をしてしまったりするリスクがあります。ここでは、直接応募が向いていない人の特徴について解説します。

  • 年収交渉が苦手な人
  • 初めての転職で不安な人
  • 短期で決めたい人

年収交渉が苦手な人

直接応募における最大の難関といえるのが、給与や待遇に関する条件交渉です。転職エージェントを利用する場合、担当者が求職者のスキルや経験年数を踏まえて、病院側と年収の交渉を代行してくれます。しかし、自分で探す場合は、内定後のオファー面談などで自ら「給与アップ」や「経験加算」について切り出さなければなりません。

看護師の給与体系は、基本給に加え、夜勤手当、資格手当、調整手当などが複雑に組み合わさっています。そのため、提示された金額が適正な相場かどうかを判断するのは難しいです。「お金の話を自分からするのは気が引ける」「提示された条件に対して意見を言うのが怖い」と感じる人は、相場よりも低い給与で契約してしまう可能性があります。

以下は、直接応募の際に自分で確認・交渉を行う必要がある主な項目です。

基本給と経験加算
れまでの臨床経験年数が正当に評価され、基本給に加算されているかを確認する必要があります。規定が曖昧な施設では交渉力が問われます。
賞与(ボーナス)
「基本給の○ヶ月分」という表記の場合、基本給の定義(手当を含むか否か)を確認しないと、想定年収と大きく乖離する恐れがあります。
各種手当
夜勤手当、住宅手当、通勤手当などの支給要件を細かく確認する必要があります。特に夜勤手当は施設によって金額差が大きいため注意が必要です。
入職日
現職の退職日と調整し、空白期間を作らないように入職日を決定します。病院側の都合と合わない場合、粘り強い調整が必要です。

初めての転職で不安な人

新卒で入職した病院から初めて転職する場合、直接応募はハードルが高い傾向にあります。初めての転職では、履歴書や職務経歴書の書き方、面接でのマナー、退職交渉の進め方など、わからないことばかりです。自分一人で進めると客観的なアドバイスをもらえる機会がありません。未熟な応募書類になったり、面接で適切な受け答えができなかったりすることがあります。

また、求人票に書かれている情報と実際の労働環境(残業時間、有給消化率、人間関係など)にギャップがあるかどうかを見極めるのも、経験が浅いうちは困難です。第三者の視点や情報がない状態で進めると、いわゆる「ブラック病院」を選んでしまい、早期離職につながるリスクも高まります。

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不安が大きい場合は、プロのサポートを受けながら進める方が安全です。

短期で決めたい人

「来月から働きたい」「退職日が迫っている」など、短期間での転職を希望している人にも、直接応募はあまりおすすめできません。

働きながら転職活動をする場合、日中の勤務時間内に病院の採用担当者と電話連絡を取ることが難しく、連絡の行き違いで日程調整がスムーズに進まないことが多々あります。その結果、応募から内定までに1ヶ月〜2ヶ月以上かかってしまうことも珍しくありません。

さらに、一般には公開されていない「非公開求人」や「急募求人」の情報にはアクセスできないため、チャンスを逃す可能性もあります。効率よく短期間で転職先を決めたい場合は、希望条件に合う求人を即座にピックアップし、面接日程まで調整してくれるエージェントを利用する方が確実性は高くなります。

看護師の転職先を自分で探す方法5選

転職エージェントを利用せずに、自力で看護師の求人を探す方法は主に5つあります。それぞれの具体的な利用方法と、効果的に活用するためのポイントを解説します。

  • 病院や施設の公式ホームページから直接応募する
  • ハローワーク(公共職業安定所)の窓口やインターネット検索を活用する
  • 都道府県ナースセンター(eナースセンター)を利用する
  • Indeedなどの求人検索エンジンや直接応募型サイトを使う
  • 知人や友人の紹介(リファラル)を受ける

病院や施設の公式ホームページから直接応募する

最も確実で、病院側からの印象も良くなりやすいのが、施設の公式ホームページにある「採用情報」ページから直接応募する方法です。

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働きたい病院や施設が決まっている場合は、この方法が最適です。

多くの病院では、トップページの下部やメニューバーに「採用情報」「リクルート」「職員募集」といったリンクを設置しています。そこから募集要項を確認し、エントリーフォームや電話で応募します。

