看護師と介護士の仕事内容の違いが気になる人は多いです。看護師と介護士の大きな違いは、資格と年収です。本記事では、看護師と介護士の仕事内容、資格、年収、働く場所、キャリアパス、やりがい、大変な点を詳しく比較します。記事を読めば、看護師と介護士の違いが明確になり、自分に合った職業を選ぶことが可能です。
実際に看護師と介護士のどちらも経験している私がそれぞれの違いを解説します。
看護師と介護士の特徴を理解し、自分に最適なキャリアパスを見つける参考にしてください。
看護師と介護士の仕事内容の違い
看護師と介護士の仕事内容は、異なります。各職種の仕事内容の違いを解説します。
看護師の仕事内容
看護師の主な仕事内容は、患者さんの健康管理と医師の診察のサポートです。看護師の仕事は多岐にわたり、患者さんの健康と安全を守る重要な役割を担っています。
» 看護師の働き方を就業場所別、雇用形態別、勤務形態別に解説!
患者の健康管理
患者さんの健康管理は、看護師の重要な役割の1つです。適切な健康管理を行うことで患者さんの回復を促し、さらなる健康問題を未然に防げます。健康管理に含まれるのは、以下の内容です。
- 患者のバイタルサインの測定(血圧、脈拍、体温など)
- 患者の症状の観察
- 投薬と管理
- 点滴や注射の実施と管理
- 患者の食事、排泄、睡眠の管理と支援
- 健康教育と生活指導
上記の情報をカルテに記録し、他の医療スタッフと共有することで、統一したケアの提供が可能です。
必要に応じて患者さんの状態を医師へ報告し、指示受けをするのも大事な役割です。
医師の診察のサポート
医師の診察をスムーズに進めるために、看護師のサポートは欠かせません。看護師は、診察前の準備として、問診や体温測定などを担当します。事前準備を行うことで医師は診察のみに集中できるため、診療の質が向上します。以下のようなサポートも、看護師の役割です。
- 診察中の補助
- 診察後のフォローアップ
- 検査や治療の準備と補助
- 医療機器や薬品の準備
- 患者への指示の伝達
- 診療記録の作成や管理
- 医師への報告や連絡
看護師のサポートは、医師の診察を円滑に進めるために重要です。医療現場の効率化に大いに役立ちます。
» 看護師のクリニックの仕事内容とつらいと感じる理由を解説!
介護士の仕事内容
介護士の主な仕事内容は、利用者の身体介助と生活援助です。利用者が快適に日常生活を送れるようサポートします。利用者の生活の質を高めるために不可欠です。
身体介助
利用者は、自分で日常生活をこなすことが困難です。身体介助は、介護士の重要な役割の1つです。具体的な身体介助の内容は、以下が挙げられます。
- 食事介助
- 排泄介助
- 入浴介助
- 移動介助
- 着替え介助
- 体位変換
- 口腔ケア
上記の介助は、利用者の生活の質を高めるために必要不可欠です。身体介助を通じて、利用者がより快適な日常生活を送るサポートをします。
手取り足取り手伝うわけではありません。利用者の身体機能に合わせて適切な支援をすることが大切です。
生活援助
生活援助は、介護士の重要な役割の1つで、利用者の日常生活をより快適になものにします。利用者ができない家事や外出の支援を行い、自立をサポートするのが目的です。具体的な生活援助は、以下のとおりです。
- 食事の準備と提供
- 洗濯や掃除などの家事支援
- 買い物や薬の受け取り
- 生活必需品の補充
- 日常生活の相談や助言
- 外出や通院の付き添い
- 住環境の安全確認
- 衣類の整理や補修
- 電気やガスなどの設備点検
- ペットの世話
上記のサポートにより、利用者は安心して日常生活を送れます。外出や通院の付き添いは、利用者が社会とのつながりを維持するため欠かせません。
訪問介護を例にすると、入浴や受診、日中の食事など家族がカバーできない部分を介護士が担っています。
看護師と介護士の資格の違い
看護師は、医療の専門知識と技術が求められるため、厳しい教育と試験があります。人々の生活を支える役割を持つ介護士に重視されるのは、実務経験です。看護師と介護士の資格の違いを詳しく解説します。
看護師に必要な資格
看護師になるには、看護師国家試験の合格が必要です。看護師としての基本的な知識と技術を評価する試験に合格することで看護師免許を取得できます。看護師養成課程の修了も必要です。専門学校や大学で提供される教育プログラムで、看護に関する理論と実技を学びます。
