看護師の面接で最初に「自己紹介をお願いします」と言われた際、何をどこまで話すべきか悩みますよね。
ryanta73私自身も悩まされた経験もあり、なおかつ面接官としてこの質問を投げかけた際に、戸惑う人を多く見てきました。
自己紹介はほとんどの場合、面接の冒頭で求められます。つまり、面接官が応募者に対して抱く印象は、この自己紹介で決まると言っても過言ではありません。そして…
実は、面接官が抱く第一印象は最初の「30秒」で決まります。
この記事では、採用担当も務める現役主任看護師の筆者が、自身の経験をもとに面接官の心を掴む自己紹介の構成と、そのまま使える状況別テンプレート・例文を公開します。自己PRとの違いや退職理由の伝え方、ブランクがある場合の対策も解説します。記事を読めば、面接における自己紹介のポイントを理解し、自信を持って本番に臨めるようになります。
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看護師面接で最初の30秒が重要な理由


多くの看護師さんが面接対策をする際、「何を話すか」という内容ばかりに時間を割きがちです。しかし、採用担当として数多くの面接を行ってきた私の経験からいえば、合否の大部分は「話し始めてから最初の30秒」の印象で決まっています。
なぜ「1分」ではなく「30秒」なのか。なぜそこまで冒頭が重要視されるのか、3つの理由を解説します。
- 面接官の集中力が持続する最適な時間配分だから
- 初頭効果でその後の展開に大きく影響するから
- 「メラビアンの法則」が最も強く働く瞬間だから
面接官の集中力が持続する最適な時間配分だから
採用担当者は、1日に何人もの応募者と面接を行うことがあります。その中で、ダラダラと長い自己紹介は、聞き手の集中力を著しく低下させる原因となります。
一般的に自己紹介は「1分程度」と言われることが多いですが、実際の現場感覚としては、1分間話し続けられると「少し長いな」と感じることがあります。特に、緊張して話がまとまっていない状態での1分は、聞いている側にとって非常に長く感じるものです。



私が採用担当として面接を行う際、自己紹介の時間に対して抱く印象は以下の通りです。
| 時間 | 採用担当者が抱く印象 | 評価への影響 |
| 10秒〜20秒 | 「準備不足?」「やる気がない?」と感じる | 情報不足 |
| 30秒〜45秒 | 要点がまとまっており、会話のキャッチボールがしやすい | 好印象 |
| 1分以上 | 「話が長い」「要約力が低い」と判断しがち | コミュニケーション懸念 |
このように、「30秒」という時間は、相手にストレスを与えず、かつ必要な情報を過不足なく伝えられる「情報のゴールデンタイム」です。この時間内に簡潔に経歴と意気込みを伝えることで、「仕事でも報告・連絡・相談がスムーズにできそうな人だ」という実務的な評価にも繋がります。
初頭効果でその後の展開に大きく影響するから
心理学には「初頭効果」という用語があります。これは、アメリカの心理学者ソロモン・アッシュが提唱したもので、「第一印象で形成されたイメージが、その後の評価にも長期的に影響を与え続ける」という心理効果のことです。



看護師面接において、この初頭効果は絶大な威力を発揮します。
例えば、最初の30秒の自己紹介で「明るく、テキパキとした優秀な看護師」という印象を与えることができれば、その後の質疑応答で多少言葉に詰まったり、回答に迷ったりしても、面接官は「今は緊張しているだけだろう」「慎重に言葉を選んでいるんだな」と、好意的に解釈してくれる傾向があります。
逆に、冒頭で「暗い」「要領が悪い」というネガティブなレッテルを貼られてしまうと、その後に素晴らしい自己PRを話しても、「口だけかもしれない」「現場では動けないのではないか」と、懐疑的な目で見られてしまうリスクが高まります。
つまり、最初の30秒の自己紹介は、その後の面接時間を「加点方式」で進められるか、「減点方式」で見られてしまうかの分岐点なのです。
「メラビアンの法則」が最も強く働く瞬間だから
自己紹介の30秒間において、話す内容と同じくらい、あるいはそれ以上に重要なのが「非言語情報」です。ここで意識すべきなのが、有名な「メラビアンの法則」です。