公式HPから応募するメリット

採用されやすい可能性がある
紹介会社を介さないため、病院側は高額な紹介手数料(年収の20〜30%程度)を支払う必要がありません。採用コストを抑えられるため、経験やスキルが同等の候補者がいた場合、直接応募者が優先されるケースがあります。
熱意が伝わる
わざわざ自院のサイトを調べて応募してくれたという行動自体が、志望度の高さの証明になります。

もしホームページに求人が掲載されていない場合でも、実際には欠員が出ている可能性があります。「現在募集は行っていませんか?」と人事担当部署へ電話で丁寧に問い合わせることで、面接のチャンスを得られることも少なくありません。

ハローワーク(公共職業安定所)の窓口やインターネット検索を活用する

ハローワークは国が運営する職業紹介機関であり、地域密着型の求人が豊富です。特に、地元のクリニックや中小規模の病院、介護施設などは、掲載料が無料であるハローワークを中心に求人を出していることが多々あります。

かつては窓口へ行く必要がありましたが、現在は自宅のパソコンやスマートフォンから求人を検索・閲覧することが可能です。

参考:ハローワークインターネットサービス – 厚生労働省

ハローワーク活用のポイント

ハローワークインターネットサービスの利用
全国の求人を24時間検索できます。求人票には、給与や休日などの労働条件が詳細に記載されています。
紹介状の発行
応募したい求人が見つかった場合、ハローワークで「紹介状」を発行してもらうのが一般的です。この紹介状があることで、採用面接がスムーズに進むだけでなく、事業所側が助成金を受け取れる場合があるため、採用のインセンティブになります。

都道府県ナースセンター(eナースセンター)を利用する

ナースセンターは、「看護師等の人材確保の促進に関する法律」に基づき、各都道府県の看護協会が運営している無料職業紹介所です。看護職に特化しているため、一般の求人サイトにはない専門的な相談ができるのが強みです。

eナースセンターの活用法

「eナースセンター」は、ナースセンターの機能をインターネット上で利用できるサービスです。登録すると、以下の機能が使えます。

求人検索・応募
全国の看護職求人を検索し、Web上で直接応募や問い合わせが可能です。
マッチング機能
自分の希望条件を登録しておくと、条件に合う求人情報が届いたり、施設側からスカウト(オファー)が届いたりします。
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看護協会に未入会でも利用可能です。

ブランクがある潜在看護師向けの復職支援研修なども案内してくれるため、久しぶりの転職で不安がある方にもおすすめです。

参考:eナースセンター – 日本看護協会

Indeedなどの求人検索エンジンや直接応募型サイトを使う

効率よく多くの求人を見たい場合は、求人検索エンジンや直接応募型の求人サイトを活用しましょう。

求人検索エンジン(Indeed、求人ボックスなど)

GoogleやYahooなど、Web上にあるあらゆる情報を収集し、まとめて検索できるようにしたサービスです。「看護師 〇〇市 日勤のみ」などのキーワードを入力するだけで、地域の求人を網羅的に探せます。

直接応募型求人サイト(ジョブメドレーなど)

エージェントが間に入らず、サイトを通じて事業所と求職者が直接やり取りをするタイプの求人サイトです。エージェントからの頻繁な電話連絡がないため、自分のペースで活動できます。

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スカウト機能を持っているサイトも多く、登録しておくだけで選択肢が広がります。

ただし、検索エンジンには古い求人情報が残っている場合もあるため、応募前に掲載日が新しいかを確認することが大切です。

知人や友人の紹介(リファラル)を受ける

実際にその職場で働いている、または過去に働いていた看護師の知人・友人から紹介してもらう方法です。「リファラル採用(縁故採用)」とも呼ばれ、近年多くの病院が推奨しており、紹介してくれた職員に謝礼金を出す制度を設けているところもあります。

リファラル採用のメリットと注意点

メリット

実態がわかる
人間関係、残業の有無、有給の取りやすさなど、求人票には載っていない「生の情報」を聞くことができます。
採用率が高い
現場の職員からの推薦があるため、信頼性が高く、面接も顔合わせ程度で済むなどスムーズに進む傾向があります。

注意点

辞めづらい
紹介してくれた知人の顔を立てる必要があるため、入職後に「合わない」と感じても早期退職しにくい心理的ハードルがあります。
条件交渉がしにくい
知人の手前、給与や待遇について強気な交渉がしづらい場合があります。