現場で必要なスキルと知識が身に付けるために、実習経験も欠かせません。病院や医療施設での実習を通じて、理論で学んだことを実際の患者ケアに生かす練習をします。実際の現場での対応力を高めることが可能です。
看護師になるために最も苦労するのが、実習です。膨大な課題や記録物も、適切な内容に仕上げなければ厳しい指摘を受けます。
看護実習で鍛えられた心得は、現場で働く糧になっているのは間違いありません。
医療の現場では、常に新しい知識や技術が求められるため、定期的に研修やセミナーに参加して最新の情報を学ぶことが重要です。学び続ける姿勢を持つことにより、質の高い看護ケアを提供できます。
介護士に必要な資格
介護士に必要な資格は、いくつかあります。介護士に必要な資格は、以下のとおりです。
- 介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)
- 介護業界が初めての人におすすめです。基本的な介護技術や知識を学べるため、現場での実践力が身に付きます。
- 介護福祉士
- 国家資格であり、高い専門性が求められるため、より責任のある業務を担当できます。実務者研修を修了することで、介護福祉士試験に挑戦できます。
- 介護支援専門員(ケアマネージャー)
- ケアプランの作成や、利用者と家族の相談役として活躍するために必要です。介護支援専門員の資格があれば、利用者の生活全般をサポートする重要な役割を担えます。
- 認知症介護実践者研修
- 認知症の利用者に対する具体的な支援方法を学ぶ研修です。認知症ケアの専門家としてのスキルが磨かれます。
上記のほかにも、「喀痰吸引等研修」を受講することで介護士でも口腔内の喀痰吸引が実施可能です。
さまざま資格を取得すれば、介護の現場で幅広い業務を担当でき、介護士としてのキャリアを築けます。
看護師と介護士の年収の違い
看護師と介護士ともに、社会に与える影響は大きく、どちらもやりがいのある仕事です。しかし、年収には大きな違いがあります。看護師と介護士の平均年収について、説明します。
看護師の平均年収
看護師の年収は、経験年数や勤務先によって異なりますが、平均は約500万円です。(厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」)病院勤務の看護師は年収が高めで、大学病院や都市部の病院ではさらに高い傾向があります。民間の介護施設やクリニック勤務の看護師は、比較的年収が低いです。
» 介護施設での看護師の仕事|施設の種類や年収は?
夜勤を行う看護師や、特定の専門スキルを持つ看護師は、手当やボーナスで年収が増加します。看護師としてのキャリアの選択によって、年収に差が出ます。
» 看護師の夜勤の仕事内容と雇用形態、メリット、デメリットを解説
介護士の平均年収
介護士の平均給料は、初任給が約18〜22万円程度です。経験を積むと、スキルが向上し責任も増すため、月給は22〜25万円程度に上がります。介護福祉士などの資格を取得すれば、給料の増加が可能です。ボーナスは年2回で、合計で月給の2~3ヶ月分が支給されます。年間の総収入は、約300〜400万円前後です。(厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要」)
地域や施設により給料に差が生じますが、公的機関や大手企業の介護施設では、給料が高い傾向があります。夜勤や特殊業務手当も、給料に影響を与えます。パートやアルバイトとして働く場合、時給は900〜1,200円程度です。
昇給の機会は少ないですが、資格取得や研修によってスキルアップが可能であり、給料の増加につながります。
看護師と介護士の働く場所の違い
看護師と介護士は、働く場所も違います。看護師は医療機関での勤務が中心で、介護士は介護施設や在宅ケアが主な勤務先です。
どちらの職業も、人々の健康と生活を支える重要な役割を担います。
看護師の働く場所
医療や介護の範囲の広がりにより、看護師の働く場所は多岐に渡ります。働ける場所は、以下のとおりです。
- 病院
- 診療所やクリニック
- 訪問看護ステーション
- 介護施設
- 学校や企業の医務室
- 保健所や市町村の保健センター
- 助産院
- リハビリテーション施設
- 小児科や産科専門施設
- 自宅看護(個人契約)
上記以外にも、医療が必要とされる場所で、看護師は活躍できます。
» 健診センターの看護師の仕事内容とメリット、デメリットを解説!