メラビアンの法則によれば、人が他人から受け取る情報の割合は以下のようになっています。


自己紹介の段階ではまだ深い話をしていないため、面接官は無意識のうちに視覚と聴覚からの情報に頼って応募者を評価します。
「30秒」という短い時間は、内容の深さで勝負するには短すぎますが、「笑顔」「ハキハキとした声」「背筋を伸ばした姿勢」によって、9割以上の好印象を勝ち取るには十分な時間です。
多くの看護師長や採用担当者は、現場の忙しさを知っているため、「一緒に働いていて気持ちの良い人か」「患者様に安心感を与えられる雰囲気か」を直感的に見ています。自己紹介の30秒は、経歴を読み上げる時間ではなく、あなたの「看護師としての雰囲気」をプレゼンテーションする場だと捉えてください。
看護師面接における自己紹介と自己PRの決定的な違い


面接対策を進める中で、多くの看護師さんが悩み、そして本番で失敗しやすいポイントが「自己紹介」と「自己PR」の混同です。この2つは似て非なるものであり、面接官が求めている情報は明確に異なります。
結論から言うと、自己紹介は「あなたという人物の概要を伝える挨拶」であり、自己PRは「あなたが病院に貢献できる強みを売り込むプレゼン」です。この役割分担を理解せずに、自己紹介の段階で長々と強みをアピールしてしまうと、「質問の意図を理解していない」「話が長い」というマイナス評価につながりかねません。
- 自己紹介は経歴のダイジェスト版
- 自己PRは具体的なエピソードで強みを証明する場
まずは、それぞれの違いを整理した以下の比較表をご覧ください。
| 項目 | 自己紹介 | 自己PR |
| 主な目的 | アイスブレイク・経歴の確認・挨拶 | 採用メリットの提示・熱意の証明 |
| 話す内容 | 氏名・職歴の要約・現在の状況・挨拶 | 具体的な強み・エピソード・貢献できること |
| 時間の目安 | 30秒〜1分程度 | 1分〜3分程度 |
| 面接官の心理 | 「まずは基本的なプロフィールと人柄を知りたい」 | 「自院で活躍できる根拠や実績を知りたい」 |
| ゴールのイメージ | 会話のきっかけを作り、好印象を与える | 「採用したい」と思わせる決定打を打つ |
関連記事:看護師の自己PRの書き方と成功例|急性期・精神科での実体験から学ぶ魅力の伝え方
自己紹介は経歴のダイジェスト版
自己紹介において最も重要なのは、履歴書に書かれている基本情報を簡潔に要約し、面接官とのコミュニケーションの土台を作ることです。面接官は手元の履歴書を見ながら、目の前の応募者がどのような経歴を歩んできたのかを確認しようとしています。
ここでは、「氏名」「最終学歴や直近の職歴」「経験した主な診療科や役割」を淡々と述べるのではなく、相手が聞き取りやすいトーンでハキハキと伝えることが求められます。あくまで「挨拶」の延長線上にあるため、詳細な看護観や実績を深く掘り下げる必要はありません。



例えば、「外科病棟で5年間勤務し、リーダー業務やプリセプターを経験しました」といった事実を伝えるだけで十分です。
これにより、面接官は「リーダー経験があるなら、後輩指導についても聞いてみようかな」と次の質問をイメージしやすくなります。つまり、自己紹介は、その後の質疑応答をスムーズに進めるための「見出し」を提供する役割を果たしているのです。
自己PRは具体的なエピソードで強みを証明する場
一方で自己PRは、自分を採用することで病院側にどのようなメリットがあるかを証明する場です。自己紹介で伝えた「経歴」という事実に、応募者独自の「色」を加える作業とも言えます。
ここでは、単に「頑張りました」と伝えるのではなく、具体的なエピソードや数字を交えて、再現性のあるスキルを持っていることをアピールする必要があります。例えば、「急性期病棟での経験から、急変対応には自信があります」と言うだけでなく、「急変時の対応フローを見直し、スタッフへの勉強会を主催した結果、チーム全体の対応力が向上しました」といった具体的な行動実績を添えるのが自己PRです。
面接官は自己PRを通じて、「この人はうちの病院の忙しさについても来れるか」「既存のスタッフと上手くやっていけるか」を判断します。そのため、自己紹介とは異なり、感情や熱意、そして具体的な根拠をしっかりと盛り込み、「この人を採用すれば、現場の課題解決に役立ちそうだ」と面接官に確信させることがゴールとなります。
看護師面接の自己紹介で好印象を与えるテクニック