知人の紹介であっても必ず見学を行い、自分の目で職場の雰囲気を確認してから入職を決めることが、後悔しないための重要なポイントです。

看護師が転職先を自分で探す「直接応募」の具体的なやり方と流れ

直接応募は自由度が高い反面、抜け漏れがあると採用担当者にマイナスの印象を与えてしまうリスクもあります。ここでは、直接応募で成功するための具体的なステップと、押さえておきたいマナーについて解説します。

  1. 希望条件に合う求人情報の収集と応募先の選定
  2. 履歴書や職務経歴書の作成と郵送マナー
  3. 電話での面接日程調整と担当者への話し方
  4. 内定後の給与条件や入職日の交渉方法

1:希望条件に合う求人情報の収集と応募先の選定

直接応募の第一歩は、質の高い情報収集です。エージェントから提案を受けられない分、自分から能動的に情報を集め、ブラックな職場を回避する「目利き」の力が求められます。

病院・施設の公式サイトと求人媒体の併用

最も確実なのは、志望する病院や施設の「公式ホームページ」にある採用情報欄を確認することです。公式サイトには、給与や勤務条件だけでなく、看護部長の挨拶や先輩ナースの声、教育体制などが詳しく掲載されており、職場の雰囲気を掴むのに役立ちます。

ハローワークインターネットサービスや都道府県ナースセンター(eナースセンター)などの公的機関の求人は、採用コストをかけられない優良な中小病院やクリニックが含まれていることが多いため、必ずチェックしましょう。

求人票で確認すべき必須項目

求人票を見る際は、給与の総額だけでなく内訳や手当の条件を細かく確認することが重要です。以下の項目は、応募前に必ずチェックリストとして活用してください。

  • 基本給と手当のバランス
  • 夜勤手当の金額と回数
  • 年間休日数
  • 固定残業代(みなし残業)
  • 社会保険の加入条件

2:履歴書や職務経歴書の作成と郵送マナー

応募先が決まったら、履歴書と職務経歴書を作成します。直接応募ではエージェントによる推薦文がないため、応募書類そのものが第一印象を決定づける唯一のツールとなります。

採用担当者の目に留まる応募書類のポイント

履歴書は手書き、またはパソコン作成のどちらでも構いませんが、誤字脱字がないことは大前提です。志望動機欄では、「貴院の地域医療への貢献に魅力を感じ」といった定型文だけでなく、「なぜその病院でなければならないのか」を、自身の看護観や経験と結びつけて具体的に記載しましょう。

関連記事:【例文付き】看護師の履歴書の書き方|転職成功のためのコツとポイントも解説

職務経歴書には、経験した診療科、保有資格、委員会活動やプリセプター経験などを時系列で分かりやすくまとめます。特に「どのような看護スキルを提供できるか」を明記することで、即戦力としての評価が高まります。

関連記事:【看護師版】職務経歴書の書き方とは?書く際のポイントや施設別の書き方も解説

郵送時の添え状と封筒の書き方

応募書類を郵送する際は、必ず「添え状(送付状)」を同封するのが社会人としてのマナーです。添え状には、挨拶文、同封書類の内容、面接の機会をいただきたい旨を簡潔に記します。

封筒は、A4サイズの書類を折らずに入れられる「角形2号」の白封筒を使用します。表面には宛名を丁寧に書き、左下に赤字で「応募書類在中」と記載して四角で囲みます。裏面には自分の住所と氏名を忘れずに記入しましょう。

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書類はクリアファイルに挟んでから封筒に入れると、雨濡れや折れを防ぐことができます。

3:電話での面接日程調整と担当者への話し方

書類選考を通過した場合、あるいは応募の問い合わせをする場合、電話でのやり取りが発生します。看護師長や採用担当者は現場業務を兼務していることが多いため、電話をかける時間帯には細心の注意が必要です。

看護師長や採用担当者に連絡する最適な時間帯

病院や施設は時間帯によって業務の繁忙度が大きく異なります。相手の業務を妨げない時間帯を選んで連絡することが、採用への第一歩です。

時間帯連絡の可否理由と状況
9:00〜11:00避けるべき申し送り、検温、処置、回診などで最も忙しい時間帯。
11:30〜13:30NG患者様の配膳・食事介助、スタッフの休憩交代の時間。
14:00 〜 16:00おすすめ午後のケアや検査出しが一段落し、比較的対応してもらいやすい時間帯。
17:00以降状況による夜勤への申し送りや夕食準備でバタつく可能性があります。緊急でなければ避けましょう。