介護士の働く場所
介護のニーズがさまざまな場所で求められているため、介護士の働く場所も多岐にわたります。介護士が活躍している施設やサービスは、以下のとおりです。
- 特別養護老人ホーム
- 介護老人保健施設
- 介護付有料老人ホーム
- グループホーム
- デイサービスセンター
- 訪問介護事業所
- 小規模多機能型居宅介護施設
介護士は、利用者の日常生活を支援する役割を果たします。利用者が快適に生活できるよう、身体介助や生活援助を提供することで、介護士は地域社会に大きな貢献をしています。
各施設ごとに特徴やサービス内容が異なるため、介護士としてのキャリアの選択肢はさまざまです。
各場所で求められるスキルや知識が異なるため、働きたい環境や役割を明確にして、介護士としてのキャリアを考えましょう。
看護師と介護士のキャリアパスの違い
看護師と介護士のキャリアパスには、いくつかの違いがあります。自分の目指すキャリアに応じた準備が必要です。
看護師のキャリアパス
看護師のキャリアパスは多様です。新人看護師として、病院やクリニックで基礎的な看護業務を経験した後に、さまざまな方向へ進めます。看護師のキャリアパスは、以下のとおりです。
- スペシャリスト(認定看護師、専門看護師)
- 管理職(看護主任、看護師長、看護部長)
- 教育・研究職(看護教員、大学教授、研究者)
- 地域看護(訪問看護、保健師)
- 海外でのキャリア(海外勤務、国際看護師資格取得)
- その他の分野(企業看護師、医療コンサルタント、医療ジャーナリスト)
看護師としての知識と経験を生かしながら、新しい挑戦ができます。自分に適したキャリアパスを選択しましょう。
» 産業看護師の仕事内容と求められるスキルを解説!
介護士のキャリアパス
介護士のキャリアパスは、選択肢が多いです。介護福祉士の資格を取得すれば、専門的な知識と技術を持った介護士として働けます。ケアマネージャーや介護支援専門員になる道もあります。
ケアマネージャーは利用者や家族のケアプランを作成し、全体の介護サービスをコーディネートする重要な役割です。
サービス提供責任者になる道もあります。訪問介護サービスを提供するスタッフを取りまとめ、サービスの質を管理する役割です。施設長や管理職として、施設全体の運営やスタッフの管理も行えます。専門職へのステップアップも可能です。
理学療法士や作業療法士などの資格を取得すれば、リハビリテーションの専門家として、介護施設で働けます。研修講師や教育者として、介護の現場で得た知識やスキルを伝える役割もあります。福祉関連のコンサルタントとして、介護施設の運営やサービス向上のためのアドバイスをすることも可能です。
独立して介護事業を経営する道もあります。大学院に進学して、さらなる専門知識の習得も可能です。介護士のキャリアパスは多岐に渡り、異なる魅力と可能性があります。
看護師と介護士のやりがいと大変なところ
看護師と介護士の仕事には、やりがいも多いですが、大変な面も多いです。職業のやりがいと大変さについて説明します。
看護師のやりがいと大変なところ
看護師のやりがいは、多くあります。患者さんからの感謝の言葉を直接受け取れることは、大きな喜びです。命を助ける達成感もあります。専門知識と技術が身に付くことも魅力です。成長する機会が多く、自己成長を感じられます。しかし、看護師の仕事はやりがいだけではありません。大変なところは、以下のとおりです。
- 夜勤があり体力的に厳しい
- 精神的ストレスが大きい
- 緊急時の対応が必要になる
- 人手不足で忙しい
- プライベートとの両立が難しい
» 看護師がのんびり働きたい職場の特徴や、おすすめの勤務先を紹介
介護士のやりがいと大変なところ
介護士のやりがいは、多岐にわたります。利用者からの感謝の言葉が直接届くことが大きなやりがいです。日々の業務を通じて、利用者の生活の質を向上できる達成感も得られます。利用者や家族との人間関係が深まり、信頼関係を築けるのも魅力です。ただし、介護士の仕事には、以下のような大変な面もあります。
- 体力的な負担が大きい
- 感情労働である
- 勤務時間が不規則である
- 介護技術や知識の習得が必要になる
介護士は、やりがいと大変さが共存する職業だといえます。
まとめ
看護師と介護士は、仕事内容や求められるスキル・資格、年収など、異なる点が多いです。看護師は国家資格が必要で、患者の健康管理や医師の診察サポートが主な業務です。一方、介護士は介護福祉士などの資格が必要で、身体介助や生活援助が主な業務になります。年収は、看護師の方が高い傾向があります。
看護師は病院やクリニックで働くことが多く、介護士は介護施設や在宅介護で働くことが多いです。キャリアパスは、看護師は専門看護師や看護管理者など、介護士はケアマネージャーや施設管理者など、異なる道があります。
看護師は患者の回復に貢献できること、介護士は利用者の生活を支えられることがやりがいです。どちらの職種も決して楽ではありませんが、社会において重要な役割を担うやりがいのある職業だと言えます。
コメント