採用担当者として数多くの看護師面接を行ってきた経験から断言できるのは、話す内容以上に「話し方」が合否の第一印象を決定づけるということです。
ここでは、私が実際に面接官として「この人は採用したい」と感じた候補者に共通していた、自己紹介時の具体的なテクニックを3つに絞って解説します。
- 最初の5秒で明るい性格と人柄を伝える声のトーン
- 専門用語を使いすぎず誰にでも伝わる言葉を選ぶ
- 前職の退職理由をポジティブな未来への展望に変換する
最初の5秒で明るい性格と人柄を伝える声のトーン
面接室に入室し、自己紹介を始める「最初の5秒」が勝負です。看護師の仕事は、患者様や多職種とのコミュニケーションが中心となるため、第一声から「話しやすそうな人だ」「明るい雰囲気を持っている」と感じさせる必要があります。
具体的には、普段の会話よりもドレミの「ソ」の音を意識した高めのトーンで話すことをおすすめします。特に緊張すると声が低く小さくなりがちですが、意識的に声を張り、口角を上げて話すことで、声の響きが明るくなります。



昨今の医療現場ではマスク着用での面接も珍しくありません。顔の半分が隠れている状態では、目元の表情と声のトーンだけが感情を伝える手段となります。
私が好印象を抱く候補者の共通点は以下の通りです。


自己紹介の冒頭で「〇〇と申します。本日は貴重なお時間をいただきありがとうございます」と言う際、この表にある「OK例」を実践するだけで、面接官の緊張もほぐれ、その後の会話がスムーズに進むようになります。
専門用語を使いすぎず誰にでも伝わる言葉を選ぶ
看護師同士の会話では当たり前に使っている略語や専門用語も、面接の場、特に自己紹介では慎重に使う必要があります。なぜなら、面接官の中には事務長や人事担当者など、医療の専門職ではない人が含まれている場合があるからです。
また、看護部長などの専門職が相手であっても、相手に合わせてわかりやすく説明できる能力を、自己紹介を通じてチェックしています。専門用語を多用しすぎると、「患者様に対しても専門用語で一方的に話すタイプなのではないか?」という懸念を抱かせかねません。


自己紹介は、知識をひけらかす場ではなく、応募者の経歴を相手に理解してもらう場です。小学5年生程度でも理解できるレベルの言葉選びを意識すると、非常に聞き取りやすく、配慮のできる看護師だという印象を与えられます。
前職の退職理由をポジティブな未来への展望に変換する
自己紹介の中で、簡単な経歴と共に「なぜ転職活動をしているのか」に触れることがありますが、ここでネガティブな言葉を使うのは厳禁です。「残業が多かったから」「人間関係が悪かったから」という事実は、面接官に「うちの病院でも同じ理由で辞めるのではないか」という不安を与えます。



私が採用したいと思う候補者は、過去の不満ではなく「未来への希望」を語ることで、結果的に退職理由を正当化させています。
ネガティブな事実をポジティブな未来への展望(転職理由)に変換するテクニックは以下の通りです。
| 本音(ネガティブな退職理由) | 自己紹介での変換例(ポジティブな未来への展望) |
| 「忙しすぎて流れ作業のような看護が嫌だった」 | 「一人ひとりの患者様とじっくり向き合い、寄り添った看護を実践したいと考えました」 |
| 「教育体制が整っておらず不安だった」 | 「貴院の充実した教育制度のもとで、専門性を高め、より質の高い看護を提供できる看護師に成長したいです」 |
| 「給料が安く、評価制度に不満があった」 | 「キャリアラダーが明確な貴院で、成果やスキルアップを正当に評価していただける環境に身を置き、貢献したいです」 |
このように言い換えることで、「不満から逃げる転職」ではなく「成長を求めた前向きな転職」であると印象づけることができます。自己紹介の段階で前向きな姿勢を示しておくと、その後の質疑応答で多少突っ込んだ質問をされても、一貫してポジティブな軸で回答できるようになります。
【状況別】看護師面接の自己紹介最強テンプレート


面接における自己紹介は、第一印象を決定づける重要なステップです。しかし、応募者の経歴や状況によって、アピールすべきポイントは大きく異なります。ここでは、筆者の採用経験に基づき、状況別に最適化された「自己紹介の最強テンプレート」を紹介します。いずれも、面接官が聞き取りやすい「30秒から1分程度(約150〜300文字)」の長さを目安に作成しています。
- 【転職・中途】病棟→病棟の場合
- 【転職・中途】病棟→施設/訪問看護の場合
- 【新卒(看護学生)】実習経験の言い換え
- 【ブランクあり】復職で不安がある人
- 【転職回数多め】マイナスを作らないテンプレ
- 【未経験科へ挑戦】 “学ぶ姿勢”を評価に変える