電話をかける際の会話スクリプト例

電話をかける際は、手元にスケジュール帳と筆記用具を必ず用意し、静かな場所から発信します。以下のような流れで話を進めるとスムーズです。

応募の電話をかける場合

「お忙しいところ恐れ入ります。看護師の〇〇(氏名)と申します。ホームページの求人を拝見し、応募させていただきたくお電話いたしました。採用ご担当者様はいらっしゃいますでしょうか?」

担当者に繋がったら、簡潔に応募の意思を伝え、面接の日程調整を行います。提示された日程が難しい場合は、「あいにくその日時は現職の勤務が入っておりまして、〇月〇日の午後はいかがでしょうか?」と、具体的な代替案を提示するのがマナーです。

4:内定後の給与条件や入職日の交渉方法

直接応募の最大の難関は、内定後の条件交渉です。エージェントがいれば代行してくれますが、自分で行う場合は「謙虚さ」と「主張」のバランスが重要になります。

労働条件通知書の確認と給与交渉

内定の連絡をもらったら、口頭での承諾だけで済ませず、必ず「労働条件通知書」や「内定通知書」を書面(またはメール)で発行してもらいましょう。後になって「言った言わない」のトラブルを防ぐためです。

給与額が想定より低い場合や、前職の給与を考慮してほしい場合は、内定承諾をする前に相談します。交渉する際は、丁寧かつ具体的に伝えることが大切です。

関連記事:看護師 転職 条件交渉の最強バイブル|年収150万円アップ実現者の交渉術

入職日の調整と円満な辞退の方法

現職の退職日が決まっていない場合、入職日は「〇月〇日頃」と幅を持たせて相談し、無理のないスケジュールを組みます。

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一般的に、内定から入職までは1〜3ヶ月程度の猶予をもらうことが多いです。

もし、複数の病院に応募していて辞退をする場合は、できるだけ早く連絡を入れるのが礼儀です。「貴重なお時間を割いていただいたにも関わらず、申し訳ございません」と、感謝と謝罪の気持ちを誠実に伝えましょう。

看護師の私が実際に自分で探して転職してみた感想

私は新卒から4年弱、急性期病院(手術室・病棟)で勤務していました。しかし、「患者さんとじっくり向き合いたい」「残業を減らしてワークライフバランスを整えたい」という思いから、精神科単科病院への転職を決意しました。

その際、転職エージェントを利用せず、病院の公式ホームページから「直接応募」を行いました。未経験の診療科への挑戦だったため、少しでも採用のハードルを下げる狙いと、自分のペースで慎重に職場を選びたいという意図があったからです。

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ここでは、実際に私が体験した「直接応募」のリアルな感想をお伝えします。

直接応募した際の病院側の反応と面接の雰囲気

私が応募した精神科病院は、地域でも歴史のある中規模病院でした。ホームページの採用フォームから連絡を入れると、翌日には看護部長から直接メールで返信があり、トントン拍子で面接日が決まりました。

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面接当日、看護部長から最初に言われた言葉は以下のとおりです。

「よくこの病院を見つけましたね!うちは山奥の病院なのもあって、紹介会社からの紹介で面接に来る人がほとんどなんです。」

エージェント経由の応募が多い中、直接連絡をした私の意欲や行動力に好意を持ってくれたようで、明らかに「ウェルカムな雰囲気」を感じました。

また、面接の雰囲気も、エージェントが同席する場合とは異なりました。私が転職エージェントを利用した際は、担当者が間に入ることで会話が形式的になりがちでしたが、この時は看護部長と1対1で腹を割って話すことができました。

比較項目エージェント経由(過去の経験)直接応募(今回の体験)
面接官の反応スキルや即戦力性を厳しくチェックされる印象コストがかからない分、人柄やポテンシャルを好意的に見てくれた
会話の内容エージェントが補足説明をするため、受け身になりがち直接の対話のみなので、残業の実態や人間関係など深い話ができた
見学の自由度面接と同日に短時間で済ませることが多い「納得するまで見ていって」と言われ、半日かけて病棟を見学できた

特に精神科は、患者さんとのコミュニケーションが重要視されます。私が直接電話やメールでやり取りを行った際のマナーや丁寧さも、選考のプラス材料になったと聞かされました。

