看護師の転職面接で「何か質問はありますか?」という逆質問に悩んだ経験がある人も多いのではないでしょうか。逆質問は、あなたの志望度や人柄を伝える最後のチャンスであり、準備不足は不採用に直結しかねません。

今や逆質問は、どの面接でもマストで聞かれます。
この記事では、応募者として逆面接に悩まされた経験もあり、主任として面接官も担当する筆者が採用側の本音を交え、内定に繋がる好印象な逆質問20選とNG例を徹底解説します。
記事を読むことで、仕事への意欲を効果的にアピールし、本当に自分に合う職場かを見極めるための具体的な質問術がわかります。
»看護師面接で「最後に一言」を求められた時の正解例とNG回答|実体験で得た対策法
看護師の面接で逆質問が重要な理由


看護師面接において、逆質問は単なる質疑応答の時間ではありません。実は、面接官が応募者の資質や意欲を多角的に評価するための重要な判断材料です。 面接官と応募者、双方にとって逆質問がなぜ重要なのか、以下の3つの理由を解説します。
- 逆質問は「志望度・本気度」を測る場
- 準備不足はマイナス評価につながる
- 逆質問で応募者の姿勢が一気にプラスになるケースも
逆質問は「志望度・本気度」を測る場
面接官は、逆質問の内容や姿勢から、応募者がその病院や施設に対してどれほどの情熱と関心を持っているかを見極めようとしています。 事前にしっかりと企業研究を行い、考え抜かれた質問を準備することで、「この職場で長く働きたい」「組織や業務に強い関心がある」といった本気度を効果的に伝えることが可能です。 逆に、「特にありません」という回答は、志望度が低い、あるいは関心がないと受け取られ、評価を下げる可能性があります。
面接官が逆質問を通じて確認しているポイントは、主に以下の通りです。
評価する視点 | 面接官が知りたいこと |
志望度・意欲 | どれだけ当院で働きたいという熱意があるか。入職後の活躍イメージを持っているか。 |
人柄・価値観 | 当院の理念や看護方針に共感し、チームの一員として円滑に業務を遂行できるか。 |
コミュニケーション能力 | 質問の意図を的確に伝え、会話のキャッチボールがスムーズにできるか。 |
情報収集能力と論理的思考力 | 事前にホームページなどで基本情報を調べているか。その上で、さらに深く知りたい点を論理的に質問できるか。 |
準備不足はマイナス評価につながる
看護主任や看護部長といった管理職の面接官は、現場の即戦力となりうるか、またチーム医療に貢献できる人材かという視点で応募者を見ています。逆質問の準備が不足していると、以下のような点でマイナス評価につながりかねません。
- 情報収集能力の欠如
- 病院の公式サイトや求人票に明記されている情報を質問すると、「事前準備が不十分」「志望度が低い」と判断されます。
- 主体性のなさ
- 質問が全くない、あるいは受け身な質問ばかりだと、「主体的に行動できない」「学習意欲が低い」といった印象を与えてしまいます。
- ミスマッチの懸念
- 業務内容や職場の環境について関心を示さない場合、入職後に「思っていたのと違った」という早期離職のリスクを懸念されます。
現場の責任者としては、新しい仲間がスムーズに職場に溶け込み、共に成長していけることがベストです。そのため、逆質問を通して、応募者がどれだけ真剣に職場を理解しようとしているか、その姿勢を厳しく評価しています。
逆質問で応募者の姿勢が一気にプラスになるケースも
一方で、逆質問は面接の最終盤で自身の評価を大きく引き上げる絶好のチャンスでもあります。 これまでの質疑応答で十分にアピールしきれなかった部分を補い、面接官に強い印象を残すことが可能です。
例えば、以下のような質問はプラス評価につながりやすいでしょう。
- 貢献意欲を示す質問
- 「〇〇の認定看護師資格を持っているのですが、貴院の〇〇病棟でそのスキルを活かせる場面はありますでしょうか」といった、自身の経験やスキルをどう活かせるかを問う質問は、即戦力としての期待感を高めます。
- 学習意欲の高さを示す質問
- 「入職までに特に勉強しておくべき分野はありますか」といった質問は、入職後すぐにでも貢献したいという前向きな姿勢をアピールできます。
- キャリアプランを伝える質問
- 「貴院では、将来的に専門看護師を目指すためのキャリア支援制度はございますか」など、長期的な視点でキャリアを考えていることを示す質問は、長く働いてくれる人材であるという印象を与えます。
逆質問は単なる疑問解消の場ではなく、自己PRの最後の機会です。 戦略的に質問を準備し活用することで、他の応募者と差別化を図り、採用に近づけられます。
看護師の面接で好印象な逆質問20選