そのまま使える例文を用意しましたが、ご自身の経歴に合わせて固有名詞や数字を書き換えて活用してください。
【転職・中途】病棟→病棟の場合
同じ病院形態での転職の場合、求められるのは「即戦力」としてのスキルと経験です。前職での診療科、経験年数に加え、リーダー業務や委員会活動などの役割を具体的に伝えることで、入職後の活躍イメージを持たせることができます。
| 構成要素 | 話す内容のポイント |
| 挨拶・氏名 | 明るくハキハキと名乗る |
| 経歴要約 | 診療科、経験年数、病床規模などを数字で示す |
| 役割・実績 | リーダー経験、プリセプター、専門チーム活動など |
| 結び | 即戦力として貢献したい意欲を伝える |
例文:リーダー経験をアピールする場合
「〇〇(氏名)と申します。本日は貴重なお時間をいただきありがとうございます。
私はこれまで、〇〇病院の消化器外科病棟で5年間勤務してまいりました。術前術後の周術期看護を中心に、直近の2年間は病棟リーダーおよび新人教育担当であるプリセプターを務めております。
急性期で培った判断力と、チーム医療を円滑に進める調整力を活かし、貴院の地域医療への貢献という理念のもと、即戦力として貢献したいと考えております。
本日はどうぞよろしくお願いいたします。」
このテンプレートでは、「リーダー経験」や「教育担当」といったキーワードを入れることで、マネジメント視点があることをアピールしています。
【転職・中途】病棟→施設/訪問看護の場合
病院から介護施設や訪問看護ステーションへ転職する場合、「病院のやり方に固執しないか」「利用者さんの生活に寄り添えるか」という点がチェックされます。



医療処置のスキルだけでなく、生活を支える視点を持っていることを強調しましょう。
例文:病院から訪問看護へ挑戦する場合
「〇〇(氏名)と申します。本日はよろしくお願いいたします。
これまでは総合病院の循環器内科で7年間勤務し、主に慢性心不全の患者様の生活指導や退院支援に力を入れてまいりました。
退院後の生活に不安を抱える患者様と関わる中で、より生活の場に近い環境で看護を提供したいという思いが強くなり、在宅医療に定評のある御社を志望いたしました。
病院で培ったフィジカルアセスメント能力を活かしつつ、利用者様一人ひとりの生活スタイルを尊重した看護を実践したいと考えております。
本日はどうぞよろしくお願いいたします。」
【新卒(看護学生)】実習経験の言い換え
新卒の場合、職務経歴がないため「実習での学び」が自己紹介の核となります。ただし、実習の感想だけで終わらせず、そこからどのような看護師になりたいと思ったかという「ビジョン」に繋げることが重要です。