自分で手続きをして大変だったことと良かったこと

直接応募はメリットばかりではありません。実際に動いてみて初めて分かった「大変だったこと」と、それでもやってよかったと思える「良かったこと」がありました。

大変だったこと:条件交渉と日程調整のプレッシャー

最も苦労したのは「給与条件の確認」です。エージェントがいれば「年収〇〇万円以上希望」と代わりに伝えてもらえますが、面接の場で自分から「ボーナスは昨年度実績で何ヶ月分ですか?」「基本給の昇給率は?」と聞くのは非常に勇気がいりました。

また、在職中の転職活動だったため、勤務の休憩時間にこっそりと電話をして面接日程を調整する必要がありました。相手方の担当者が不在で折り返しを待つなど、タイミングを合わせるのに神経を使いました。

良かったこと:情報の透明性と納得感

一方で、最大のメリットは「情報の透明性」でした。エージェント経由だと、どうしても「入職させたい」というバイアスがかかり、良い情報ばかり強調されることがあります。しかし、直接応募では看護部長から「うちは慢性的な人手不足で、夜勤は月に5〜6回入ってもらうことになるけど大丈夫?」といったネガティブな情報も包み隠さず教えてもらえました。

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良い面も悪い面もすべて納得した上で入職を決めることができたため、入職後のミスマッチはほとんどありませんでした。

自分でやって大変だったこと(デメリット)自分でやって良かったこと(メリット)
給与や待遇の話を自分から切り出すのが気まずい
履歴書の添削がないため、誤字脱字や内容に不安が残る
不採用の連絡が来た際、理由を聞けずに落ち込む
病院側に「志望度が高い」と熱意が伝わりやすかった
自分のペースでゆっくり考え、急かされずに決断できた
病院の対応(メールの速さや電話応対)から職場の雰囲気を見極められた

急性期から精神科への転科は大きなキャリアチェンジでしたが、自分で調べて、自分で連絡を取り、自分の目で確かめたからこそ、愛着を持って働くことができました。「交渉」や「手続き」の手間を惜しまないのであれば、直接応募は有効な手段だと実感しました。

看護師転職の直接応募で失敗しやすい落とし穴と回避策

ここでは、直接応募で陥りやすい代表的な3つの失敗パターンと、それを未然に防ぐための具体的な回避策を解説します。

  • 求人票と実態が違う
  • 見学なしで決めて後悔する
  • 退職交渉がこじれる

関連記事:看護師の私が転職で後悔した5つの原因|年収アップの裏でやらかした失敗と対策

求人票と実態が違う

ハローワークや病院のホームページに掲載されている求人票は、あくまで募集時点での目安やモデルケースであり、すべての労働条件が詳細に書かれているわけではありません。

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特によくあるトラブルが、「残業時間」「給与(手当)」「休日」に関する認識のズレです。

例えば、「月給30万円」と記載されていても、それが夜勤手当を何回分含んでいるのか、一律の手当が含まれているのかによって、実際の手取り額は大きく変わります。また、「残業少なめ」という記載も病院側の主観であり、実際の現場では前残業や研修といったサービス残業が常態化しているケースもあります。

こうしたミスマッチを防ぐためには、面接時の「逆質問」を活用して具体的に確認することが重要です。ただし、権利主張ばかりしていると印象が悪くなるため、聞き方には工夫が必要です。

確認したい項目求人票でよくある記載実態を探るための質問フレーズ
残業の実態月平均10時間程度「業務終了後は大体何時頃にタイムカードを切られていますか?また、始業前の情報収集は何分前くらいに来て行えばよろしいでしょうか?」
有給消化率有給休暇あり「現在働かれているスタッフの皆様は、夏休みやリフレッシュ休暇などをどのように取得されていますか?」
夜勤体制2交代制 / 月4回程度「夜勤の入り時間は何時でしょうか?また、仮眠は平均してどの程度取れていますか?」
教育体制プリセプター制度あり「中途入職の方には、どのくらいの期間プリセプターがつきますか?また、独り立ちの目安はありますか?」

また、口頭での確認だけでなく、内定が出た段階で必ず「労働条件通知書(雇用契約書)」を書面で受け取りましょう。労働基準法により、使用者は労働者に対して賃金や労働時間などの条件を書面で明示することが義務付けられています。書面の内容が面接時の説明と異なっていないか、入職承諾のサインをする前に隅々まで確認してください。