私自身、これまでに介護士・看護師の面接を担当してきましたが、逆質問の内容で印象が大きく変わったケースも少なくありません。ここでは、私が実際に好印象を抱いた逆質問を、4つのカテゴリーに分けて20個紹介します。
- 仕事への意欲をアピールする逆質問
- スキルと貢献度をアピールする逆質問
- 働きやすさを見極める逆質問
- キャリアプランを伝える逆質問
仕事への意欲をアピールする逆質問
入職後の業務にいち早く貢献したいという前向きな姿勢は、面接官から見ると非常に魅力的に映ります。具体的な業務内容や入職前の準備について質問することで、高い学習意欲と責任感をアピールできます。



即戦力としての活躍を期待される中途採用の面接では特に効果的です。
入職までに準備すべきことの質問
「もし内定をいただけた場合」と前置きすることで、入職を強く希望している意思が伝わります。一日でも早く職場で活躍したいという熱意を示しましょう。
入職後の業務を具体的に想定し、準備を怠らない真摯な姿勢と学習意欲をアピールできます。
「貴院で採用されている看護記録の方式(SOAP、フォーカスチャーティングなど)や電子カルテのメーカーを差し支えなければ教えていただけますか?」
具体的な業務への適応を早めたいという意欲の表れです。経験者であれば、即戦力となれる可能性を示唆できます。
「配属先の部署では、どのような疾患の患者様が多くいらっしゃいますか?また、その中で特に必要とされる看護技術がございましたら教えていただけますか?」
自身のスキルと配属先のニーズを結びつけ、貢献したいという具体的な意志を示すことができます。
「中途採用で入職された方は、どのような研修やフォローアップを受けて業務に慣れていかれるのでしょうか?」
受け身ではなく、能動的に環境に適応しようとする姿勢と、着実に業務を覚えていきたいという誠実さを伝えられます。
1日の業務の流れに関する質問
1日のスケジュールに関する質問は、入職後の働き方を具体的にイメージしようとする姿勢の表れです。これは、ミスマッチを防ぎたいという採用側の思いとも合致します。 また、忙しさや残業について直接的に聞くのではなく、間接的に把握することも可能です。
入職後の自分の姿を具体的にイメージし、スムーズに業務に入りたいという意欲を示せます。
「プリセプター制度についてお伺いしたいのですが、どのような形でご指導いただけますか?。また、プリセプティが独り立ちするまでの期間の目安はどのくらいでしょうか?」
教育制度への関心を示し、着実にスキルを身につけたいという真面目な人柄をアピールできます。
「看護師の皆さんが特に忙しくなる時間帯や業務内容について教えていただけますでしょうか?」
業務の繁閑を理解し、チームの一員として貢献したいという配慮と主体性を示せます。
スキルと貢献度をアピールする逆質問
これまでの経験やスキルを、応募先でどのように活かせるかを具体的に示す質問は、即戦力としての価値をアピールする上で非常に有効です。また、組織が求める人物像を理解しようとする姿勢は、協調性や貢献意欲の高さとして評価されます。
〇〇の経験を活かせる場面についての質問
自身の経歴と応募先の特徴を結びつけ、「なぜここで働きたいのか」を補強する質問をしましょう。企業研究をしっかり行っていることのアピールにも繋がります。
自身の強みを客観的に提示し、それを応募先でどう活かすかという視点を持っていることをアピールできます。
「貴院はチーム医療に力を入れていると伺いました。その中で、看護師には特にどのような役割が期待されていますか?」
理念への共感を示し、チームの一員として貢献したいという協調性と積極性をアピールできます。
「〇〇(特定の看護技術や資格)のスキルをさらに伸ばしていきたいと考えておりますが、そのスキルを活かせる委員会活動や勉強会などはありますか?」