例文:実習での学びを意欲に変える場合
「〇〇看護専門学校から参りました、〇〇(氏名)と申します。
実習では、慢性期の患者様を受け持たせていただき、傾聴を通じて信頼関係を築くことの重要さを深く学びました。患者様の『あなたと話して安心した』という言葉が、私の看護観の原点となっております。
貴院の『心に寄り添う看護』という理念に強く惹かれ、ここで新人看護師として一歩を踏み出したいと強く願っております。
ご指導いただくことも多いかと存じますが、持ち前の粘り強さで精一杯努力いたします。
本日はよろしくお願いいたします。」
【ブランクあり】復職で不安がある人
結婚・出産・育児などでブランクがある場合、面接官は「現場感覚が戻るか」「急な休みがないか」を懸念します。謙虚な姿勢を見せつつも、復職に向けた準備や意欲を伝えることで安心感を与えましょう。
例文:育児によるブランクから復帰する場合
「〇〇(氏名)と申します。本日はお時間をいただきありがとうございます。
私は以前、整形外科クリニックで4年間勤務しておりましたが、出産を機に退職し、その後3年間は育児に専念しておりました。
この度、子供の手が離れ、家族の協力体制も整いましたので、看護師として復職を決意いたしました。ブランク期間中は、看護協会の復職支援研修に参加するなどして知識のアップデートに努めております。
一日も早く勘を取り戻し、貴院の戦力となれるよう学び続ける所存です。
本日はどうぞよろしくお願いいたします。」
ここでは、「家族の協力体制」や「研修参加」に触れることで、長く働き続けられる環境と準備が整っていることを証明しています。
【転職回数多め】マイナスを作らない
転職回数が多い場合、「またすぐに辞めるのではないか」という懸念を持たれがちです。過去の転職をネガティブに捉えるのではなく、「多様な経験を積んできた」というポジティブなストーリーに変換して伝えましょう。
例文:複数の領域を経験している場合
「〇〇(氏名)と申します。本日はよろしくお願いいたします。
私はこれまで、急性期病棟で3年、その後回復期リハビリテーション病棟で2年、直近では介護老人保健施設で2年勤務してまいりました。
複数の領域を経験することで、急性期治療から在宅復帰、その後の生活までを包括的に捉える視点を養うことができました。
これまでの経験を総合的に活かせるのは、地域包括ケアシステムの中核を担う貴院しかないと考え、志望いたしました。
腰を据えて長く貢献したいと考えております。本日はよろしくお願いいたします。」
【未経験科へ挑戦】 “学ぶ姿勢”を評価に変える
未経験の診療科へ転職する場合、「前の科ではこうだった」というこだわりを捨て、ゼロから学ぶ素直さをアピールすることが大切です。同時に、過去の経験の中で新しい科でも活かせる「共通スキル」を提示します。
例文:外科から精神科へ転職する場合
「〇〇(氏名)と申します。本日はありがとうございます。
これまでは消化器外科で4年間勤務し、主に周術期の身体管理や処置のスキルを磨いてまいりました。
身体的なケアを行う中で、患者様の精神的なサポートの奥深さに関心を持ち、精神科看護を専門的に学びたいと考えるようになりました。
精神科は未経験ではございますが、外科で培った観察力と急変対応力を土台にしつつ、新しい知識を貪欲に吸収していきたいと考えております。
本日はどうぞよろしくお願いいたします。」
看護師面接の自己紹介を構成する「型」


面接官が自己紹介で知りたいのは、応募者の詳しい生い立ちではなく「どのような経歴を持ち、自院でどう活躍できる人物か」という概要です。以下の5つのステップに沿って構成することで、論理的かつ好印象な自己紹介が完成します。
- 名乗り+挨拶
- 経歴(診療科/年数/役割)
- 強み
- 強みの根拠
- 締めの一言
①名乗り+挨拶
第一声は、その人の第一印象を決定づける重要な瞬間です。ドアをノックして入室し、椅子の横に立った状態で、まずは氏名をフルネームではっきりと名乗ります。
ここでは単に名前を言うだけでなく、面接の機会をいただいたことへの感謝を添えるのがマナーです。忙しい業務の合間を縫って面接をしてくれている採用担当者に対し、配慮ができる人物であることを印象付けましょう。


②経歴(診療科/年数/役割)
次に、これまでの看護師としてのキャリアを要約して伝えます。ここでは職務経歴書の詳細をすべて読み上げる必要はありません。「どこで」「何年」「どのような役割を担ったか」を簡潔にまとめるのがポイントです。
特に「リーダー業務」「プリセプター」「委員会活動」などの役割経験は、組織への貢献度をイメージさせるための重要なキーワードとなります。経験が浅い場合は、「どのような疾患の患者様を主に担当してきたか」を伝えると良いでしょう。
経歴を伝える際の構成例
- 所属:〇〇病院の消化器外科病棟にて
- 期間:5年間勤務し
- 役割:直近の2年間はプリセプターとして新人教育にも携わりました
③強み
経歴の次に、あなたのアピールポイント(自己PR)の「見出し」となる部分を伝えます。ここでは詳細なエピソードを話すのではなく、自分を一言で表すキャッチフレーズのようなイメージで伝えると、面接官の記憶に残りやすくなります。
この「強み」は、応募先の病院や施設が求めている人物像とリンクしていることが重要です。例えば、急性期病院であれば「テキパキとした対応力」や「体力」、訪問看護であれば「利用者様に寄り添う傾聴力」などが好まれます。
④強みの根拠
先ほど挙げた「強み」が、単なる思い込みではなく事実であることを裏付ける根拠を添えます。ここでも長くなりすぎないよう、具体的な経験や実績をワンセンテンスで添える程度に留めましょう。
詳細なエピソードは、自己紹介の後の質疑応答や自己PRのターンで深掘りしてもらうための「撒き餌」の役割を果たします。「