見学なしで決めて後悔する

直接応募の場合、面接日程の調整も自分で行うため、つい遠慮して「面接だけで十分です」と職場見学を省略してしまう人がいます。しかし、これは非常に危険です。ホームページの写真や面接官の対応だけでは、現場のリアルな雰囲気や忙しさは分かりません。

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特に看護師の職場は、人間関係や設備の使い勝手が働きやすさに直結します。

見学時にチェックすべきポイントを以下にまとめました。

チェック対象ここを見る!判断のポイント
すれ違うスタッフ挨拶と表情外部の人間に挨拶をする余裕があるか。表情が死んでいないか、ピリピリしていないか。
ナースステーション整理整頓と音書類や物品が散乱していないか。ナースコールが鳴りっぱなしで放置されていないか。
患者さんの様子身だしなみと表情爪や髪が整えられているか。ケアが行き届いているかは、看護師の余裕の表れ。
掲示物古さと内容数年前のポスターが貼ったままになっていないか。勉強会や委員会の掲示内容が過酷そうではないか。
設備・ハード面動線と電子カルテ廊下に物が置かれていないか。電子カルテのメーカーは使い慣れているものか。

見学中に違和感を感じたら、その直感は正しいことが多いです。どれだけ条件が良くても、生理的に合わない雰囲気を感じた場合は、辞退する勇気も必要です。

退職交渉がこじれる

自分で転職活動を行う場合、現在の職場への退職交渉もすべて自力で完結させなければなりません。特に人手不足の病院では、師長や看護部長からの強い引き止めに遭い、退職日がズルズルと延びてしまうケースもあります。

関連記事:看護師の退職理由の伝え方を徹底解説!上司に伝えるときのポイントも紹介

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現職場の退職日が確定しないと入職日を調整できず、内定取り消しになるリスクもあります。

円満かつスムーズに退職するためには、以下の3つの鉄則を守りましょう。

直属の上司(師長)に最初に伝える
先輩や同僚に先に話すと、噂として上司の耳に入り、心証を損ねます。
就業規則を確認する
退職の申し出は「退職希望日の〇ヶ月前まで」と規定されていることが多いです。民法上は2週間前までの申し出で退職可能ですが、円満退職のためには就業規則(通常は1~3ヶ月前)に従うのがマナーです。
職理由は個人的かつ前向きなものにする
「給料が安い」「人間関係が悪い」などの不満を伝えると、「改善するから」と引き止められる材料になります。

以下に、引き止められにくい退職理由の伝え方テンプレートを用意しました。自分の状況に合わせてアレンジして使用してください。

退職理由の伝え方の例

キャリアアップ
「こちらの病院で学ばせていただいた経験を活かし、以前から関心のあった〇〇科(急性期、訪問看護など)の分野で専門性を高めたいという気持ちが強くなりました。新たな環境で一から挑戦したいため、〇月末での退職をお願いいたします。」
家庭の事情
「家族の介護(または育児)のサポートが必要となり、実家に近いエリアでの勤務が必要になりました。通勤時間の関係で継続して勤務することが難しくなるため、退職させていただきたく存じます。」
体調面
「自身の健康上の理由により、夜勤のない環境で療養しながら働ける職場へ移ることを医師とも相談して決めました。ご迷惑をおかけして申し訳ありませんが、〇月末で退職させてください。」

重要なのは「相談」ではなく「報告・決定事項」として伝えることです。「辞めてもいいですか?」と聞くのではなく、「辞めさせていただきます」という固い意志を持って交渉に臨みましょう。

まとめ

看護師が転職エージェントを使わずに自分で求人を探して応募することは、決して難しいことではありません。自分のペースでじっくりと職場を選べる点や、紹介手数料がかからないことで採用されやすくなる可能性がある点は、直接応募ならではの強みです。

一方で、面接日程の調整から給与条件の交渉、退職手続きまでをすべて自分一人で行う必要があるため、相応の労力と準備が求められます。

今回ご紹介した以下の5つの方法は、それぞれに特徴があります。自分の状況に合わせて使い分けることが大切です。

  • 病院や施設の公式ホームページ
  • ハローワーク(公共職業安定所)
  • 都道府県ナースセンター(eナースセンター)
  • Indeedなどの求人検索エンジン
  • 知人や友人の紹介(リファラル)

自分で探す転職活動はエネルギーを使いますが、その分だけ自分のキャリアと向き合い、納得感のある職場に出会える可能性も高まります。ぜひこの記事を参考に準備を整え、あなたにぴったりの新しい職場を見つけてください。

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