自身のスキルアップと組織への貢献を結びつけて考えている、向上心の高さを伝えられます。
活躍している看護師の共通点に関する質問
どのような看護師が評価され、活躍しているのかを知ろうとする質問は、その病院の理念や看護観を深く理解しようとする姿勢の表れです。 「自分もそうなりたい」というメッセージを込めて質問しましょう。
求める人物像を理解し、それに近づこうと努力する意欲があることを示せます。
「面接官からご覧になって、貴院の看護師として働く上で最も大切にすべきことは何だとお考えですか?」
組織の価値観や文化を尊重する姿勢をアピールでき、素直に指導を受け入れられる人柄だと評価されやすいです。
「中途採用で入職され、現在リーダーや主任として活躍されている方はいらっしゃいますか?その方々はどのような点を評価されてキャリアアップされたのでしょうか?」
長期的な視点でキャリアを考え、組織内で成長していきたいという強い意志を示すことができます。
働きやすさを見極める逆質問
長く働き続けるためには、ワークライフバランスも重要な要素です。ただし、待遇面ばかりを前面に出すとマイナスな印象を与えかねません。聞き方を工夫し、仕事への意欲を示しつつ、働きやすさに関する情報を得るのがポイントです。
子育てとの両立支援に関する質問
子育て中の看護師にとって、両立支援制度は非常に重要です。質問する際は、制度を利用することが前提ではなく、「制度を活用しながらも、どのように貢献できるか」という前向きな姿勢を示すことが大切です。
同じ境遇の職員の状況を知ることで、自身の働き方をイメージし、長く貢献したいという意思を伝えられます。
「院内保育所についてお伺いします。利用されている方の人数や、病児保育への対応はどのようになっていますか?」
福利厚生への関心を示しつつ、子供の体調不良時にも対応できる体制を整え、業務への支障を最小限にしたいという責任感を示せます。
残業時間や休日出勤に関する質問
残業や休日について直接的に聞くと、「仕事よりプライベート優先」という印象を与えがちです。業務への関心を示す形で、間接的に確認するのが賢明です。
残業そのものではなく、スキルアップのための時間に関心があるというポジティブな聞き方で、向上心を示しつつ勤務後の状況を推測できます。
「夜勤の体制についてお伺いしたいのですが、1勤務あたりの看護師の人数と、休憩時間の確保はどのようになっていますか?」
安全な看護を提供するための体制に関心があるという視点で質問することで、責任感の強さをアピールできます。
キャリアプランを伝える逆質問
将来を見据え、応募先でどのように成長していきたいかを伝える質問は、長期的に貢献してくれる人材であるという印象を与えます。



自身のキャリアプランと病院の育成方針が合致しているかを確認する良い機会にもなります。
資格取得支援制度についての質問
認定看護師や専門看護師などの資格取得への関心は、高い専門性と向上心の表れです。 制度の有無だけでなく、その内容を具体的に聞くことで、本気度が伝わります。
明確なキャリア目標と、それを実現するための学習意欲の高さをアピールできます。
「夜勤の体制についてお伺いしたいのですが、1勤務あたりの看護師の人数と、休憩時間の確保はどのようになっていますか?」
組織の教育システムを理解し、段階的に成長していきたいという計画性と真摯な姿勢を示せます。
目標となる看護師像に関する質問
自分が目指す看護師像と、応募先が求める人物像をすり合わせるための質問です。自分の価値観と病院の理念が合っているかを確認しましょう。
自身の看護観を明確に伝え、それを応募先で実現したいという強い意志と、他者から学ぼうとする謙虚な姿勢をアピールできます。
看護師の面接で絶対に避けるべきNG逆質問