もっと詳しく聞きたい」と面接官に思わせることができれば成功です。


⑤締めの一言
最後に、面接への意気込みと結びの挨拶で自己紹介を締めます。ここでは、「これまでの経験を活かして、貴院でどのように貢献したいか」という未来の展望を少し混ぜると、志望度の高さが伝わります。
終わりが締まらないと、面接官も次の質問に移るタイミングを掴みづらくなります。「本日はどうぞよろしくお願いいたします」と言い切り、一礼することで、会話のバトンを面接官に渡しましょう。
筆者が実際の面接で高評価をつけた自己紹介の共通点


これまで数多くの看護師採用面接を担当してきましたが、合格ラインを超える応募者には明確な共通点があります。ここでは、採用担当者が心の中で「おっ、この人は違うな」と感じ、高評価をつける自己紹介の具体的な特徴を深掘りします。
- 話す内容よりも聞く姿勢と準備の深さが伝わる
- 自分を良く見せようとしすぎず等身大で話している
話す内容よりも聞く姿勢と準備の深さが伝わる
自己紹介というと「自分が何を話すか」にばかり意識が向きがちですが、高評価を得る看護師は「相手がどう聞いているか」を常に意識しています。面接はプレゼンテーションの場ではなく、対話の場です。私が「採用したい」と感じた応募者は、面接官の表情やメモを取るスピードに合わせて話すペースを調整できる余裕を持っていました。



また、準備の深さは言葉の端々に表れます。
単に「貴院の理念に共感し」と言うだけでなく、「地域医療に力を入れている貴院の〇〇という取り組みに魅力を感じ」といったように、その職場独自の情報を自己紹介に自然に織り交ぜることができる人は、事前リサーチの深さが伝わり、志望度の高さとして評価されます。
以下に、準備不足な自己紹介と、準備が行き届いた高評価な自己紹介の違いを整理しました。


臨床現場において患者さんの様子を観察しながらケアを行うのと同様に、面接官の反応を見ながらコミュニケーションを取れるスキルは、看護師としての資質の高さの証明にもなります。
自分を良く見せようとしすぎず等身大で話している
採用面接では「優秀な看護師に見られたい」という心理が働くのは当然ですが、経験豊富な採用担当者は、作られた自分と本来の姿のギャップを敏感に察知します。実際に高評価につながるのは、完璧なスーパーナースを演じる人ではなく、自分の強みも弱みも理解し、誠実に伝えられる等身大の人柄です。
例えば、ブランクがある場合や未経験の分野に挑戦する場合、「大丈夫です、自信があります」と根拠なく言い切るよりも、「新しい業務には不慣れな部分がありますが、一日も早く戦力になれるよう、現在は〇〇の勉強をしています」と正直に現状を伝えつつ、前向きな姿勢を示すほうが信頼を得られます。



嘘や過度な誇張は、入職後のミスマッチや早期離職の原因となることを採用側は最も恐れています。
失敗談や苦労した経験を語る際にも、それを他責にせず、どのように乗り越え、何を学んだかをごまかさずに話せる誠実さこそが、最強の自己PRとなります。
看護師面接の自己紹介で避けるべきNG例


私が実際に採用担当として多くの看護師と面接をしてきた中で、「非常にもったいない」と感じたNGな自己紹介には明確な共通点があります。ここでは、面接官の評価を著しく下げてしまう4つの典型的なNGパターンについて、具体的な心理背景とともに解説します。
- 名前と挨拶だけで終わる
- アピール盛り盛りで長い
- 退職理由がネガティブ
- 他職種を下に見るニュアンス
関連記事:採用したくない看護師の特徴10選|面接で見られるポイントを採用担当者が解説
名前と挨拶だけで終わる
「〇〇と申します。本日はよろしくお願いいたします。」
緊張のあまり、このように名前と挨拶だけで自己紹介を終えてしまう方がいます。一見、礼儀正しく見えますが、面接の場においては「コミュニケーションを取る意欲が低い」「準備不足である」というマイナスの評価につながりかねません。
面接官が自己紹介を求める意図は、応募者の緊張をほぐす「アイスブレイク」と、その後の質問につなげる「会話の糸口」を見つけることにあります。情報が少なすぎると面接官は何を質問してよいか迷ってしまい、場の空気が重くなってしまうのです。
実際に私が面接をした際も、氏名のみで終わってしまった候補者に対しては、「会話のキャッチボールが苦手なタイプかもしれない」という懸念を抱きながらその後の質疑応答を進めることになりました。