逆質問の内容によっては、かえってマイナスな印象を与えてしまう危険性もあります。ここでは、筆者の面接官としての経験も踏まえ、看護師の面接で絶対に避けるべきNG逆質問を具体的な体験談とともに解説します。
»看護師面接で落ちるフラグ5選!経験者が教える致命的なNG行動と採用に向けた対策
- 待遇面ばかりを聞く質問
- 理念や方針を否定するような質問
- Webサイトや求人票で公開済みの情報に関する質問
- 責任回避的・受動的な質問
待遇面ばかりを聞く質問
給与や休日、福利厚生といった待遇面は、働く上で重要な要素であることは間違いありません。しかし、面接の早い段階で待遇に関する質問ばかりをすると、面接官に「仕事内容や看護への熱意よりも、条件面しか見ていないのではないか」という懸念を抱かせてしまいます。
体験談:スキルや適性を聞く前に待遇だけ聞かれてマイナス印象



私が主任看護師として、施設長とともに面接官を務めたときのことです。
施設長が応募者の方に「最後に何か質問はありますか?」と尋ねたところ、開口一番「昇給はいくらですか?」「残業代は1分単位で出ますか?」「有給消化率は100%ですか?」と、立て続けに待遇面の質問をされたことがありました。もちろん、働く上で大切なことですが、その方のスキルや看護観、当院でどう貢献したいかといった話をする前にこれらの質問が出たため、正直なところ「私たちの施設や看護そのものには興味がないのかもしれない」と感じてしまいました。結果として、今までの応募者と比較した際に、熱意が少ないと判断せざるを得ませんでした。
待遇面の確認は、内定後や、少なくとも二次面接など選考が進んだ段階で行うのが適切です。どうしても気になる場合は、「内定をいただけた際に、給与や福利厚生について詳しくお伺いすることは可能でしょうか?」といった形で、タイミングをわきまえている姿勢を示すと良いでしょう。
理念や方針を否定するような質問
病院や施設の理念・方針は、その組織が目指す看護の方向性を示す重要なものです。これに対して、批判的・否定的なニュアンスを含む質問をしてしまうと、「協調性がない」「組織の一員として働くことが難しいのではないか」という印象を与えかねません。
例えば、「貴院の『患者中心の看護』という理念は、具体性に欠けるように感じますが、どのように実践されているのですか?」といった質問は、挑戦的と受け取られる可能性があります。たとえ疑問に思ったとしても、否定から入るのではなく、理解を深めようとする姿勢で質問することが大切です。「貴院の『患者様中心の看護』という理念に大変共感しております。現場の皆様は、この理念を実践するために、特にどのようなことを心がけていらっしゃいますか?」のように、肯定的な言葉を添えて質問を工夫しましょう。
Webサイトや求人票で公開済みの情報に関する質問
病院の公式Webサイトやパンフレット、求人票などに既に掲載されている情報を質問することは、「準備不足」「志望度が低い」と判断される最も典型的なNG例です。