最低限、職務経歴の要約と意気込みは添えるようにしましょう。
アピール盛り盛りで長い
自己紹介と自己PRを混同してしまい、これまでの経歴や看護観、具体的な成功体験まで全てを一度に話そうとするパターンです。熱意は伝わりますが、「話を要約して伝える能力がない」「相手の状況を配慮できない」と判断されるリスクが高まります。
看護師の現場では、申し送りや医師への報告など、限られた時間で情報を的確に伝えるスキルが求められます。そのため、面接での話が長すぎると「現場でも報告が長くて要領が悪いのではないか」と連想されてしまいます。
私が過去に面接した方で、自己紹介に5分近くかけた方がいました。看護師を志した理由からこれまで経験した職場や実績、志望動機まで、こちらが質問する前にまとめて話されてしまいました。
本人としては、必ず質問される内容であれば、まとめて一から説明した方が効率的と考えたのかもしれません。しかし、面接官には面接官のペースがあります。



私の場合、応募者との対話の中でさまざまな背景を深掘りし、応募者のことを理解したかったのです。
一方的に話し続けられたことで「相手の話も聞かずに自分の主張ばかりするのではないか」という懸念が拭えませんでした。
退職理由がネガティブ
自己紹介の流れで前職の退職理由に触れる際、ネガティブな内容をそのまま伝えてしまうのは避けるべきです。



当たり前のことと思うかもしれませんが、実はかなり多い事例です。特に、以下の理由を述べる人は多いです。
- 「師長と性格が合わなくて辞めました」
- 「残業が多くて体力が持ちませんでした」
- 「給料が安くてモチベーションが続きませんでした」
これらはたとえ事実であったとしても、初対面の面接官に伝えるべき内容ではありません。不平不満を口にする人は「他責思考が強い」「入職してもまた同じ理由ですぐに辞めるだろう」と判断されます。
特に自己紹介の段階では、まだ信頼関係が築けていません。このタイミングでのネガティブ発言は、その後のアピール内容すべてに「でも、この人は不満が多い人だから」というバイアスがかかります。退職理由は「より専門性を高めるため」「新しい分野に挑戦するため」といった、ポジティブな未来への展望に変換して伝えることが鉄則です。
他職種を下に見るニュアンス
これはベテラン看護師や、急性期病院から施設・在宅へ転職する場合に特に注意が必要なNGポイントです。自身のスキルをアピールしたいあまり、無意識に他職種や以前の職場環境を批判するような発言をしてしまうことがあります。



私がこれまで面接してきた中で、以下のような発言をする人がいました。
- 「前の職場では介護士さんが動いてくれなかったので、私が全部ケアしていました」
- 「医師の指示が遅いので、私が先回りして判断していました」
本人は「気が利く」「能力が高い」ことをアピールしているつもりでも、面接官には「協調性がない」「職種間の役割を尊重できないトラブルメーカー」として映ります。



医療・介護現場において、チーム医療は不可欠です。
私が採用担当をしていた際も、どれほど経歴が優秀でも「他職種を見下すような発言」があった応募者は、チームの和を乱すリスクが高いと判断し、採用を見送ってきました。自己紹介では、周囲と協力して業務を遂行できる「謙虚さ」と「協調性」を示すことが大切です。
看護師面接の自己紹介に関するよくある質問