面接官も、応募者が当然、基本的な情報を調べてきているという前提で面接に臨んでいます。
「病床数は何床ですか?」「看護体制について教えてください」といった質問は、自分で調べる努力を怠っていることの証明になってしまいます。事前に調べられる情報はすべて把握した上で、「ホームページで〇〇という先進的な取り組みを拝見しました。その中で、看護師は具体的にどのような役割を担うのでしょうか?」というように、調べた情報から一歩踏み込んだ質問をすることで、深い興味と高い志望度をアピールできます。
責任回避的・受動的な質問
看護師は、患者の命を預かる責任の重い仕事です。そのため、責任を回避しようとする姿勢や、受動的な態度は厳しく評価されます。「〇〇という業務は、私が担当しなくてもよいのでしょうか?」「看護研究などは断っても良いですか?」といった質問は、主体性のなさや成長意欲の低さを感じさせてしまいます。
体験談:「即戦力性が低い」と判断し、不採用になったケース
過去の面接で、「急な残業を断ることはできますか?」という逆質問を受けたことがあります。もちろん、ワークライフバランスは重要ですが、この質問の仕方では「自分の都合を最優先し、チームへの貢献意識が低い」と受け取られかねません。
医療現場では予測不能な事態も起こり得ます。そのような状況で、チームの一員として協力する姿勢が見えない応募者に対して、「即戦力として、また将来的にチームを担う人材として採用するのは難しい」と判断し、不採用とした実例があります。
以下に、責任回避的・受動的と捉えられがちな質問と、その改善例をまとめました。
NGな逆質問例 | 面接官が抱く懸念 | 好印象な質問への言い換え例 |
「残業は多いですか?断っても大丈夫ですか?」 | 責任感の欠如、チームワークへの意識の低さ | 「皆さんは、時間外勤務を減らすためにどのような工夫をされていますか?」 |
「研修はすべて用意してもらえますか?」 | 受動的、自己学習意欲の低さ | 「貴院では、看護師のスキルアップを支援するために、どのような研修制度や学習の機会がありますか?」 |
「ノルマや目標は厳しいですか?」 | プレッシャーへの耐性の低さ、成長意欲の欠如 | 「こちらの病棟で活躍されている看護師の方々は、どのような目標を掲げて業務に取り組んでいらっしゃいますか?」 |
「フォロー体制は万全ですか?」 | 他責思考、主体性のなさ | 「1日でも早く戦力になれるよう努力したいのですが、入職後はどのような流れで業務を覚えていくことになりますか?」 |
質問の仕方一つで、応募者の意欲や人柄が伝わります。



NGな質問を避け、自分を効果的にアピールできる逆質問を準備して、面接に臨みましょう。
応募者・面接官の両方を経験した筆者の体験談


私自身、応募者としても面接官としても、この逆質問が合否の分水嶺になった場面を数多く経験してきました。ここでは、リアルな体験談をもとに、逆質問がどのように評価に影響するのかを具体的にご紹介します。
応募者として成功した逆質問|研修制度の具体的な中身を聞いて内定につながった
私が第二新卒で急性期病棟への転職活動をしていた時の話です。その病院は教育制度が充実していることで知られていましたが、私はさらに一歩踏み込んだ質問を準備していきました。
【実際の逆質問】
「貴院のクリニカルラダーについて、ホームページで拝見し大変魅力に感じております。特に、ラダーIIの看護師を対象とした術後ケアの専門研修についてお伺いしたいのですが、具体的にどのような演習やOJTが行われるのでしょうか?」
【成功のポイント】
- 「調べてきた」という事実を伝えたこと
- 公式サイトの情報を理解した上で、さらに深い情報を求めている姿勢が、本気度の高さを証明します。
- 具体的なキャリアプランを示したこと
- 「呼吸器ケア」という具体的な分野を挙げることで、入職後の目標が明確であり、学習意欲が高いことをアピールできました。
- 受け身ではない姿勢
- 「教えてもらう」だけでなく、「学んだことを実践する」という主体性を示し、チームに貢献したいという意欲を伝えました。
この質問に対し、看護部長は「よく調べていますね。初めてこんな質問をされましたよ。」と笑顔で応じてくださり、研修内容やプリセプター制度について詳しく説明してくれました。
応募者として失敗した逆質問|質問の意図が伝わらずマイナス評価になった
一方で、新卒時代の就職活動では苦い経験もあります。とある中核病院の面接で、私は人間関係の良さを重視していたため、次のような質問をしました。
【失敗した逆質問】
「職場の雰囲気はどのような感じですか?」
【失敗のポイント】
- 質問が漠然としすぎていた
- 「雰囲気」という言葉は主観的で、面接官も「和気あいあいとしていますよ」としか答えようがありません。これでは会話が深まらず、意欲も伝わりません。
- 意図が不明確
- 人間関係を知りたいのか、仕事の進め方を知りたいのか、忙しさを知りたいのかが伝わらず、コミュニケーション能力に疑問を持たれた可能性があります。
案の定、当たり障りのない回答で面接は終了し、不採用となりました。今思えば、「看護師さん同士や他職種の方と連携を取る上で、皆様が大切にされていることは何ですか?」といったように、具体的な行動や価値観に焦点を当てて質問すべきだったと反省しています。