私は採用側だけではなく、自身も数々の面接を受けてきた経験もあります。その中で、面接の現場で知っておきたかったことや「もっとこうすれば評価が上がるのに」と感じるポイントについて、Q&A形式で解説します。
- 自己紹介に退職理由は入れるべき?
- 自己紹介で家庭の話(子ども等)はどこまでOK?
- 資格や研修歴は自己紹介に入れる?
- 自己紹介の効果的な練習方法を教えて
自己紹介に退職理由は入れるべき?
結論から申し上げますと、自己紹介の中に退職理由を詳しく盛り込む必要はありません。
自己紹介はあくまで「応募者がどのような経歴を持ち、どのような強みがある看護師か」を簡潔に伝える場です。ここでネガティブな退職理由を話し始めてしまうと、話が長くなるだけでなく、第一印象が「不満を抱えて辞めた人」というイメージで固定されてしまうリスクがあります。
面接の流れとして、自己紹介の後に必ずと言っていいほど「前職の退職理由」や「志望動機」を聞く時間が設けられています。退職理由は面接官から質問されたタイミングで、前向きな言葉に変換して答えるのがベストです。
ただし、以下のような「やむを得ない事情」かつ「簡潔に説明できる場合」は、自己紹介の最後に軽く添えることで、その後の質疑応答がスムーズになることがあります。
- 結婚や配偶者の転勤に伴う転居
- 病院や施設の閉鎖・縮小
- 家族の介護(現在は解決済みの場合)
自己紹介で家庭の話(子ども等)はどこまでOK?
子育て中の看護師に最も多い疑問ですが、働く上で配慮が必要な事項は、自己紹介の段階ではなく、勤務条件の確認時や質疑応答で伝えるのが基本です。
しかし、自己紹介の中で「ママさんナースとしての強み」や「生活の安定性」をアピールする材料として使うことは非常に有効です。単に「子供がいるので大変です」と伝えるのではなく、「家庭と仕事を両立する体制が整っている」ことをアピールしましょう。



採用側の心理として、小さなお子さんがいる場合に懸念するのは「急な欠勤」や「残業の可否」です。これらを払拭するような伝え方を意識してください。
以下に、面接官が安心する伝え方の比較表を作成しました。
| 項目 | NGな伝え方 | OKな伝え方 |
| 子供の有無 | 「3歳の子供がいるので、ご迷惑をおかけするかもしれませんが…」 | 「3歳の子供がおりますが、病児保育の登録も済ませており、仕事に穴を空けない体制を整えています」 |
| 残業について | 「お迎えがあるので残業は一切できません」 | 「お迎えのため18時には退社する必要がありますが、勤務時間内に業務を完遂できるよう、優先順位をつけて行動します」 |
| 夜勤について | 「夜勤は無理です」 | 「現在は日勤中心の働き方を希望しますが、子供が小学校に上がる〇年後からは夜勤も検討したいと考えています」 |
資格や研修歴は自己紹介に入れる?
保有している資格や研修歴は、応募先の業務に直結するものであれば、積極的に自己紹介に含めるべきです。
例えば、訪問看護ステーションへの転職であれば「普通自動車運転免許」は必須のアピールポイントですし、急性期病院であれば「BLS(一次救命処置)」や「ACLS(二次救命処置)」の受講歴は即戦力としての評価に繋がります。
関連記事:【ジャンル別】看護師のキャリアアップに有利な資格20選!取得のポイントも解説



逆に看護業務と全く関係のない趣味の資格や、あまりに古い研修歴を羅列するのは避けましょう。
自己紹介は「ダイジェスト版」であることを忘れず、相手が「おっ、このスキルはうちで活かせるな」と興味を持つものだけをピックアップしてください。


自己紹介の効果的な練習方法を教えて
頭の中で文章を考えるだけでなく、実際に声に出して時間を計る練習が不可欠です。私が推奨している、誰でも簡単にできて効果が高い「3ステップ練習法」をご紹介します。
まずは原稿を見ながらで構いませんので、スマホのボイスメモに向かって話してみてください。後で聞き返すと、「えー」「あー」といった口癖や、早口になりすぎている部分に気づけます。客観的に自分の話し方を聞くことが、改善への近道です。
看護師の面接における自己紹介は、長すぎるとコミュニケーション能力に疑問を持たれてしまいます。ストップウォッチを使い、45秒〜1分(文字数にして約250〜300文字)で話し終える感覚を体に覚え込ませましょう。
内容は完璧でも、表情が硬くては「患者様への対応も暗いのかな?」と思われてしまいます。鏡の前で、口角を上げて話す練習をしてください。特に、最初の「失礼いたします」と名乗りの部分は、意識して明るいトーンを作ることが重要です。
まとめ


看護師面接における自己紹介は、最初の30秒で合否を左右するほど重要な第一印象の場です。本記事で解説した通り、自己紹介はあくまで「経歴のダイジェスト」であり、自己PRのように長々とアピールする場ではありません。



大切なのは、紹介した「型」やテンプレートを活用し、明るいトーンで簡潔に伝えることです。
経歴やスキルを過度に飾るのではなく、等身大の自分を伝える姿勢こそが、採用担当者の心を掴みます。しっかりと準備を整え、自信を持って面接に挑んでください。











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