もちろん、不採用の原因は他にあったのかもしれません。ただ、悔いが残る回答をしてしまったことは今でも心残りです。
私が面接官として見た「逆質問で一気に印象が良くなったケース」
主任看護師として面接官をしていた際、ある中途採用の応募者の逆質問が非常に印象的で、評価を大きく上げた実例があります。



その方は病棟勤務歴20年以上のベテラン看護師でした。そして今も現場のエースとして働いています。
具体例:夜勤体制について聞いた応募者が、自分の健康管理や安全意識の高さをアピールできて高評価
その応募者は、夜勤体制について次のように質問しました。
「夜勤の体制についてお伺いします。募集要項では看護師2名体制と拝見しましたが、急変時や緊急入院が重なった際の応援体制はどのようになっていますでしょうか。また、スタッフが安全に働き続けるために、施設として特に力を入れている取り組みがあれば教えていただけますか。」
この質問がなぜ高評価につながったのか、NGな質問と比較してみましょう。
評価ポイント | 高評価だった質問 | NGな質問だった場合 |
質問の視点 | 患者の安全(応援体制)と、自身の健康管理・安全確保の両方に配慮している。 | 自身の労働条件や負担軽減のみに関心があるように聞こえる。 |
与える印象 | プロ意識が高く、リスク管理能力がある。自己管理ができており、長期的な貢献が期待できる。 | 権利主張が強く、協調性に欠ける可能性がある。仕事への意欲が低いと判断されかねない。 |
面接官の判断 | 責任感を持って安全な看護を提供しようとする姿勢が見える。チーム全体の安全意識向上にも貢献してくれそうだと感じ、採用を強く推薦した。 | 「大変な仕事は避けたい」という本音が透けて見え、即戦力としての活躍に不安を感じる。不採用の判断材料になる可能性が高い。 |
このように、同じ「夜勤」に関する質問でも、聞き方一つで面接官に与える印象は180度変わります。この応募者は、自身の働きやすさだけでなく、患者の安全と組織への貢献という視点を持ち合わせており、看護師としてのプロフェッショナリズムを強く感じさせました。
看護師面接で逆質問を準備するコツ


看護師の面接における逆質問で好印象を与えるためには、戦略的な準備が不可欠です。付け焼き刃の質問では、かえって評価を下げてしまう可能性もあります。以下の3つのコツを押さえ、効果的な逆質問を準備しましょう。
- 求人票・公式HPで基本情報を押さえる
- 一次面接と二次面接で質問内容を変える
- 自分のキャリア・働き方と結びつけて質問する
求人票・公式HPで基本情報を押さえる
逆質問を準備する第一歩は、応募先の情報を徹底的にリサーチすることです。特に、求人票や公式ホームページに掲載されている情報は必ず確認しましょう。 調べればすぐにわかることを質問してしまうと、「志望度が低い」「準備不足」といったマイナスの印象を与えかねません。



「貴院の理念は何ですか?」
「福利厚生について教えてください」
といった質問は、多くの場合Webサイトに明記されているため避けるべきです。
これらの基本情報を踏まえたうえで、さらに一歩踏み込んだ質問をすることが、志望度の高さを示すポイントです。
確認すべき情報と質問への発展例
- 理念・看護方針
- 例:「ホームページで『患者様一人ひとりに寄り添う看護』という理念を拝見し、大変共感いたしました。この理念を実践するために、看護師として特に大切にすべきことは何でしょうか?」
- 教育・研修制度
- 例:「Webサイトで拝見した〇〇研修制度に興味があります。中途採用の看護師も参加できるのでしょうか。また、どのようなスキルを持つ方が多く参加されていますか?」
- 看護部長のメッセージ
- 例:「看護部長のメッセージにあった『チーム医療の推進』について、看護師は具体的に他職種とどのように連携を図っているのか、事例を交えて教えていただけますでしょうか?」
このように、事前に調べた情報に触れながら質問することで、「ここまで深く調べてくれているのか」と面接官に好印象を与え、他の応募者と差をつけることができます。
一次面接と二次面接で質問内容を変える
看護師の採用面接は、複数回行われることが少なくありません。一次面接と二次(最終)面接では、面接官の役職や評価する視点が異なるため、逆質問の内容も変える必要があります。それぞれのフェーズに合わせた質問を用意することで、より効果的なアピールにつながります。
一般的に、一次面接では現場の看護師長や人事担当者が、二次(最終)面接では看護部長や病院の役員クラスが面接官を務めます。それぞれの立場や役割を理解し、相手に響く質問を投げかけましょう。
面接フェーズ | 主な面接官 | 質問のポイント | 質問例 |
一次面接 | 人事担当者、看護師長など | 現場レベルでの適性、具体的な業務内容、職場の雰囲気、教育体制など、入職後すぐに働く姿をイメージできる質問 | 「配属後は、どのような業務から担当することになりますでしょうか。」 「中途採用者に対するプリセプター制度や研修はございますか。」 「こちらの病棟で勤務されている看護師の方の1日のスケジュールを教えていただけますか。」 |
二次(最終)面接 | 看護部長、役員、院長など | 病院・施設の将来性や方針、キャリアパス、組織への貢献意欲など、長期的・経営的な視点を含んだ質問 | 「貴院が今後、特に力を入れていきたいと考えている診療科や看護領域はございますか。」 「こちらで活躍されている看護師の方に共通する特徴や姿勢があれば教えていただきたいです。」 「5年後、10年後を見据えた際に、中堅看護師にはどのような役割を期待されますでしょうか。」 |
自分のキャリア・働き方と結びつけて質問する
逆質問は、自身のキャリアプランや働き方のビジョンを伝え、自己PRにつなげる絶好の機会です。 ただ質問するだけでなく、「自分はこう考えているが、貴院ではどうか」という形で、自身の経験や将来の展望と結びつけて質問することが重要です。



入職後の活躍イメージを面接官に具体的に持ってもらうことができます。
- キャリアプランと結びつけた質問例
- 「私はこれまで循環器内科で5年間勤務し、心電図の読解やカテーテル治療の補助といったスキルを磨いてまいりました。貴院の心臓血管センターでこの経験を活かし、将来的には専門看護師の資格取得も目指したいと考えております。資格取得支援制度について、具体的な利用実績や病院として推奨されている資格があれば教えていただけますでしょうか。」
- 希望する働き方と結びつけた質問例
- 「今後、子育てと両立しながら長く貴院に貢献していきたいと考えております。院内保育所の利用状況や、子育て中の看護師の方がどのように勤務されているか、具体的な事例があればお伺いしたいです。」
このように、自身の経験や状況を枕詞として加えることで、質問の意図が明確になり、主体性や長期的な貢献意欲を強く印象づけることができます。
まとめ


看護師の面接における逆質問は、単なる疑問解消の時間ではなく、合否を左右する重要なアピールの場です。面接官は、応募者の質問から志望度の高さや人柄、将来性を判断しています。
本記事で紹介した好印象な質問例や準備のコツを参考に、自身の強みやキャリアプランを伝えましょう。NG質問を避け、万全の準備で面接に臨み、希望の職場への内定を掴み取ってください。
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